スリランカ東部洪水支援開始(2011.2.21)
昨年末から今年1月末にかけて二度にわたって集中豪雨に見舞われたスリランカでは、洪水による被害が拡大しています。この集中豪雨により、北部州、東部州および中央州の各地で地滑り、土砂崩れが多発しているほか、貯水池から水が溢れ洪水になるなど、深刻な被害が出ています。2月8日現在、この災害による被災者は125万人(34万世帯)に上り、そのうち14万人(4万世帯)が各地に設置された584カ所の避難所に一時避難しています。降雨は現在も断続的に続いており、予断を許さない状況の中、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は、ジャパン・プラットフォームの助成により、被災者の90%が集中する東部での支援を実施しています。
【支援地域】
SCJが支援を実施しているのは、最も深刻な被害を受けている東部州です。人口の7割が農業(ほとんどの収入が1日2米ドル以下の小作貧農)で生計をたてていまが、今回の洪水により田畑が大きな被害を受けたため、今後の生活に深刻な影響を及ぼすとみられています。また子ども達の栄養失調率も他州に比べて高い地域ですが、栄養状態もより悪化するのではないかと考えられています。津波や長年にわたる内戦を経て、ようやく生活を取り戻しつつあった人々にとって、今回の災害は大きな痛手です。
【活動分野】
被災地では仮設住居の設置や衛生用品などの緊急支援物資の配布が求められています。それに加え、被災者が自宅に戻りつつある今後数か月後は、食糧支援、生計の復興支援、学校教育の正常化、疫病の防止への支援が必要とされています。
セーブ・ザ・チルドレンは洪水発生直後から緊急支援物資の配布を実施しているほか、1月下旬より、以下の教育支援と乳幼児の栄養と衛生に関する支援を実施しています。
1. 教育支援
東部では、1,200の学校(全体の30%)が浸水や破損したほか、避難所として転用されたため、多くの学校でいまだ授業が再開できずにいます。加えて、多くの子どもたちが、洪水で教科書や筆記道具などを失い、授業が再開されたとしても、学校に戻れることでできていないことから、教育施設の修復と子ども達へ学習カバン、文具などの学習用品や衣服の配布を行い、約12,500人の子ども達が学校に戻り、再び勉強できるように支援を行います。
2. 乳幼児の栄養や衛生に関する支援
被災後の地域では、物流の途絶による食料品の価格高騰や、生計手段を失った被災世帯の経済的困窮などから抵抗力のない幼い子どもたちが急性栄養失調にかかる恐れが高くなります。また、井戸の汚染による清潔な水の不足や、汚物散乱による衛生環境の悪化も懸念されます。そこで、被災者のうち、最も支援を必要としている世帯の1-5歳児1,200名に1ヶ月分の高カロリー栄養補助食を、0-1歳児1,440名に乳幼児キット(おむつ、乳幼児用蚊帳、石鹸など)と衣服を配布し、乳幼児の栄養や衛生の維持・改善に努めます。
【被災者の声】
パクヤラニさん 女性・32歳(バティカロア県)
「洪水で私たちの家の壁一面は完全に崩れてしまいました。調理具も全部なくなってしまいました。このあたりは蛇がたくさんいて、子ども達が噛まれてしまわないか心配です。この村には交通手段がないから、万が一噛まれたら10キロも離れた病院に向かう間に死んでしまいます。」
「畑で育てていたお米はほとんどダメになってしまいました。新たに耕作したり、食糧を買ったりするお金がないから、今は一日一食、配給されたお米と少しの野菜しか食べられません。」
ヴィジェヤカンスさん 男性・25歳(バティカロア県)
「私たちの村は、長年内戦に苦しんできて、ようやく復興し始めていたところでした。
来月には、2人目の子どもが生まれるというのに、洪水で子牛を失い、石工の仕事もなくなってしまいました。不安はありますが、なんとかして仕事を見つけ、無事に子どもが生まれることを願っています。セーブ・ザ・チルドレンから乳幼児キットをもらえて、本当に嬉しいです。生まれてくる赤ちゃんにちゃんと洋服を着せてあげられるのがとても嬉しいのです。」