事業の完了報告
ヨルダンで実施してきましたイラク避難民とヨルダン人の親と子どもへの緊急教育支援事業が、2010年8月をもちまして完了しました。以下に、事業の概要について報告します。(2010年12月1日まとめ)
2003年のフセイン政権崩壊から混乱する母国を離れ、周辺国へ避難したイラク人は190万人もいると推測されています。その中でヨルダンへ避難したイラク人親子を中心に教育支援を実施してきました。ヨルダンでの避難生活が長引く子どもたちに対し、幼稚園の施設整備などを通して教育機会の拡大をすすめ、また、幼稚園に入れない子どもたちには、「家庭における教育」を広めるため、「絵本づくりワークショップ」を実施。子どもが家庭で学びの機会を得られるよう、親が教育の大切さに気づき、学びの機会を自らの手でつくってもらうこと、そして厳しい生活環境の中でも、より良い親子関係を築いてもらうことを目的に、活動を展開しました。(上記写真は、作成した絵本を子どもたちに読み聞かせる参加者。2009年7月撮影)
【支援地】ヨルダン国内8県(アカバ、アンマン、イルビッド、カラック、ザルカ、マアン、マダバ、マフラック)
【支援の対象】ヨルダンで避難生活を送るイラク人およびヨルダン人の親・子ども(のべ12,700人)。幼稚園、コミュニティセンター、親子センター合計22施設。
【活動期間】2007年11月19日から2010年8月31日(約3年)
【活動金額】約1億7,000万円 ※ジャパン・プラットフォーム(JPF)、大阪コミュニティ財団(前田哲基金・Panasonic共生社会基金)の助成、株式会社電通リサーチと皆様からのご寄付によって実施されました。
【支援の成果】幼稚園の施設整備・教職員の能力向上を通して、イラク避難民を含めたより多くの子どもが正規の早期幼児教育を受けることができるようになった。正規の幼稚園に通えない子どもたちも家庭やコミュニティで教育や心理社会的ケアを受けることができるようになった。ワークショップ等への参加を通して、イラク人・ヨルダン人の相互理解が促進された。
【主な支援活動と写真】
●幼稚園、コミュニティセンター、親子センター合計22施設の修復と備品の整備(6施設は備品配布のみ)。
←修復前と後の幼稚園。教室の窓を入れ替え、玩具と家具を配置。カーペットを取り替えました。
←幼稚園で遊ぶ子どもたち
●指導者・施設職員・ボランティア合計320人を対象にした能力強化研修。
←絵本づくりのワークショップの運営で活躍するボランティア ●約1,900人の親を対象に、幼児期に必要な教育とケアの知識を深めることを目的とした絵本づくりワークショップを実施。
←時間を忘れて絵本づくりに没頭する参加者(左上)/ワークショップに参加した親子(右上) /つくられた1冊の絵本(左下)/子どものために心をこめて絵本を制作(右下)
●幼稚園や学校に通っていない820人の子どもに対して、幼稚園への紹介や入園サポート。
●イラク人・ヨルダン人の相互理解を促進するためのコミュニティ・イベントに約2,700人が参加。
←2009年10月、ヨルダンでイラク避難民支援を行うNGO3団体が合同で、活動報告会を実施した際の様子。
【ほか、参考となる読み物】
・「子どもに伝えたいマイストーリー」(絵本づくりワークショップ元ボランティア、ブシュラさんのメッセージ)
(セーブ・ザ・チルドレンのニュースレター「SCJ52」p.7-9)
・各活動の詳細については、このヨルダンブログの記事をご覧ください。