内戦終結から1年半 子どもたちは今 〜北部帰還民支援〜(2010.12.15)
内戦終結から1年半。内戦で故郷を追われた人々も、半年から一年にもおよんだ国内避難民キャンプでの生活を終え、北部にある自分たちの村々に戻りつつあります。昨年末から本格化した避難民の帰還は今年に入ってさらにそのペースを速め、これまで北部に帰還・再定住した避難民の数は23万人に上っています。その一方で7万3千人もの人々が未だにホスト・ファミリーや一時待機所などで故郷へ帰れる日を待っています。たとえ故郷に帰れたとしても、内戦で家屋、家畜や田畑といった生活の糧を失ってしまった帰還民の生活は困難に満ちており、彼らの生活の立ち上げを支援することが急務となっています。
建物は激しく損傷し、弾痕が残り、当時の戦闘の激しさを伝えています。
帰還先の街は少しずつ活気を取り戻しつつありますが、復旧ははじまったばかりです。
SCJは、帰還の進む北部のキリノッチ県、ムライティブ県において、ジャパン・プラットフォームからの助成により、内戦によってばらばらになったコミュニティー内の互助システムを再構築し、子どもたちが様々な脅威から保護され、かつ、子どもたちの健全な発達を促すことのできる社会基盤作りを目指し、(1)仮設住居の提供、(2)臨時学習所・子ども広場の移設と維持を実施しています。
(1)仮設住居の提供
帰還が進む村では、戦闘により多くの人が住む家を失いました。人々は帰還後も屋外にテントを張り、トイレ設備のない環境で生活していました。
SCJは、戦闘で家屋を失った帰還民205世帯(特に寡婦やお年寄り、障がいをもった子どもを持つ家庭など社会的に脆弱な世帯)を対象に、仮設住居とトイレの建設を進めています。
(写真左)仮設住居が出来る前はビニールシートやトタン板を組み合わせたテントに住んでいました。
(写真右)本事業により建てられた仮設住居と仮設トイレ
仮設住居の提供により、子どもたちやその保護者たちが生活を立て直し、家屋を再建するまでの資金を貯めるまでの間、雨や直射日光を防ぐ屋内で生活することができ、生活の再建に注力するための最低限の環境を整えることができます。
また、ホスト・ファミリー宅など、プライバシーのない環境で長期間暮らしていた家庭の子どもたちは、両親への反抗やストレスなど、子どもの発達にとってネガティブな影響が出やすいと言われていますが、仮設住居の提供により、子ども達や保護者は最低限のプライバシーを確保することができます。
「村に戻ってから5ヶ月ぶりに屋根のある家に住むことが出来ました。
これで雨が降っても心配する必要がなくなりました。」
(2)臨時学習所・子ども広場の移設と維持
北部では、戦闘によりほとんどの学校校舎、幼児教室が半壊・全壊しました。
SCJはこうした状況を受け、避難民キャンプ内に設置した臨時学習所および子ども広場を、帰還・再定住地域へ移設し、不足している紙、粘土、絵具などの文具、ボール、クリケット・バットなどのスポーツ用品、積み木やブロックなどの遊び道具を配布しました。
臨時学習所および子ども広場を移設・維持していくことにより、子どもたちの安全を確保し、虐待や暴力から守り、遊び、学ぶことができる環境を整え、子どもたちが新しい生活環境へ適応できるよう支援を行いました。
また、敷地内は教員、ボランティアの目が行きとどくため、子どもたちを暴力や搾取などから守ることができ、子どもを施設に預けている間、親は子どもの心配をすることなく、生活再建のための仕事に専念することができます。
子ども広場での授業風景。クリスマスの発表会に向けて、劇の練習をする子どもたち。
写真一番右は真嶋スタッフ
写真左の女の子に「何を作っているの?」と聞いたところ、「お父さんのお墓」という答えが返ってきました。
女の子の父親は爆撃で昨年亡くなっています。
(写真左)公立学校の敷地。爆撃により建物が全壊
(写真右)避難民キャンプから移設した臨時学習所で勉強する学生たち