スマトラ沖地震現地レポート(2008.02.01)

【スマトラ沖地震緊急復興支援】
現地から日本人スタッフの声 〜インドネシア〜


生計支援事業部次長・越川芳枝

【復興から経済発展をめざして】
手織りゴザ製作風景2004年12月のスマトラ沖地震・津波により、多くの人々の経済活動のもとになる事業資産が破壊され、アチェの労働人口のおよそ4分の1が職を失いました。
セーブ・ザ・チルドレン(以下、SC)は、この人道支援史上稀にみる大災害に対する緊急支援事業を直ちに立ち上げ、物資配布などの援助活動とともに、キャ シュ・フォー・ワーク事業(現地住民たちにより実施される緊急支援を現金で支払い、経済活性化の一助とする事業)や沿岸環境保全事業を開始しました。復興 期に入ると、9600人の被災した漁師、女性零細事業主、民芸品生産者、未亡人家庭等に事業資産回復事業を実施しました。

越川スタッフ、支援者とともにそ の後、長期的開発を目的として、支援ニーズがより高く、かつ届きにくい地域を対象に、二つの生計支援事業を立ち上げました。ひとつはマイクロファイナンス 事業(無担保小額融資事業)、もうひとつはビジネス開発支援事業(マーケット拡大、マネジメント能力育成、職業訓練や新技術提供等による支援)です。これ らの事業は低所得層の女性、貧困零細事業者、零細農家を対象とし、彼らのビジネス強化と成長を目的とします。いくつかの調査統計結果により、女性達や母親 達の生む収入の多くは、子ども達の教育や栄養健康維持など子どもの生活の質向上のために使われる傾向が強いことがわかっています。SCの生計支援事業は、 このような貧困から抜け出そうとする多くの女性零細事業者の生活基盤を築き上げ、家計の向上を目的としています。

【女性の経済支援が鍵】
パンダンの葉収穫風景" 女性のための経済強化事業"は、アチェの伝統産業のひとつである手織りゴザ生産者支援で、当産業を活性化し新たな地場産業として発展させることが目的で す。ゴザの材料は現地で繁殖するパンダンという植物の葉です。手織りゴザは現地の家庭でも日常的に使われており、家庭を訪問するとすぐこの手織りゴザが敷 かれ歓迎されます。言ってみれば日本における座布団のようなものです。多くの女性達は小さな頃から母親達が織る作業を見よう見まねで遊びながら技術を身に つけてきました。この技術は結婚し、子どもができてからも、家族や子どもの世話をしながら家計を助ける収入源として欠かせません。

ジャワ島の研修の様子当 事業は、この手織りゴザ産業の発展育成のため、支援者323名の中から7人の女性を選び、ジャワ島・ジョグジャカルタ市で研修を行いました。そこで新しい 染色技術、製品開発、ビジネス・マネジメント等のプロフェッショナルなビジネス運営に欠かせない知識や技術の研修を受けました。
研修後、これら7人の女性達はアチェに戻り、習得した新しい技術を残りの支援者たちに伝授しています。こうして事業の輪と経済効果が地域に広がっていきます。

ジャワ島にて研修を受けたデウィさん(22歳)の話
アチェのために全力をつくしたい。新しく習得した技術を他の生産者たちに教えることに大きな意義と責任を感じている、そして、これが他の女性達が係わる地場産業発展の火付け役となればよいと思う。



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