スマトラ沖地震現地レポート(2005.09.01)
【スマトラ沖地震・インド洋津波】
2度の地震・津波の被害を受けたシムル島(インドネシア アチェ州)から
日本人スタッフの報告 〜母親の笑顔が子どもの笑顔に〜
【シムル島の被害状況】
バンダアチェ空港からプロペラ機で南に1時間半、人口7万3千人のシムル島 (アチェ州19県の一つ)があります。島を取り巻く波打ち際は、大地震により島の一部が持ち上がり海岸線が後退してしまい、さんご礁が広い範囲で剥き出しになっています。地震のスケールの大きさが如実にわかります。
2度の地震・津波の被害を受けたシムル島(インドネシア アチェ州)から
日本人スタッフの報告 〜母親の笑顔が子どもの笑顔に〜
【シムル島の被害状況】
![地震後さんご礁が浮き出た海岸線](http://www.savechildren.or.jp/sc_activity/contents-images/indonesia_050901_01.jpg)
古くから海とともに生きてきたシムルの人々は先祖代々津波にまつわる話を語り継いでおり、長 い間に培われてきた知恵が、地震直後島民をすぐに高地に避難させました。この結果、人身被害を最小限に止めることができました。しかし、生活する手段とし ての漁船は流され、住宅、学校、診療所、地域インフラも半壊もしくは全壊してしまいました。水田は海水に侵され、米の自給自足が困難になり、飲料水である 井戸水は海水で汚染され、地形変化による影響で井戸水レベルが急激に下がり水不足に陥っています。また、農業に不可欠の水牛は逃げ遅れ溺死しました。
![シナバングにおけるIDP仮設住宅とテント校](http://www.savechildren.or.jp/sc_activity/contents-images/indonesia_050901_02.jpg)
【現地の越川スタッフからの報告】〜緊急援助から復興支援へ〜
セーブ・ザ・チル ドレンは、バンダアチェおよび東海岸一帯の被災地を含め、離島であるサバング島、ニアス島、シムル島においても、災害直後から緊急支援活動を開始し、緊急 物資配給、医療保健支援、チャイルド・プロテクション活動、教育支援などを実施しました。被災地は今、緊急援助から復興支援へとそのニーズが変化してお り、地域インフラ再建、乳幼児の栄養改善、安全な飲み水の確保、小児麻痺予防など保健衛生分野における諸問題に取り組むほか、長期的な貧困削減、環境問題 にも焦点をあてつつ、シムル島の美しい自然の中で子どもたちが安心して生活できるよう支援を続けています。
越川スタッフは、6月からセーブ・ザ・チルドレンの生計支援チームにて支援活動を行っています。被災者への生計支援はマイクロファイナンス(小規模貸付事業)とビジネストレーニングの二本立てで展開しています:
- 漁師や小規模事業者の資産の再建事業支援
(2005年末までに7,200人、2006年末までに2万人を対象) - 高度な技術を持ちながら、被災者となったハンディクラフト(刺繍、マット等)生産者への器具や開業資金支援の他、商品開発、マーケティング分野におけるトレーニングを実施することにより、長期的な収入増大への道に結び付ける支援活動。
- 現地のアチェの豊かな自然と原材料に着目し、新しい産業の育成による職業創出支援。
【地震と津波から8ヶ月・・・シムル島の女性たちが島の再建にチャレンジ!】
![越川スタッフと訓練生](http://www.savechildren.or.jp/sc_activity/contents-images/indonesia_050901_03.jpg)
![シムル島におけるブロック製造職業訓練風景](http://www.savechildren.or.jp/sc_activity/contents-images/indonesia_050901_04.jpg)
![ラトナさん](http://www.savechildren.or.jp/sc_activity/contents-images/indonesia_050901_05.jpg)
ラトナさん:シムル島・ルグ村出身。18歳。一児のシングル・マザー。ブロック製造技術を習得し、収入を得る機会ができました。これで子どもの教育費を捻出する仕事が見つかりました!
![エーリナさん](http://www.savechildren.or.jp/sc_activity/contents-images/indonesia_050901_06.jpg)
エーリナさん:シ ムル島・クアラマクムール村出身。47歳。7人の子どものいる未亡人。今まで家政婦、薪集めで生計を立ててきました。仕事をしていないと病気になってしま う程、働くことが大好き。今回初めて技術を身につけることができてうれしい。これから、ブロック製造ビジネスを立ち上げて、島の復興に寄与していきたい。
![ヌルヘマさん](http://www.savechildren.or.jp/sc_activity/contents-images/indonesia_050901_07.jpg)
ヌルヘマさん:シ ムル島・ガンティン村出身。47歳。地震が起きた時、おじいさんから聞いていた津波の話を思い出し、5人の子どもを連れ、すぐ丘へ逃げました。おかげで全 員無事でした。今まで米を作り、野菜を売って生計を立ててきましたが、ブロック製造でこれからの生計の道を開いていきたい。