藤野ミャンマー駐在員の手紙(特別ページ)
(以下は、アニュアルレポート2009に掲載された、藤野スタッフのメッセージです。
アニュアルレポート2009はこちらからご覧になれます。)
皆様はじめまして。2009年8月にミャンマーの駐在員となりました藤野と申します。昨年私たちが力を入れた活動に、子どもたちの下痢などの感染症を防ぐための水と衛生の事業(※)があります。
飲料水やトイレなどの水道設備が普及していないため、それらの設置・整備が必要なのです。ただし、設備が整っても、使う文化や習慣がないと浸透していかないのが実状です。本当に苦労している点ではありますが、解決の糸口を思わぬところで見つけました。小学校です。今まで何度か小学校にトイレと手洗い場を設置したことがありますが、必ずといっていいほど、最初は誰もトイレの後に手を洗いません。そこで、「トイレの後は!」という歌や、「石鹸で手を洗おう!」というダンスを教えてあげる訳です。歌詞とフリを覚えさせてしまえば、私たち大人はジャマもの。みんな最高の笑顔で、トイレの後でもないのに歌って踊って手を洗ってますから。
私たちが「いいことをやっている」と思っていても、子どもたちがメリットを感じていなければ、ただの押しつけになってしまうということです。国や年齢が違っても、相手の目線に立ち、創意工夫をこらせば伝わるということを、身をもって学びました。
(※)2008年5月に発生したサイクロン・ナルギスで被災した、ヤンゴンとエヤワディ管区の47,500人に対して、2009年、安全な飲み水の確保、トイレの設置、衛生推進教育などを実施。サイクロンの直後、現地の住民が利用する貯水池の半分が壊れ、人口の60%近くが安全な飲み水を得ることができない状況でした。SCJはUNICEFとの協働で、現地の長期的な復興のために、28の貯水池を修復、2つを新しく建設。27の小学校に衛生的なトイレと給水所、手洗い場の設置を行いました。約5,000人の生徒が衛生推進教育を受け、下痢に罹る子どもが減り、水汲みの必要がなくなって勉強や遊び時間が増え、特に、トイレがなくて学校に通いづらかった女の子たちに喜ばれています。また学校に限らず、地域に対して、衛生に関する啓発活動を行い、水のろ過器などを配布しました。