南スーダン難民の子どもたちに対する緊急支援をウガンダで実施

南スーダンの首都ジュバで7月に起きた戦闘は、多くの人びとの命を奪いました。南スーダン国内で暴力が拡大していく中、国外に避難する人びとが急増しています。南スーダンと国境を接するウガンダには、30万人以上の南スーダン難民がおり(※8月22日時点、難民申請中を含む)、現在、ウガンダは南スーダン難民の最大の受入国となっています。

ウガンダ北部地域、アジュマニ県。多くの人びとの避難先となっているこの地域では、子どもたちが置かれた状況は特に深刻です。この地域だけでも500人を超える子どもたちが、親や保護者を亡くした、あるいは避難の途中ではぐれてしまったといった理由で、誰にも付き添われることなく子どもだけでウガンダに逃れてきました。また、900人近い子どもたちは、本来一緒にいるはずの親や保護者と離ればなれになり、他の大人に付き添われ、国境を越えてきました。


フェンスからぼんやりと外を見つめるトミーさん(*仮名、7歳)も、そうした子どもの1人です。彼は母親を亡くし、おじと2人の兄弟と一緒に、ウガンダ国境に逃れてきました。左手首に巻かれた黄色のバンドは、彼が最近ウガンダにやって来て、登録されたばかりの難民であることを意味しています。


背後では、拡声器から流れるけたたましいアナウンスの声や、難民の人びとを乗せて行き交うトラックの騒音が響いていますが、トミーさんは、ただぼんやりと埃っぽい道路を眺めています。

トミーさんは、セーブ・ザ・チルドレンが運営する「こどもひろば」の活動に参加するようになりました。
「こどもひろば」は、避難生活という緊急下でも、子どもたちに安心・安全な場所を提供するための取り組みです。お絵描きや塗り絵、音楽、ダンス、演劇などの遊びや、同年代の子どもたちとの交流を通して、心理面でのストレスを軽減する活動、子どもらしさや日常を取り戻すための心理社会的なサポートを行います。訓練を受けたスタッフが子どもたちの様子を観察し、必要であれば専門家の支援につなぎます。

色とりどりのおもちゃに囲まれ、子どもたちのはしゃぐ声が響くこどもひろばのテント。しかし、この活動に参加したトミーさんは、その日、一言も発しませんでした。
トミーさんは、南スーダンで戦闘から避難している途中に、母親を目の前で亡くしました。彼はこの大きな悲しみを抱えながら、ウガンダに逃れてきたのです。

言葉を発する、泣く、他の子どもと遊ぶようになる――過去に辛い体験をした子どもは、このような行動が再びできるようになるまで時間がかかることも少なくありません。

セーブ・ザ・チルドレンは、ウガンダにある南スーダン難民一時滞在センターや居住区で、「こどもひろば」の活動を実施し、トミーさんのようにウガンダに逃れてきた南スーダンの子どもたちに対して、支援を行っていきます。


ウガンダのこどもひろばの様子

―ウガンダにおける南スーダン難民の子どもへの緊急支援―
2016年7月上旬に発生した南スーダン国内での武力衝突により、周辺国に逃れる南スーダン難民が増加しています。ウガンダでは、8月末時点ですでに30万人を超える南スーダン難民を受け入れており、一時滞在センターも飽和状態です。この混乱の中で、家族と離散してしまった子どもたちも少なくありません。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、このような子どもたちに対する緊急支援物資の配布および子どもの保護事業を実施しています。

事業期間 2016年8月22日~
事業分類 【緊急・人道支援】【子どもの保護】

本事業は皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォームの助成により実施しています。

(報告:不破麻理子、藤井麻衣子)
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