イラク戦争開始から5年 子どもたちの現状は?(2008.03.21)
【イラク戦争開始から5年】
子どもたちの現状は今
セーブ・ザ・チルドレン日本人スタッフがヨルダンで難民支援活動
2003年3月20日にイラク戦争が始まって5年、絶望的な状況の下多くのイラク人が難民となり、国外に逃亡しています。国連によれば、220万人以上の難民が発生しており、その内120万人以上がシリアに、50万人以上がヨルダンに避難していると推定されています。
子どもたちの現状は今
セーブ・ザ・チルドレン日本人スタッフがヨルダンで難民支援活動
2003年3月20日にイラク戦争が始まって5年、絶望的な状況の下多くのイラク人が難民となり、国外に逃亡しています。国連によれば、220万人以上の難民が発生しており、その内120万人以上がシリアに、50万人以上がヨルダンに避難していると推定されています。
セーブ・ザ・チルドレン(SC)は、多くの子どもたちが家族とともに難民となり、困難な暮らしを強いられているこの状況を1948年以降の中東における最大規模の惨事ととらえ、国際社会にイラク難民への支援を強く訴えかけます。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下SCJ)では、2007年11月よりヨルダンに日本人駐在員を派遣し、セーブ・ザ・チルドレンのグローバルなネットワークを生かし、ヨルダンの教育省とも協働しながらイラク避難民の子どもたちを中心とした教育支援活動をジャパンプラットフォームの助成を受けて展開しています。
<SCJのヨルダンでの活動概要>
- 地域:ヨルダン ザルカ・イルビッド・マフラック各地域
- 対象:3歳〜6歳 約500人/教師 約75人/両親 約1,000人/地元のボランティア 約60人
- 開始時期:2007年11月〜
- 内容:ヨルダンの早期幼児教育支援
- 早期幼児教育指導者の育成
- 教育環境・施設の改善
- 親を含めた心理社会的サポートの実施
- イラク人・ヨルダン人ボランティアの育成
<プログラムの成果(2008年2月現在)>
- 幼稚園の改修と教育機材の設置:20クラス、遊び場(ザルカ・イルビッド)
- 早期幼児教育指導者の研修:5日間のワークショップを各地域で約20-25名を対象に実施中。研修後、実際のクラスでのフォローアップ研修を各幼稚園で2日間実施
- 幼稚園に入るための親とコミュニティー理解促進活動:約200人のイラク人幼児の授業スタート
- 心理社会的ケアのワークショップ:90名のボランティア、両親を対象にした短期心理社会的ケアワークショップを各地で実施
【SCJヨルダン活動概要】
<背景>
2003 年にイラクの旧フセイン政権が崩壊し、同国の政治と治安情勢が混乱に陥ったことにより、およそ220万人のイラク国民が周辺諸国に避難していると言われています。
そのうち現在ヨルダンで避難生活を強いられているイラク人は50万人(2007年5月ノルウェーの研究所FAFO発表による)、そのうち半数が 18歳未満の子どもであると言われています。
イラク避難民の流入により、水道・電気などのインフラや病院・学校などの公共サービス、治安維持にかかる負担が増加し、ヨルダン政府の財政負担は窮迫しました。ヨルダン政府は緊急に必要な支援として教育と保健分野への財政・技術面のサポートを国際社会に要請しています。
SCJでは、地域内では最も多数のイラク避難民を抱えるシリアも含め、今後包括的な支援活動を視野に活動を行っていきます。
- 事務所所在地:ヨルダン アンマン市
- 事業地:ザルカ・イルビッド・マフラック
<主な活動>
- 早期幼児教育指導者の育成
ヨルダン教育省・UNICEFが奨励する「遊びを通じた学び(Learning through Play)」を中心に子どもの発達と環境に合わせた教育、クラス作り、子どもとのかかわり方を幼稚園教員へ研修し、教員の基礎能力の向上・育成および教員による避難民受け入れへの理解促進を図る。 - 教育環境の改善
イラク避難民の居住地は首都アンマンに限らず、ザルカ県やイルビッド県、そしてヨルダン北東部およびそのほかの地域へと広がっています。イラク避難民の子どもたちの多くは、学費や交通費、教材・が不足している上、地元の受け入れ施設自体がそもそも存在しない地域があるため、多くは教育機会を得られない状態にあります。SCJはこれらの施設の現状を調査し、使用状態や修復ニーズを確認した上で、修復事業を実施し、施設の整備や遊具・教材の提供を行っています。 - 親を含めた心理社会的サポート(Psycho-social Support)の実施
ワークショップでは、避難生活で物質的・精神的に厳しい環境あるイラク人園児の親を対象に、子どもへのストレスの影響、ストレス軽減方法、不安定な家庭環境を見直し家族の絆を作り出すためのゲーム・話し合いの仕方などを研修しています。参加者はイラク人・パレスチナ人・ヨルダン人など多様な顔ぶれですが、様々な生活環境から来る影響を子どもに与えないように真剣にワークショップに参加しています。 - イラク人・ヨルダン人ボランティアの育成
SCがヨルダンの各事業地において教育支援活動を開始するにあたり、イラク人およびヨルダン人ボランティアの協力を得ています。これらのボランティアは各種研修補佐や親との連絡係などをしながら活動内容をフォローし、早期幼児教育システム強化や指導者育成をはじめとする様々な活動が円滑に進むよう、さらにはヨルダン・コミュニティーとの共生ができるようプロジェクとコミュニティーをつなぐ役割を担っています。