「国連子どもの権利委員会に個人が申し立てできる制度を作ろう!キャンペーン」:国連動向

世界で約600ものNGOが参加する本キャンペーン。今回は12月14日(月)〜18日(金)に行われた国連人権理事会第1回作業部会の様子をご報告します。

■国連にて個人通報制度のための選択議定書策定の可能性を審議■

今回開催された国連人権理事会第1回作業部会は、国連子どもの権利委員会に対する個人通報制度のための選択議定書策定の可能性について審議することが目的です。ジュネーブの国連本部には、31カ国の国連人権理事会理事国(総数47カ国)、43カ国の非理事国、ヴァチカン、パレスチナ、アフリカ連合、EU、フランコフォニー国際機関、UNICEF、そしてセーブ・ザ・チルドレンを含む10のNGOが集まりました。

091214国連人権理事会第1回作業部会作業部会の主なアジェンダは下記の5点です。
 (1)国連子どもの権利条約のもとに個人通報制度を創設する理由とタイミング
 (2)子どもの意見表明権を含む子どもの権利・国連子どもの権利条約に由来する
      特別な権利の独自性
 (3)既存の人権メカニズムの有効性と子どもにとっての利用し易さ:特別手続きの観点から
 (4)国内および地域レベルに存在する制度のもとでの、子どもの権利の保護の有効性
 (5)国連子どもの権利条約の下での個人通報制度の持つ意味・手続きの実効性 

これに対し、NGOグループは、国連子どもの権利委員会に対する個人通報制度は、
 1.国内制度では対応できない子どもの権利侵害に対する救済措置を提供する
 2.国内における国連子どもの権利条約の実効的履行を強化する
 3.国連子どもの権利条約によって保障されている権利に関する判例を蓄積する
 4.権利の保持者としての子どもの法的地位を強化する
という上記4つの理由から、その創設が必要であることを強く訴えました。

そのため、NGOグループは今回の作業部会にて"選択議定書策定を直ちに開始すべきという全会一致の作業部会勧告の採択"を目指してきましたが、中国・英国・オランダなど採択に慎重な姿勢の国々が様々な質問を繰り返し、最終的に議長判断で、勧告を含まない議長報告が採択されることとなりました。

■今回の作業部会にて注目すべき点■

全会一致の作業部会勧告の採択にはなりませんでしたが、今回の作業部会を通じ、批判的質問は相次いだものの、国連子どもの権利委員会に対する個人通報制度の創設に正面から反対する国はなかったことは注目すべき点です。日本も実質審議が始まれば貢献したいという意向を示しながら賛同し、東アジアでは中国・タイ・韓国は本国政府より代表を派遣していました。また、UNICEFの姿勢も微妙に変化し、「国連子どもの権利委員会に対する個人通報制度は子どもの権利を擁護する様々な一連の手段の一つとして、有効なものです。時間と資源を無駄にすることなく、実質的な話し合いが進むことを期待しています」とのコメントがありました。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、このグローバルキャンペーンの日本での事務局を務めています。今後も、このキャンペーンに参加してくださった22の団体と連携しながら、国連子どもの権利委員会に対する個人通報制度が創設されるように、働きかけを行っていきたいと思います!

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