スマトラ沖地震現地レポート(2005.11.18)
【スマトラ沖地震・インド洋津波】
皆さまのご支援でスマトラ沖地震の被災者に笑顔が戻ってきています
【武田スタッフの最新報告(スリランカ南部マータラに派遣)】
インド洋沖で発生した大津波がスリランカ沿岸部を襲ってから約11ヶ月が経とうとしています。被災国では各国政府やNGOなどによる被災者の救援活動が今も絶え間なく続いており、セーブ・ザ・チルドレンも幼稚園などの再建、津波で心身ともに深い傷を負った子どもたちの保護、不自由な避難所での遊び場の確保など、子どもを主眼にした活動に力を入れてきました。
皆さまのご支援でスマトラ沖地震の被災者に笑顔が戻ってきています
【武田スタッフの最新報告(スリランカ南部マータラに派遣)】
インド洋沖で発生した大津波がスリランカ沿岸部を襲ってから約11ヶ月が経とうとしています。被災国では各国政府やNGOなどによる被災者の救援活動が今も絶え間なく続いており、セーブ・ザ・チルドレンも幼稚園などの再建、津波で心身ともに深い傷を負った子どもたちの保護、不自由な避難所での遊び場の確保など、子どもを主眼にした活動に力を入れてきました。
【地域の復興が人々の笑顔に結びつく】
一方、子どもの生活環境を守るためには、子どもだけではなく、家族 や地域全体を視野に入れた支援活動も重要です。そのため、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが活動を行っているスリランカ南部のマータラ県では、被災者が 津波で失った生活の糧を取り戻すためのさまざまな活動を展開しています。中でもユニークなのが被災青年を対象にしたコンクリートブロックの製造販売プロ ジェクトです。これは、被災して職を失った青年たちにブロック製造の職業訓練を施し、出来たブロックを地域の被災者に安価に販売して家の再建に役立てても らおうというもので、被災者が被災者の復興を支援するという取り組みです。
今 年3月、地元の青年クラブ地域連合と協同でマータラ県に住む10代後半から30代前半までの100人の被災青年を選び、彼らに1週間のブロック製造の訓練 の場を提供しました。対象青年は被災前、ホテルやレストランなどの観光業や漁業などに従事していましたが、津波で職場を失ったものがほとんどです。ブロッ ク製造という肉体労働ではありますが、ジェンダーバランスにも配慮し、約10人の女性も活動に参加しています。
訓練を受けた青年たちは10人のメ ンバーからなる10ヶ所の青年クラブを発足させ、この各クラブにセーブ・ザ・チルドレンがブロック製造機、シャベルや手押し車などの器具、セメント、砂、 石などの原材料を提供しました。青年たちは毎日300個を目標にブロック製造に取り組み、出来たブロックを、市場価格よりも安い値段で地域の被災者や貧し い家庭に販売し、彼らの家の再建に役立ててもらっています。出来たブロックは安価であるだけでなく、プロジェクトを支えるドナーからの技術指導のおかげも あって、品質の面でも地域の人々に好評です。
【希望に満ちた未来を】
ある青年クラブのリーダー、マドゥランガ君 (17歳)は津波で姉妹を亡くし、住んでいた家も全壊したため、今は家族と共にNGOの支援する仮設住宅に住んでいます。被災直後、誰とも口をきかずに完 全に心を閉ざしていた彼ですが、「このプロジェクトで新しい技術を身に付けられて嬉しい。将来はこの活動を小さなビジネスに発展させたい」と将来への希望 を語ってくれました。
スリランカでは土地所有問題や、政府が沿岸部から100メートル以内での家の再建を禁止したことなどから、被災者の家の再建は遅々とした歩みです。しかし、青年たちのつくる一つひとつのブロックが、被災者の"未来の再建"に役立っていることも事実です。
家 が全壊したため今は仮設住宅に住むある老夫婦は、政府の資金援助で地域の青年クラブからブロックを購入し、家の再建を始めました。この夫婦は「安くて質の いいブロックを買えて喜んでいます。新しい家は津波などのショックに強い構造にするつもりです。これから生まれてくる息子の赤ん坊と共に、新しい家で家族 みんなで幸せに暮らしていきたい」と話していました。
セーブ・ザ・チルドレンはこのほかにも、女性や漁師などを対象にした生計復興の支援活動に取り組んでおり、家族や地域全体への支援を通して、子どもたちの将来の幸せにつながる活動を今後も続けていきます。
(スリランカ・マータラ事務所 武田和代)