スマトラ沖地震現地レポート(2005.03.04)

【スマトラ沖地震・インド洋津波】
被災者に対する生計支援が本格化
〜被災家族の生計復興が子どもたちの援助につながります〜


【被災女性の家を一軒一軒訪ねて】
被災女性50人に対して足踏みミシンを提供しました。スマトラ沖地震・津波の被災国スリランカでは、津波発生から2ヶ月が経ち、NGOの活動も緊急援助から中・長期的な支援に重点が移っています。その中で、被災して生計を失った人たちへの生計復興プログラムも本格的に始まっており、セーブ・ザ・チルドレンの日本人スタッフが派遣されている南部のマータラ州ではこのほど、被災女性50人に対して足踏みミシンを提供しました。

スリランカでは女性の多くが、縫製の内職を営んでわずかながらも家計を支えてきましたが、津波で海水が押し寄せてきた家では、大切なミシンが使え なくなりました。そのためセーブ・ザ・チルドレンは、マータラ州の女性商工会議所のメンバーと協力し、こうした被災女性の家を一軒一軒訪ね歩いて、今後ど ういったサポートが必要かを調査しました。
ある村で出会った女性は早くに夫を亡くし、家で洋服やリネンなどの縫製の注文を請け負って、二人の息子 を育て上げてきました。しかし、長年使ってきたミシンは海水をかぶって使い物にならなくなり、訪れた時には、親戚のミシンを借りてしのいでいました。ま た、ほかの村に住む女性は、スポーツバッグ縫製の内職でわずかながら家計の収入を支えていましたが、やはり2台あったミシンが被害を受けていました。
セーブ・ザ・チルドレンは、こうした女性をはじめとして、弱い立場にいる被災者の生計復興を支援することで、家庭での養育費の創出など結果として子どもたちの援助につながると考えています。

【被災者の仕事再開を支援】
マータラ市内の仏教寺院で行われたミシンの贈呈式2月19日、マータラ市内の仏教寺院で行われたミシンの贈呈式では、被災女性たちも出席し、再び仕事を始められる喜びを語っていました。

インドゥラニ・ヘマチャンドゥラさん(53歳)
被 災後、ミシンが1台壊れ、もう1台の使えるミシンも避難して家を留守にしている間に盗まれました。インドゥラニさんの声「コロンボの大学に通う子どもの教 育費などお金が必要です。ミシンを提供してもらって再び仕事を始められるなんて、言葉で表現できないほど感謝しています」

イランガニ・カシジェさん
3 歳と16歳の娘をもつ主婦。家で縫製したベビー用品や枕ケースなどを病院に売ることで、タクシー運転手の夫の収入を助けてきました。しかし、3台あったミ シンはどれも水をかぶり、動かなくなりました。夫も仕事で使っていた車のエンジンが動かなくなり、現在は臨時雇いとして働いています。

家 を訪れたときイランガニさんは、被災した子どもたちのために学校の制服を縫製していました。スリランカでは学校の制服はとても大切に考えられており、子ど もたちは毎日、真っ白な制服で通学しています。しかし、中には被災して制服をなくした子どもも多くいます。そのためセーブ・ザ・チルドレンは、ミシンを提 供するだけでなく、被災女性たちに布地などを提供し、学校の制服を縫製してもらうことによる早急な現金収入獲得も支援していきます。
ココナッツの繊維を編む木製の器具一 方、スリランカの沿岸部では、多くの女性がココナッツの繊維を編んで、ロープやマットなどさまざまな製品を作っていますが、その繊維を編む木製の器具も津 波で壊されてしまいました。今後、こうした器具をやはり被災した大工に作ってもらい、できた器具を被災者に提供する予定です。そのほかにも、被災した 10−20代の若者に家の再建に必要なセメントブロックを製造するための訓練場を提供し、できたブロックは今後、家の再建を計画している被災者に対して安 価に売ることも考えています。

セーブ・ザ・チルドレンは、このように被災者のお互いの利益になるようなプログラムを通じて、被災者が早く生計の手段を取り戻し、元の生活に戻れるように支援していきます。

皆さまの募金へのご協力をお願いいたします。



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