【モンゴル】東部ドルノド県から (2009.12.15)
皆さま、セーブ・ザ・チルドレン(SC)をいつもご支援頂きどうもありがとうございます。国内でモンゴル事業を担当している上田雅子です。去る11月21日から2週間、モンゴルの事業地に出張してきました。そのご報告を兼ねて、今回、モンゴルでSC唯一のフィールド事務所があるドルノド県における活動を紹介させて頂きます。
*首都ウランバートル市にはモンゴル事務所本部があり、フィールド事務所とは区別して呼んでいます。
<東の中心地 ドルノド県>
ドルノド県はモンゴル東部にある県で、首都ウランバートル市から615km程離れています。社会主義時代には国営工場が幾つも立ち並び人々の雇用は安定していましたが、90年代初頭の社会主義崩壊・市場経済化以降、ほとんどの国営工場が閉鎖され、深刻な失業・貧困が慢性化しています。ロシア・中国と国境を接し、社会主義時代は特にロシアとの結びつきが強く、ロシア人も多く住んでいました。現在でも、その名残が県都チョイバルサンのあちこちで見られます。
(左)県都チョイバルサンの街中:ロシアの民芸品マトリョーシカを模したモニュメントが立つ。
(右)県都郊外に残るレーニン像。
<ドルノド県での活動を担う現地スタッフ>
SCは、ドルノド県に同国唯一のフィールド事務所を構え、教育分野・子ども保護分野で事業活動を行っています。教育分野の代表的な事業は、「子どもの権利実現のための暴力のない公平な教育環境推進事業」です。活動の詳細はこちらをご覧ください。子ども保護分野では、県都チョイバルサンのヘルリン村で「子ども保護センター」を運営しています。ここは、特に貧困度の高い家族が暮らす地域で、センターでは、貧困家庭の子どもたちに対する生活支援・生活指導のほか、家庭内暴力・育児放棄のリスクの高い子どもたちに対するカウンセリング、その保護者に対する育児指導など包括的な活動を行っています。
(左上)SCドルノドフィールド事務所スタッフ。
(右上)SCがサポートする学校の子どもたち。
(下)SC子ども保護センターの外観とセンターに通う子どもたち。
<県都から100km以上離れた村レベルでの活動>
SCは、チョイバルサンに限らず、県都から100km以上離れた村(「ソム」と呼ばれています)レベルでも活動を行っています。今回は、村レベルの活動地の一つであるツァガン・オヴ村の学校を訪ね、事業のモニタリングを行ってきました。
ツァガン・オヴ村の様子
ツァガン・オヴ村は県都から片道2時間以上も離れていますが、ドルノド事務所のスタッフは頻繁に訪れて活動を担っています。今回のモニタリングでは、ツァガン・オヴ学校の校長と先生と面談し、事業で実施した各種研修の効果・フィードバックを聞き取りました。「研修での学びを実践している」、「次の『体罰のない指導法研修』が待ち遠しい」など校長・先生から事業への満足度・強い期待が次々に口にされ、スタッフの熱心な活動・頻繁な訪問が、学校関係者のSCへの信頼を高め、事業への強い期待・協力姿勢に表れていることを実感しました。
(左)学校長からの聞き取り (右)先生からの聞き取り
<困難な土地だからこそ>
ドルノド県は首都ウランバートル市から遠く、冬期は国内フライトもしばしばキャンセルされるなど、活動が困難な土地だと言えます。実際、今回の出張でも帰国便がキャンセルされ、片道10時間かけて車でウランバートルへ戻ってきました。しかし、アクセスが困難な土地だからこそ、子どもに対する暴力といった子どもの権利侵害問題も対処が進まず、だからこそ、この土地で活動を継続する意義があると考えています。
(左)ヘルリン村:水を運ぶ少年。
(右)サッカーをして遊ぶ少年たち。外の気温は氷点下。
冬期はマイナス45度まで達することもある極寒の土地ですが、SCのスタッフは今日も活動に精を出しています。皆さまの継続的なご支援・ご声援、どうぞよろしくお願い申し上げます。