モンゴル雪害(ゾド)〜子どもたちは今〜(10.04.01)

前回お伝えした通り、モンゴルでは深刻な雪害(ゾド)が起きており、4月1日現在、すでに440万頭以上の家畜が餓死、凍死する事態におちいっています。セーブ・ザ・チルドレンでは、特に被害が甚大な地方の学校寮や幼稚園に通う子どもたちを対象に、食糧・暖炉用の燃料・毛布・衛生キットの配布といった緊急支援を行っています。

Aid Delivery to Kindergarden.jpg
ゲル式の幼稚園に支援物資を届けるセーブ・ザ・チルドレンの車両

マイナス45℃を記録した極寒の中、現地で暮らす子どもたちとその家族の様子について、現地の声をお届けします。

【子どもたちの健康】
現地では、寒さや栄養不足・日照不足に起因する病気が子どもたちの間で広まっています。
病院で小児科医として29年勤めてきた医師のTsetsgee氏は、子どもたちの健康を心配しています。
「感染症や貧血症、ビタミンD欠乏症が子どもたちの間で急増しています。5歳以下の乳幼児死亡率も増加しています。多くの子どもたちが病気で苦しんでいるものの、雪害により道路が切断され、治療を受けることができないでいます。これまでの経験から、雪害が終わってからの子どもたちの健康状態も心配です。冬が明けて、それまで張りつめていた気持ちが緩むと、抑えていた感情や疲れが表出し、うつやノイローゼになったり、体の不調を訴える子どもが増えると予想されます。」

Byambaちゃん.jpgのサムネール画像
写真はビタミンD欠乏症と貧血症のため治療を受けるByambaちゃん(生後3ヶ月)

【家畜への被害が家族に与える影響】
生活の糧である家畜を失う家庭も急増しています。
2人の娘と3歳になる孫を持つKhalzanさん(写真:下)は家畜の死骸の前でこう語ります。

Khalzenさん.jpg「今はもうパニックとしか言いようがない。死んでしまった家畜をどうしたらよいかわからない。道端に放置してよいわけはないが、どう処理したらよいのか。これまで、100匹以上の羊やヤギを飼っていたが、もう30匹も残っていない。家畜が死んだことにより食糧も不足してしまい、家族を養うために、年金を前借りしている状況だ・・・」


6人の子どもと12人の孫をもつTsesmaaさん(写真:下)は、最後の牛を亡くし、孫が来てもミルクを与えることができないと、涙をこぼしながらセーブ・ザ・チルドレンのスタッフに訴えました。

Tsesmaaさん.JPG
「子どもたちは、泣かないで、と私をなぐさめてくれます。でも、牛の乳で育てていたヤギも、70匹から20匹に減ってしまいました。近くで暮らす他の家庭も、羊やヤギをみんな失ってしまったようです。私は昔、獣医として働いていましたが、こんなに大きな規模で家畜が死ぬのを見るのは初めてです。たった1回の雪害がこんなに私たちの生活をめちゃめちゃにしてしまうなんて・・・」


モンゴルの冬は長く、厳しい天候は5月まで続くとみられています。また、冬が明けても、家畜の死骸を原因とする感染症の拡大予防や、子どもやその家族への心のケアが必要となります。セーブ・ザ・チルドレンでは、短期的な支援として引き続き緊急物資の配布や子どもの保護に力を入れていくとともに、中長期的な支援を視野に入れた活動を展開していく予定です。

PAGE TOP