現地から〜三上恵美子の報告(09.10.19)

10月15日、特に被害が甚大なパダン・パリアマン県北部の調査に入りました。パダン市やパリアマン中心部での被害はそれほどでもなく、多くは、学校などの公共施設、自動車展示場などの大きな建物に集中しています。しかし、これら都市部を離れて、山あいに向かうと、道の両側に立っている家が軒並み、全壊、半壊している地域も目にしました。

壁がなくなった教室2.JPG
震災で壁が無くなった学校

これら山あいの村々では、学校の被害もひどく、柱が折れ、屋根が落ちてしまっている教室、壁が完全に抜けてしまっている教室など到底使用に耐えられる状態ではありません。しかし、これから試験シーズンに入る当地の学校では、学校の再建まで授業を中止しているわけにはいきません。これらの学校では、被害にあいながらも、まだ残っている教室や教室前の廊下を使って、午前、午後の2部体制にして授業を続けています。

一方で、崩れかかった校舎で授業を続けることは、子どもたちにとって、そして教師にとっても安全な環境ではありません。一日でも早く彼らが安心して勉強に励むことができるスペースを確保すること、子どもたちのショックをやわらげ、少しでも早く日常の生活に戻ることができるよう支援が早急に必要とされています。

SDN9生徒2.JPGのサムネール画像
学校に集まる子どもたち

被災後既に2週間が経過しています。当初のショック状態を抜け、地元の住民たちは単に支援を待つだけでなく、自分たちの力で、住居を修理したり、学校の再建にあたろうとしています。当団体では、生活の再建を少しでも早く、またスムーズにできるよう、支援を続けていくことができればと考えています。

Trucks 2.JPGのサムネール画像セーブ・ザ・チルドレンは、インドネシアで既に30年以上活動をし、これまでも津波や地震被害の際に出動しています。今回も州都パダンだけではなく、被害のひどい地域へのアクセスが良いパリアマンやルブクバスンにフィールド事務所や倉庫を速やかに設置し、特に甚大な被害をこうむったパダン・パリアマン県、さらに北部のアガム県で、いち早く支援を開始しました。現在も緊急用に備蓄していた支援物資をトラックに積み込み、被災地への輸送を続々と行っています。これまでの経験を活かし、今後も被害の最もひどい場所での調査や支援が届きにくい場所・人への支援を欠かさないよう活動を行っています。被災直後から開始したシェルター、衛生用品、日用品などの配布から、現在は「教育」や「子どもの保護」の分野の支援を本格化させつつあるところです。今後、水周り、さらには長期的な視点から保健の分野(母子保健など)での支援も計画中です。

テント外2.JPG
セーブ・ザ・チルドレンが設置した仮設テント前にて


現地では、すでに雨期に入っており、現地での聞き取りの間も、バケツをひっくり返したような土砂降りにも何度もあいました。余震が起こる可能性もあります。被災のショックから立ち直りつつある人たちが、一刻も早く、生活を取り戻す、そして子どもたちが安心して学習を続けることができる環境を取り戻す。初期緊急対応がひと段落つく、これからこそが本当の意味での支援を急がなければならない時期になっています。皆様からの引き続きのご支援を心よりお願い申し上げます。

(在パダン 三上恵美子)

 


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