ポジティブ・ディシプリン:セミナー開始!(09.11.16)

ポジティブ・ディシプリンのすすめ.jpg

 

今年の子どもの日に「ポジティブ・ディシプリンのすすめ」が日本で出版されてから、すでに半年。新聞や雑誌などで取り上げられるなど、大きな反響をいただき、このたび増刷にすることになりました。

そして、この秋から「ポジティブ・ディシプリン」を紹介するセミナーを開始しています!

 

■熱心なパパ・ママが参加■

セミナーが行われたのは、10/31と 11/10*。参加された22名の皆さんは、0〜11歳まで40人の子どもたちを子育て中のパパやママ。参加者の皆さんが日々子育てする中で実践されているアイディアを取り入れながら、ポジティブ・ディシプリンの4つの基本のステップを通し理解を深めていきました。

 ■「ポジティブ・ディシプリン」=「前向きなしつけ」■

"「ポジティブ・ディシプリン」って、英語でちょっとイメージしにくい。"・・・そんな声もいただいていたので、セミナーの冒頭では、「ディシプリン(しつけ)」のイメージ共有から始めました。参加者からは、"厳しい""型にはめる""礼儀・作法を教える"など、色々な意見が。
ポジティブ・ディシプリンでは「しつけは教えること」と捉え、何のためにどのように教えるか?について考える大切さについて、お伝えしています。

■4ステップで、ポジティブ・ディシプリン体験■セミナー実施の様子.JPG

ステップ1「長期的な目標を考える」:「お子さんが20歳になったらどんな大人になってほしいか?」ということを考えました。"ちょっと想像できないなぁ"という声も最初は聞かれましたが、"他人の気持ちがわかる人になってほしい"、"自分でやりたいことを切り拓ける人になってほしい"など、お子さんへの思いがいっぱいの目標があげられました。

ステップ2「温かさを与える・枠組みを示す」

ステップ3「発達段階を理解する」

ステップ4「課題を解決する」

それぞれのステップでは、こんな場面を通して考えました。

〜ある日、お子さんがお皿を積み木のように積み上げ、そのお皿がわれてしまいました〜                                   

 "まずは、怪我がないか確認かな?"、"でも、危ないってことは教えなくちゃいけないよね"、"お皿が割れて自分も悲しいことを伝えたい"など...子どもの目線に立ちながら、なるべく具体的に「子どもたちに、この場面を通して教えたいこと」について話し合いました。

 ■セミナー参加者の声から■

... "頭ごなしに叱るのではなく、温かさを与えることが必要だと感じました"
... "発達をよく理解して子どもがどうして出来ないかわかれば、そんなに怒らずに済むのではないかと思いました"
... "良い親子関係を築きたいと思っている母親がこんなにいるんだ、私も頑張ろうと思えました"

 

セミナーを通じ、ポジティブ・ディシプリンに対する理解を深めていただけました。ただ、「実際の場面になると、むずかしいかも...」という思いも共通のようです。著者デュラント氏も"すぐに実践できるようになるものではないからこそ、理解して練習することが大切"と言っています。

セーブ・ザ・チルドレンは、セミナーにより、ポジティブ・ディシプリンがより良く理解され、今後の子育ての1つのヒントとなることを願っています。

*今回のセミナーは:東京都新宿区内で保育園・学童を運営する早稲田フロンティアキッズ(10/31)と千葉県白井市福祉センターの子育て支援講座(11/10)にて開催されました。

ポジティブ・ディシプリンは、2007年に子ども支援専門の国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレンが、児童臨床心理学者のジョーン・E・デュラント博士と共に開発した養育者支援プログラムです。

ポジティブ・ディシプリンは、罰に代わる、子育てへの取り組み方を提案するプログラムです。

「このような時にはこうすればよい」というハウ・ツーとは異なり養育者自らが、子どもに教えるより良いアプローチを見出すための「考え方」を提案しています。

ポジティブ・ディシプリンでは、効果的な子育てに必要とされる、以下の4原則を通して、子どもたちへ教えるアプローチを考えます。

  1. 長期的な目標を決めること
  2. 温かさを与え、枠組みを示すこと
  3. 子どもの考え方・感じ方を理解すること
  4. 課題を解決すること

日本国内では、養育者を支援するプログラムには数多くの実践がありますが、ポジティブ・ディシプリンの特徴は以下です。

  1. 1.養育者による懲罰的な子育てをなくすことを目的としている
  2. 2.0歳から18歳までの子どもを育てる養育者を対象としている
  3. 3.養育困難や虐待リスクのある養育者のためでなく、子どもの養育を担うすべての人のために開発されている
  4. 4.標準化されたプログラムを実施することにより、各国で実施されるプログラムの効果を測定し、その結果をプログラムの実施の改善へ活用している

(※2019年9月追記)


PAGE TOP