現地スタッフより:ケニア北東州ハバスウェイン入り〜5〜(2011.09.28)
今回はソマリの家と食事についてご紹介します。
以前のブログでご紹介しましたが、こちらの人々の伝統的家屋は、潅木で組み立たてた丸い骨格に草を編んで作ったマットをかけて作られます。日差しの強い北東州で、この家の中に入ると涼しく、ホッとします。
調査中、ムハメッド・イブラヒムさん(52)とキマン・イブラヒムさん(37)の家にお邪魔しました。彼らには12人の子どもがいて、広い敷地の周りに潅木でフェンスを作り、そこで家族が一緒に住んでいます。伝統的な丸い家屋に、箱型の部屋がふたつ、台所、家畜用のスペース、さらにトイレが別々に建てられています。家畜用のスペースには牛も山羊もいなくなっていました。
ハバスウェインからワジールに移動する際に、ハバスウェイン病院の看護師の家に立ち寄りました。彼は奥さんと娘3人の5人家族です。コンクリートの今風の家に住んでいるのですが、同時に、ソマリの伝統的な家も作っていました。窓しか風が通る場所のない新しい建物に比べ、伝統的家屋は、涼しくて快適なので、時々、この空間で休むそうです。やはり伝統的家屋は、この地域の生活に合っているようです。また、定住地を通っていると、木の上にビニールシートでくるんだ荷物らしきものが置いてあるのを見かけますが、これは遊牧民の彼らが、牧草や水を求めて一時的に移動する時に、木の上に家の材料をまとめて乗せて保管しているのだそうです。
アバコレを訪れた後、町のレストランで昼食をとりました。男性たちはマットの上に座り、グループになって、ライスの上に山羊の肉を煮込んだスープをかけたものを食べていました。レストランのキッチンにお邪魔しました。中では、お湯が煮立ち、隣には山羊とじゃがいもを煮込んだトマトスープがありました。ケニアの人たちがよく飲んでいるマサラ茶もこのように鍋を火にかけて作ります。キッチンの中には、他に、スパゲッティ、白米が置いてありました。スパゲッティは、ソマリアがかつてイタリアの植民地であったことで広まった食習慣ということです。これに加えて、遊牧民のソマリ人はミルクをよく飲みます。山羊の肉も大事な栄養源ですが、ただ、家畜は大事な資産であり、商品です。なので、家で消費するよりも、売りに出し、その利益でスパゲッティなどの食品や生活用品を買うことが多いと聞きました。
クラレイの町に向かう途上で、女性たちが山羊を屠殺し、分け合っているところに出会いました。ソマリの社会では女性や女の子たちを写真に撮ることは歓迎されないので、紹介できないのが残念ですが、数人の女性や子どもたちがワイワイガヤガヤと何かおしゃべりをしていました。大きなナイフを手に持っていた一番年上と思しき女性が、これらの山羊の処理をしていたものと思われます。3頭の山羊の首がはねられ、内蔵が取り出されていました。もう一度同じ場所を通り過ぎたときには、山羊がまだ一頭、地面に残されていました。
セーブ・ザ・チルドレンでは、遊牧民らの栄養状況の改善、そして生計支援の一環としての地元の市場の活性化を図るべく、食料バウチャー(食料クーポン)事業を行なっています。幼い子どもがいる経済的に困窮している世帯を対象に、1ヶ月に肉やミルク、もしくは野菜、果物、卵等、一定の食品を購入できるクーポンを配布します。子どもたちは、炭水化物を中心とする配給食だけではなく、たんぱく質やビタミンも取ることができるようになります。さらに、このクーポンは地元で使われるので、小売り業者や肉や野菜の生産者などの所得を増やし、経済の活性化にも貢献することになります。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとしても、緊急支援として給水事業を実施し、中・長期的な観点から、今回の干ばつ被災者支援を検討しています。詳細が決定次第、皆様にご報告します。
※東アフリカ地域を含む世界中の子どもたちを支援する継続支援「SCサポート」にご協力ください。