スマトラ沖地震現地レポート(2005.04.30)

【スマトラ沖地震・インド洋津波】
ニアス島に日本人スタッフが入りました


【ニアス島の概況】
再び訪れるかも知れぬ地震・津波への恐怖に脅かされる島民の日常生活
ニアス島の概況グヌンシトリでは昨年末の津波よりも、地震、特に震源の近かった3月28日の地震による被害が深刻です。人も家屋も波に流されたアチェの事例とは異なり、ある程度残った建物と、全体的あるいは部分的に倒壊した家屋の瓦礫が混在しています。

教会やモスクなどの宗教施設、役所の周辺にはIDPキャンプが設けられ、グヌンシトリや他の町から逃れた人々がテント生活を送っています。家屋の損傷や倒壊の危険を避けるため、自宅の前や庭にテントを張って日夜生活する人々も多く見受けられます。
そ のような中、国際支援の拠点が置かれた当地では緊急医療支援のフェーズが一段落し、商業活動が復活しつつあります。水道や建築物その他の社会基盤や住民の 生計の復興にはこれから長い時間がかかりそうですが、家屋の修復をはじめ、自ら問題に立ち向かい日常を取り戻そうとする人々のエネルギーも感じられます。

ニアス島の概況その一方で、小さな余震がいくつか続いたこと、島周辺で再び大きな地震が起こる可能性が報道されたこと、更に実際にスマトラ島、ニアス島に大規模な地震が起 こったことなどから、住民の間には再び地震や津波が訪れるのではないか、という恐怖心が今でも強く残っています。そのため、住民の多くはたとえ家屋が残っ ていても、夜は軒先や庭のテントで眠っています。また現地の支援団体に対しても、何らかの衝撃による建物の崩壊や地震への懸念から、睡眠は建物の中ではな く、テントで取ることが勧められています。
津波の被害も深刻であった島南部の都市トゥルクダラムでは住民が丘陵部に避難したままの状態が続き、昼は必要に応じて町に下り、夜は限られた数のテントに定員を上回った人数で重なり合うように眠って生活しています。

【セーブ・ザ・チルドレンの支援活動】
ノンフード・アイテム:蚊帳、衛生用品を重点的に配布予定
グ ヌンシトリでは、人々は全壊、あるいは部分的に損傷された家屋から、生活用品を取り出してテント生活で使用していることが多いです。そのため、家屋への被 害の様相によりノンフード・アイテムも、なべ釜などの道具類なのか、石鹸・洗剤などの衛生用品を中心としたものなのか、異なってきます。人々のニーズに 合ったアイテムの配給をすることが重要です。
グヌンシトリ以外の地域については、更なる情報収集が必要な状態ですが、テントが優先的ニーズとして掲げられ、その他衛生用品へのニーズも指摘されています。

教育:学校へのテント・学用品配布
学校へのテント・学用品配布4 月12日に授業が再開されたニアス島の学校では、校舎の倒壊を恐れて強い日差しの下、屋外で授業が行われています。しかし、スペースが足りないため、従来 の授業時間を削って交替制でクラスが運営されています。通常の授業を行えない、地震のトラウマに起因する子どもが離れることへの恐れ、校舎の安全性への懸念などから、子どもを学校にやりたがらない親も多くなっています。更にIDPの子どもたちは厳しい生活環境に加え、新しい学校に馴染まなければなりません。

一方、インドネシアは6月に学年度末終了試験の時期を迎えます。学習カリキュラムを終了させること、また地震・津波被害による留年者増加の懸 念から、教師たちは一刻も早い授業の正常化を望んでいます。ニアス島での校舎の新築・修復には多くの時間を要することが予想されるため、留年者の増加によ る生徒数の増加は学校側の大きな懸念です。こうした状況を改善するため、学校用テントや学用品の配布を通じて学校の機能回復を支援していきます。

子どもの保護
ファミリー・トレーシング
チャイルド・センターの設置(チャイルド・セーフ・プレース)

親子の離散は津波被害の大きかったアチェ州ほどではありません。現在解決されていない離散の要因は(1)地震直後にケガなどで救急手当てを受けるため、身元 が確認されないまま病院に保護された、(2)トゥルクダラムなどの都市から子どもを危険から守るために、親が子どもをスマトラ本島行きの船に乗せた(そうした子どもの数は約3,000名に上るとの見方もある)、の2つであり、前者によるものは徐々に解決されています。セーブ・ザ・チルドレンの調査チームは、 一人でも多くの子どもたちが元の家族と再会できるよう支援していく予定です。
学校や保育園が機能していない、あるいは短時間しか機能していない状況下、子どもたちが瓦礫の残る危険な場所をうろついていたり、またテント生活でストレスを発散できずにいます。そうした子どもたちのための安全なレクリェーションや学習活動の場がありません。セーブ・ザ・チルドレンは子どもたちが安全に過ごせるチャイルド・センターをUNICEFとの調整のもと、設置していく予定です。

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IDPキャンプの父親の声(グヌンシトリ)
「地 震の時には無我夢中で、2人の子どもを抱えて丘の上へ駆け上りました。地震がおさまって少ししてから、妻と子どもを丘に残し、自分は町におりてテントを手 に入れました。許可など取っていません。12月の津波支援のテントが役所の前に積んであることを知っていたので、それが無くなってしまう前にと急いで取り にいったのです。翌日になって、役所の前にテントを張る許可をもらいました。(住んでいた)家に戻ってみたら、すべてが失われていました...私は教員な ので学校が始まり仕事に戻りましたが、ここの多くの人たちはオートバイなど仕事の道具や手段も失ってしまい、不安を抱えながら何もできずにキャンプで時間 を過ごしています」

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イメージ:子どもたち
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