「守ってみせる、私たちが」(2009.09.01)

子どもたちの笑顔が増えた
[子どもたちの笑顔が増えた]

今年の5月に内戦が終結したスリランカ。平和が戻ってきても、戦闘による農村の疲弊から、子どもたちは栄養失調や性的虐待、感染症など様々な脅威にさらされています。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は、いち早く戦闘が終わったスリランカ東部のトリンコマレ県で、2008年からジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受け、早期幼児ケアに焦点を当てて支援活動を行ってきました。

【2008年にSCJが行った支援の内容と成果】

  1. 施設の整備
    【活動】
    ・25か所の早期幼児教育センターの建設と修復
    【成果】
    ・962人の子どもがセンターに通えるようになり、地域の子どもたちの発育や健康状態の把握が容易になった
    受益者数:センターに通う子ども:962人/センター教員:50人

  2. 栄養・衛生環境の改善
    【活動】
    ・栄養補助食料の配給(週5日)
    ・トイレ18か所と井戸17か所の設置
    【成果】
    ・センターに通う子どもが、1日に必要と言われる穀物100グラム分のカロリーを摂取できるようになった
    ・子どもたちの感染症の危険が減った
    受益者数:センターに通う子ども:962人

  3. 子どもの保護や教育についての住民の理解促進
    【活動】
    ・教員研修とセンター運営委員研修の実施
    【成果】
    ・参加者の子どもの権利や子どもの心理的ケアに関する理解が深まり、情報を共有することができた
    受益者数:教員とセンター運営員:96人

【大人の意識が変わる】

文具や食糧の配布、施設の修復とともに、SCJが重視したのは大人たちの意識を変えることでした。内戦によるトラウマやストレスを抱えたり、先述のような様々な脅威にさらされている子どもたちには、「自分が周りから守られている」という安心感が必要なのです。修復を行った施設でSCJは、教員や施設運営委員を中心とする地域住民に対して、子どもの保護や心理的ケア、教育の重要性についての研修を実施しました。

タイトルの言葉は研修に参加したある父親の決意です。その他にも、参加した親たちからは「子どもの権利、心理的ケアについてなど研修を通じて学んだことは新しいことばかりで、本当に良かった」「子どもの安全・発達のため、地域に根差した活動が重要であり、自分たちにも大人としての責任があること、また議論に参加できることを知った。」などの声が聞かれました。

住民たち自身が、地域に根差した子どものケアを行っていくという将来像・目標を明確にしたのは大きな一歩です。それを根底に、今後は赤ちゃんがすくすくと育っていくこと、早期幼児教育センターの充実、そのための新たな所得を作りだすことに、地域ぐるみで取り組んでいきます。

住民の取り組みをサポートするため、SCJは2009年9月からトリンコマレ県の5郡で、800人の子どもとその母親を含む82000人の地域住民に対して以下の活動を行い、地方行政や事業地の村落共同体が一体となった子どものケア体制の構築を目指します。

  1. 乳児とその母親を対象とする家庭訪問型ケア:
    女性ボランティアによる栄養や衛生の巡回指導
  2. 幼児を対象とする地域参加型ケア:
    就学前施設の建設・修復、教員研修、給食、健康診断
  3. 村落共同体の子どものケアへの参画促進:
    事業についての説明会の開催や所得創出活動のセミナー実施

ECDセンターで学ぶ子どもたち
[ECDセンターで学ぶ子どもたち]

【SCJのスリランカでの支援活動】
今年5月の内戦終結から間もないスリランカ北部では、病院や学校、道路など社会インフラの多くが破壊されているほか、28万人があらたに国内避難民となるなど、人々の生活は大きな困難に直面しています。SCJは、北部で内戦の終結が間近に迫った今年2月から、JPFの助成を受け、北部ワウニア地域の避難民キャンプにおいて食糧や生活必需品の配布、教育支援を実施しています。

今回のスリランカ東部での子どものケアは、外務省からの助成に加え、オンワード様をはじめとする皆様からのご寄付により実施されます。
SCJは、内戦の影響を強く受けている北部・東部ともに支援を行うことにより、スリランカの未来を担う子どもたちを包括的にサポートしていきます。


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