現地駐在を終えて (2009.10.05)
支援者の皆さま、はじめまして。
2007年9月から2年間、現地に駐在し子ども保護・教育事業携わってきました上田雅子と申します。今回は、その総括第一弾をぜひご支援いただいている皆様にご報告させていただきたいと思います。
【やっぱり家族と一緒に暮らしたい!−ストリートチルドレンへの支援:家族との再統合サポート】
セーブ・ザ・チルドレン(SC)がモンゴルでの活動を始めたきっかけ、それはストリートチルドレンへの支援です。1990年代、急激な市場経済化を目指した国営企業の大規模閉鎖・民営化の結果、国民の多くが職を失い、日々の食べ物にも困るほどの貧困に追いやられました。1990年代半ばから2000年初めにかけては、数千という子どもたちが街に溢れ、物乞いをして日々の空腹を凌いだりマンホールで暖を取る生活をしていました。
路上での生活
SCが最初に着手した活動は、そういった子どもたちの保護です。寝泊りできるシェルターを開設し、子どもたちの生存・身の安全に最低限必要な支援を行ってきました。
路上で物乞いをする子どもに話しかけるSCスタッフ
2000年代半ばになると、市場経済化もある程度軌道に乗り、モンゴル政府も教育や社会福祉分野の建て直しに本格的に取り組むようになり、貧困を原因とするストリートチルドレンの数は大幅に減少しました。この頃から、SCも「子どもたちの生存・身の安全を確保するための保護」から「子どもたちと家族の心理・社会的リハビリを通した家族の再統合」へと、社会状況にあわせて支援を変化させていきました。
私が現地駐在を始めたのは、ちょうど、SCがストリートチルドレンの家族との再統合支援を本格的に始めた時期と重なります。この頃のストリートチルドレンは、250人〜300人といわれていました。行方が分らなくなってしまった保護者を探し出し、子どもと再び生活できるよう精神的・社会的な立ち直りを支援することは、時間もかかり根気も必要です。2007年から2009年にかけて、SCの支援を受け50人以上のストリートチルドレンが家族との生活を再開しました。
SCが運営するストリートチルドレンのためのセンターで働くスタッフは、センターに来るストリートチルドレンのほとんどが「やっぱり家族と一緒に暮らしたい」と強く願っているといいます。最近は、家庭内暴力や家庭内不和により路上に居場所を求める子どもたちがストリートチルドレンの大半を占めます。
路上生活は自由だけど・・・やっぱり家が恋しい。
SCは、モンゴルの子どもの誰一人として、路上生活を余儀なくされることがないよう、今後も家族との再統合支援を進め、家庭内暴力の追放を目指した予防活動にも注力していきます。引き続き、皆さまのご声援・ご支援どうぞよろしくお願いします。
数年にわたる路上生活の後、母親との生活を再開した男の子。
現在は、年少のストリートチルドレンの相談に乗ったり、センターの情報を提供したりとストリートチルドレンのメンター役を担ってくれている。
【第二弾は、日本でも発売を開始した「ポジティブ・ディスプリンのすすめ」のモンゴルにおける普及活動をご紹介する予定です。】