(公開日:2015.01.19)
貧困・格差、不平等、気候変動を解決するための市民キャンペーンAction/2015が始動
~「2015年は新世紀が始まって以来の最も重要な年」として、マララさん、ビル・ゲイツ氏、マット・デイモン氏らによる世界の首脳たちに向けた公開書簡が発表されました~(2015.01.19)
- アドボカシー
2015年1月15日、世界120か国以上から1,000を超えるNGO/NPO等の市民団体が参加し、貧困・格差、不平等、気候変動の解決に向けた大規模の市民キャンペーンである「Action/2015」が正式に開始されました。セーブ・ザ・チルドレンは、90年以上にわたって子どもの権利実現のために活動する国際NGOとして、このキャンペーンで中心的な役割を担っています。
このキャンペーンには、昨年度のノーベル平和賞受賞者であるマララ・ユスフザイさんや、マイクロソフト創業者で慈善事業家のビル・ゲイツ氏、俳優であり環境問題の活動家でもあるマット・デイモン氏など総勢32名の著名人も賛同の意を表明し、2015年という重要な年に、世界のリーダーたちに地球規模課題の解決に向けた強いリーダーシップを求める公開書簡を発表しました。
Action/2015は、これまでにない大規模のキャンペーンですが、なぜ2015年が重要な年なのでしょうか?それは、2015年に開催される二つの国連サミット―9月の国連総会、そして12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)―において、貧困・格差、不平等などに関する新たな目標である「ポスト2015年開発目標」、そして気候変動に対処するための新しい枠組みが採択されることが予定されているからです。
市民社会は、それら目標や枠組みが、真に貧困・格差、不平等、気候変動等の解決を実現するものとなるよう、国連と各国政府に働きかけるために、この世界規模のキャンペーンを立ち上げました。今回発表された公開書簡は、Action/2015の開始に合わせて発表されたものです。
公開書簡全文
2015年1月15日
世界の指導者の皆さまへ
?:すべての皆さまへ
ベン・アフレック(俳優・映画監督・東コンゴイニシアチブ創設者、米国)
ジミー・ウェールズ(ウィキペディア創設者、米国)
アーミル・カーン(映画俳優・活動家、インド)
ビル・ゲイツ(ビル&メリンダ・ゲイツ財団創設者、米国)
ヒュー・ジャックマン(俳優、オーストラリア)
スティング(ミュージシャン、シンガー、ソングライター、活動家、英国)
デズモンド・ツツ(名誉大司教、南アフリカ)
マット・デイモン(俳優、Water.org創設者、米国)
ドゥバンジュ(ミュージシャン・活動家、ナイジェリア)
ボノ(U2のリードシンガー&ONEの共同創設者、英国)
マララ・ユスフザイ(ノーベル平和賞受賞者、教育活動家、パキスタン)
ムハマド・ユヌス(ノーベル平和賞受賞者、グラミン銀行創設者、バングラデシュ)
他20名
歴史には転換点があります。私たちは、2015年はそのような転機になると考えています。今年は、世界的な意思決定を行う上で、新世紀が始まって以来の最も重要な年なのです。
私たちは、2015年に新たな国際協定を結ぶことは可能だと信じています。この新たな協定は、世界のあらゆる人々を元気づける、人類と地球にとってのより良い安全な未来に向けた道筋について合意するものです。私たちは、持続可能な開発への道筋を選択できます。あるいはそれをせずに、幾世代にもわたって後悔することも可能です。あなたはどちらの歴史に賭けますか?
無視することのできない何百万もの声があります―あなた方はその声を発している人びとの代表です。地球上のあらゆる場所から聞こえる、あらゆる年齢層の人々の声―それは教育の機会を奪われた少女の、ヘルスケアを受ける機会を奪われた妊婦の、働きがいのある人間らしい仕事を得る機会を奪われた若者の、腐敗した役人による差別を恐れる少数民族の家族の、気候変動による難民として都市に移住せざるをえない農民の、そしてその他何十億もの人々の声です。彼らの叫びは、人々を貧しいままに放置している不平等と不公正に対して、更に大きくなっています。彼らと、彼らの側に立つ全ての人々は、あなた方が人類という一つの家族のために、壮大な新しい国際協定を策定し、実現のために世界が共に行動することを求めているのです。そして喜ばしいことに、2015年には、まさにそれを行うための歴史的な機会が与えられるのです。
今年、二つの重要な国連サミットが開催されます。一つ目は9月の国連総会です。同総会において、全世界が極度の貧困の根絶、不平等の克服、そしてより持続可能な地球の未来に向けた新たな目標に合意する必要があります。二つ目は、その2ヵ月後の12月に開催される国連気候サミットです。気候サミットでは、私たちの快適な暮らしが、子どもたちの未来の犠牲の上に成り立たせるべきではないという決意が明らかにされるべきです。
資金調達に関する重要な議論とともに、この二つのサミットは、私たちの人生で最大の機会といえるでしょう。私たちは、エイズ、マラリア、予防可能な病気やオゾン層の保護に対する過去の努力の経験から、皆が団結すれば大きなことを成し遂げられることを知っています。しかしながら、これらのサミットが数カ月後に迫った今でも、必要なリーダーシップを発揮する指導者はほとんどいません。気候変動で進捗は見られますが、必要とされる規模には達していません。また、非常に意欲的な一連の目標が提示されているものの、世界の指導者たちが目標達成に向けて、大胆な資金調達と実施手段に合意しなければ、それらの目標は意味のないものになるでしょう。
今変革を起こさなければ、あなた方指導者たちは世界をあてもなく歩き回るだけで、近年の歴史上最大の失敗へと向かうことになります。私たちはそれを恐れています。立ち上がるのに遅すぎることはありません。変革に向けた支援をお願いしたいのです。
ここで明確にしたいのは、2015年に取る行動が、今後数十年にわたって世界がどの方向に向かうかを決めるということです。ぜひ正しい道を選んで下さるようお願いいたします。
以上
⇒公開書簡英語原文はこちらです