サイクロン災害から1年(2009.04.20)

【ミャンマー・サイクロン災害から1年】

2008年5月3日未明にミャンマーを襲い甚大な被害をもたらした大型サイクロン「ナルギス」から1年。セーブ・ザ・チルドレン(以下SC)は災害直後から援助活動を開始し、これまでにおよそ60万人のサイクロン被災者を支援してきました。

ミャンマー政府発表によると、死者84,000人、行方不明者53,000人、80万戸以上の家屋が倒・損壊した災害の爪痕は大きく、緊急援助にも多くの困難が伴いました。しかし、日本をはじめ世界中から温かいご支援が集まり、被災地は確実に復興への道を歩んでいます。

ただ、災害が大きかっただけにまだまだ問題も多く、特に、復興の兆しをみせている都市部やその周辺に比べて、農村部ではいまだ家の再建や収入の回復が厳しい状況です。13万人の人々がきちんとした家で生活ができず、被害が甚大であった地域では、多くの人々の収入が半減したままです。SCは、中長期的視野に立ち、今後もサイクロンの被災者を含め、ミャンマーの子どもたちのために活動を展開していきます。

被災直後の村の様子
【この1年の主な活動】
  • 食糧支援
    計262,832人に食糧を配布しました。
  • 保健
    コミュニティ密着型の保健・栄養チームを組織することにより、79村の123,000人に保健サービスへのアクセスを確保しました。
  • 栄養
    18,994人の母親・保護者に、乳幼児に対する適切な食事方法についての研修を実施しました。
  • 水と衛生
    3,280ヶ所の給水施設を洗浄、修復、もしくは設置することにより、248,623人に水の支援を、また11,266世帯および311校の学校やチャイルド・フレンドリー・スペースのトイレを修復・設置しました。
  • 教育
    147,402人の子どもと1,144人の大人を支援してきました。86,167セットの教材セットを配布しました。
  • 子どもの保護
    35,000人以上の子どもと10,000人の大人が、緊急支援としてのチャイルド・フレンドリー・スペースの活動に携わってきました。これらSCが設置・支援してきたチャイルド・フレンドリー・スペースは、幼稚園(Early Childhood Education)として移行していったり、コミュニティ・センターとして引き継がれたりしています。また、SCが支援してきた、親と離れ離れになった 953人の子どものうち73%が現在親戚と暮らしており、16%がなんらかのかたちで、コミュニティの保護を受けながら生活しています。
  • 生計支援
    40,351世帯に、緊急生計支援を実施しました。また、サイクロンで被害を受けたインフラの整備を実施し、コミュニティに短期的な雇用を創出し、災害からの復興期の生計を確保する支援も実施しています。

研修の様子
【緊急から復興へ〜生計支援】
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下SCJ)は、ジャパンプラットフォーム(JPF)の助成を受け、8月よりエヤワディ管区で漁業復旧支援を実施しています。貧困層を対象に、被災地75村において、サイクロンにより生計手段を奪われた約3,500の被災家庭(約15,000人)を対象に、ボートや魚網を配布し、漁業復旧を通じて生計の立て直しを支援しています。

あわせて、家計管理に関する研修も実施し、漁民たちがさらに収入を向上するための研修も実施しています。今後は、漁業以外の活動(農業や牧畜、仕立など)についても、特に貧困層の人々が失われた生計を回復し、収入を向上できるよう、できる限り最大の効果を生むための生計支援を継続していく予定です。

(左)支援している子どもと一緒の大須賀スタッフ (右)ボート贈呈式で


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