体罰をなくそう!(2008.12.01)
【体罰に苦しむモンゴルの子どもを一人でもなくすために】
〜JICA草の根技術協力事業スタート〜
【モンゴルの子どもたちの声から】
バトバヤフ(偽名、男の子、7歳)
「僕が答えを間違ったりすると、先生がみんなの前で、僕のことを叱ったり叩いたりするんだ。すごく恥ずかしかった。だから、学校に行くのが嫌になったんだ。」彼は現在学校に行っていません。
〜JICA草の根技術協力事業スタート〜
【モンゴルの子どもたちの声から】
バトバヤフ(偽名、男の子、7歳)
「僕が答えを間違ったりすると、先生がみんなの前で、僕のことを叱ったり叩いたりするんだ。すごく恥ずかしかった。だから、学校に行くのが嫌になったんだ。」彼は現在学校に行っていません。
ノミンゲル(偽名、女の子、11歳)
「先生が学校の行事費として3000MNT(約250円)持ってきなさいと言ったの。そういうことがしょっちゅうあるわ。でも私の家は貧しいから、お金を持って行けないことがあったの。そうしたら、先生が私と他の子とを差別し始めて。。。とても悲しくなった。。。」
モンゴルでは、バトバヤフのように体罰・叱咤罵声を受けたり、ノミンゲルのように金銭の持参を強要され、持参ができないと差別されたりして、登校拒否になったり、ドロップアウトしてしまう子どもたちがいます。
2006 年度に改正された同国の教育法では、生徒に対する体罰・叱咤罵声、不正な金銭の徴収、差別は禁止されています。しかし、同改正教育法が実際の教育現場で守られているとは言い難く、バトバヤフやノミンゲルと同じような思いをしている子どもが今でもたくさんいるのが現状です。
【モンゴルの未来のために】
モンゴルでは急速に市場経済化が進み、貧富の格差、都市部と地方の格差が日増しに拡大しています。子どもたちはそのひずみに立たされており、SCJは昨年からモンゴルでの活動を開始しています。
SCJ は、バトバヤフやノミンゲルの様な悲しい思いをする子どもを一人でも減らし、子どもたちが先生と健全な信頼関係の下、学校での教育を安心して受けられるようになることを目標に、体罰・叱咤罵声、不正な金銭の徴収、差別といった改正教育法抵触行為の総合的かつ根本的な削減を目指したJICA草の根技術協力事業を開始しました。
<活動概要>
- 事業名:『子どもの権利実現のための暴力のない公平な教育環境推進事業』
- 期間:2008年10月1日〜2011年9月 (3年間)
- 対象:モンゴル首都ウランバートル市及びドルノド県の公立学校16校
- 内容
○改正教育法に準拠した学校運営体制作りのサポート
○体罰・叱咤罵声に頼らないポジティブ・ディシプリン指導法の普及
○生徒会・保護者会の強化と市民インスペクション・チームの設置
○教育現場での法施行に責任ある国家監査局の監査能力向上
○改正教育法の周知を目指した一般向け啓発活動(地元ジャーナリストと共同)
○改正教育法抵触行為の被害を受けた子ども・その家族への法的サポート(地元弁護士と共同)
対象校16校の大半が首都中心部から離れた、慢性的失業・貧困・アルコール中毒に悩み家庭内暴力が多く見られる低所得者居住区「ゲル地域」に位置しています。しかし、学校長や学校社会福祉士の学校を良くしたいという思いは強く、これら対象校は同事業を通し、近隣地域に子どもの権利推進の手本を示していくことが期待されます。
【対象校16校での事業説明会を無事終了】
「学校の修繕費って不正な金銭の徴収に当たるのかな?」
「学力補強の為の選択式クラスの費用はどうだろう?」
事業スタッフが16の対象校で行った事業説明会のひとコマ。事業スタッフから出されたクイズに生徒・教員・保護者は頭をひねっています。
SCJ は、同事業のキックオフとして、10月中旬から11月初旬にかけて、対象校全16校で生徒・教員・保護者に対する事業説明会を実施しました。参加者数は、全対象校あわせて800名。事業成功の鍵を握るのは教育現場の生徒・教員・保護者です。このキックオフでは、彼らに楽しみながら同事業のことを学んでもらおうと、子どもの権利や改正教育法にちなんだクイズやゲームを交えて、参加型の説明会にしました。
どの対象校の参加者も事業に強い関心・協力姿勢を示してくれ、生徒からは、「私たち生徒は、実際にどのように事業に参加できるのですか?」といった活発な質問も挙げられました。
【今後の展開】
事業のスタート時点での対象校における体罰・叱咤罵声、不正な金銭の徴収、差別の蔓延度を測り、教員の子どものしつけに対する意識・態度を把握する為、 2008年11月下旬から2009年2月下旬に基礎調査を実施します。
基礎調査結果は、今後3年間の事業進捗及び目標達成度を測るために活用されます。基礎調査後は、教員を対象とした指導法研修のモジュール作成などに移っていきます。
同事業は、既存の学校運営体制や教員の意識・態度を子どもの権利に則したものに変えていくという、目標達成の定量化が非常に難しいものであり、チャレンジングな取り組みと言えます。しかし、市民社会が着実に育ち、子どもへの暴力削減への関心も高まってきているモンゴルであれば、SCJが子ども権利推進団体として世界各地で培ってきた知見を基に、子どもたちの明るい未来を描けるようになると信じています。
支援者の皆さま、モンゴル事業への応援をどうぞよろしくお願い致します!
今後もホームページ上で、定期的にご報告させて頂きます。