チャイルドセンターの社会サーカス研修(1)(2011.07.11)
こんにちは、日本の皆さま。モンゴル事務所で「子どもの保護」を担当しているウヤンガです。
モンゴルは今、1年で最高の季節を迎えています。辺り一面、緑に覆われています。この時期の週末、公園や川べりや丘などあちこちで、ピクニックを楽しむモンゴル人を見かけます。短い短い夏を200%楽しもうとしています。
さて、ブログでは毎回、モンゴル人スタッフが支援活動についてお伝えしていますが、今回は、チャイルドセンターの運営・活動・モニタリングを担当している私から、モンゴルの最北東にあるSCのドルノド事務所とチャイルドセンターで行っている「社会サーカス研修」について2回に分けてお伝えします。
これは、「シルク・ドゥ・ソレイユ」の支援によって2000年から行われている活動です。2人のサーカス指導員を週に2回、月曜日と木曜日に招待し、2時間の練習を行っています。ここに来るのは、家庭や学校からも阻害された子どもたちですので、まず「楽しい時間を持つ」ということが何よりも重要な目的となっています。
またアクロバテックなサーカスパフォーマンスの練習を通して、運動機能能力の強化、ルールを守ることの重要性、自尊心、他人との協調性、コミュニケーション能力などの社交性も学びます。1日の参加者はおよそ20から30人ですが、今までに延べ約170人の子どもたちが参加しています。子どもたちの両親や親戚を招待しての発表会も企画されました。
その様子をYoutubeでご覧になれます。(※英語になります。)↓
最近、こんな良い変化を子どもたちの中に見ることができるようになりました。
「他者に対して暴力的な態度を取ることが少なくなった」「他人と交わろうという態度が見られるようになった」「学校に戻り、いろいろな活動に積極的に参加するようになった」などです。
また保護者からは、発表会に呼ばれ子どもが自信をもって取り組む姿を見て、
「いかに自分の子どもを正しく評価していなかった。子どものことを気にかけていなかったかと気がついた」
という声が聞かれるようになりました。パフォーマンスのための着替えやメーキャップを手伝うことを通じて、子どもとふれあうきっかけをつかんだ保護者もいました。
私自身が母親ということもあり、家族に見捨てられ、道路で暮らさなければならなかった子どもたちを思うと本当に心が痛みます。自分の子どもと重ねてみてしまうのです。子ともにとって最も大切なことは、「自分は親に愛されて、保護されて、そしていつもそばにいて見守られている」と感じること。それが、人間生きていく上で最も必要なものであるということを、もっと多くの保護者たちに知ってもらいたいと常に思っています。そして、育児に対して「自分の子どもだけ」という狭い視点ではなく、コミュニティという大きな家族で、子どもを守り、健やかな生き方ができるような、そんな社会をつくりたいと考える人が増えることを祈りながら仕事をしています。
次回は、実際に訓練に参加している子どもたちの声や、日本ではあまりなじみのないサーカス訓練指導員のお話もお伝えしたいと思います。お楽しみに。
モンゴルから、ウヤンガより。