(公開日:2020.06.20)
ロヒンギャ難民の子どもたちと新型コロナウイルス感染症-Stop the War on Children (SWOC)ユースチーム vol.1
- アドボカシー
※下記はStop the War on Childrenキャンペーンを国内で推進するユースチームによる発信です。
私たちは、紛争下で暮らす子どもたちの権利が守られ、すべての子どもたちが教育を受けることのできる社会を実現するため、活動している学生のチームです。
6月20日の世界難民の日に国連が発表した統計によると、2019年に、紛争などで故郷から避難を余儀なくされた人たちは、世界で7, 950万人以上にのぼり、その約半数は子どもたちです(*1)。セーブ・ザ・チルドレンが支援活動を続けるバングラデシュ南東部コックスバザールには、約86万人(*2)のロヒンギャの人々が避難生活を送る難民キャンプがあり、世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念されてきました。ロヒンギャ難民キャンプで何が起こっているのか衛生や教育面からの現状と、ユースチームの私たちの考えなどをお伝えします。
難民の母親に母乳育児の重要性ついて説明をするセーブ・ザ・チルドレンのスタッフ
私たちは、紛争下で暮らす子どもたちの権利が守られ、すべての子どもたちが教育を受けることのできる社会を実現するため、活動している学生のチームです。
6月20日の世界難民の日に国連が発表した統計によると、2019年に、紛争などで故郷から避難を余儀なくされた人たちは、世界で7, 950万人以上にのぼり、その約半数は子どもたちです(*1)。セーブ・ザ・チルドレンが支援活動を続けるバングラデシュ南東部コックスバザールには、約86万人(*2)のロヒンギャの人々が避難生活を送る難民キャンプがあり、世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念されてきました。ロヒンギャ難民キャンプで何が起こっているのか衛生や教育面からの現状と、ユースチームの私たちの考えなどをお伝えします。
難民の母親に母乳育児の重要性ついて説明をするセーブ・ザ・チルドレンのスタッフ
【衛生面】
5月14日にロヒンギャ難民キャンプで新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されました(*3)。難民キャンプでは、約86万人が過密状態で暮らしており、他者と一定の距離を保つことが非常に難しい状況にあります。衛生状態や医療サービスも十分ではありません。また、ロヒンギャ難民の5歳未満の子どもの11パーセントは、急性栄養不良に苦しんでおり、仮に新型コロナウイルスに感染すると合併症のリスクが高まると言われています(*4)。セーブ・ザ・チルドレンの保健医療ディレクターで医師のシャミム・ジャハンは、「コックスバザールにある世界最大の難民キャンプで新型コロナウイルスの感染者が確認された現在、私たちはこの感染症で何千人もが亡くなる可能性が現実味を帯びてきている」と訴えています(*5)。
【教育】
難民キャンプにいる子どもたちは普段から教育を受けることが難しい状況です。学習センターなどを通じて、初等教育を受けられる子どもたちは増えてきていますが、97%の子どもたちが中等教育を受けられていない状況です(*6)。こうした状況のなか、新型コロナウイルスの影響で、子どもたちを取り巻く教育環境は、さらに悪化しています(*7)。多くの子どもたちにとって、大切な学ぶ場所だった学習センターは感染拡大を防ぐため閉鎖。キャンプ内ではインターネット環境が制限されているため、オンラインで授業を受けることが難しく家庭内での教育の機会も限られています(*8)。
キャンプにて衛生に関する研修を行うセーブ・ザ・チルドレンのスタッフ
【ユースチームからの意見とみなさんと一緒に考えたいこと】
1.新型コロナウイルスの感染が広がるなか、難民キャンプに住む人々は不十分な衛生環境下で、治療に必要な人工呼吸器などの医療機器も不足しているといった、医療施設も整っていないという厳しい状況での生活を強いられています(*9)。それだけでなく、生計手段がなく、非常に困難な状況に置かれています。そうした難民の人々の声を聞き、優先的に支援する必要があると考えます。
2.日本の学生のみなさんのなかにも、オンライン授業を受けることが難しい環境にある人や、日常と異なる状況にとまどいを感じている人もいるのではないでしょうか。難民キャンプで避難生活を送る子どもたちも同様だと思います。学びたいという強い気持ちがあっても、非常事態では勉強をする機会は非常に限られています。自分たちの経験も通し、このような難民の子どもたちも思う存分学べるように、私たちにできることを考えていきませんか。今後、私たちユースチームはSWOCをテーマとしたワークショップの実施などを検討しているので、考える機会にしてください。
キャンプにて衛生に関する研修を行うセーブ・ザ・チルドレンのスタッフ
【ユースチームからの意見とみなさんと一緒に考えたいこと】
1.新型コロナウイルスの感染が広がるなか、難民キャンプに住む人々は不十分な衛生環境下で、治療に必要な人工呼吸器などの医療機器も不足しているといった、医療施設も整っていないという厳しい状況での生活を強いられています(*9)。それだけでなく、生計手段がなく、非常に困難な状況に置かれています。そうした難民の人々の声を聞き、優先的に支援する必要があると考えます。
2.日本の学生のみなさんのなかにも、オンライン授業を受けることが難しい環境にある人や、日常と異なる状況にとまどいを感じている人もいるのではないでしょうか。難民キャンプで避難生活を送る子どもたちも同様だと思います。学びたいという強い気持ちがあっても、非常事態では勉強をする機会は非常に限られています。自分たちの経験も通し、このような難民の子どもたちも思う存分学べるように、私たちにできることを考えていきませんか。今後、私たちユースチームはSWOCをテーマとしたワークショップの実施などを検討しているので、考える機会にしてください。
※ロヒンギャの人々:ロヒンギャの人たちは、ミャンマー西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族です(*10)。長い間、ミャンマーの軍事政権下で差別と迫害に苦しみ、過去に何度もバングラデシュへ避難しています。2017年8月25日ミャンマー国内での暴力が激化して以降、ミャンマー国内からの強制的な立ち退き、組織的な暴力、レイプ等に直面し、難民の数はさらに増えました(*11)。現在バングラデシュ南東部コックスバザールにある難民キャンプでは、およそ86万人のロヒンギャ難民が避難生活を送っています。
【第一回発信を担当したメンバーより】
今回、初めてSWOCユースチームの発信原稿を担当しました。私たちは、今後も世界の子どもたちの現状について発信を行っていきます。今回、特にロヒンギャ難民をテーマにした理由は、今回執筆を担当したメンバーが、以前国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が主催する難民映画祭(*12)でロヒンギャ難民に関する映画を見たときに、彼らはもともと住んでいたミャンマーで国籍が認められておらず、本来自分たちが持つ権利が守られていない、むしろ迫害を受けているという事実を知り、衝撃を受けました。私たちがロヒンギャ難民について取り上げることで、より多くの方にその現状を知って学んでもらいたいと考えたためです。今回原稿作成にあたり、改めて最新情報を調べたり、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのスタッフから話を聞くなどして、複雑な背景について私たち自身も理解を深めることができました。
執筆者:朝倉凜花(大学1年)、田中美紗希(大学3年)、橋本明夢香(大学3年)、長谷川玲也(大学院入学予定)
(注)
*1 https://www.unhcr.org/globaltrends2019/
*2 https://www.humanitarianresponse.info/sites/www.humanitarianresponse.info/files/documents/files/final_iscg_sitrep_-_april_2020.pdf
*3 https://www.bbc.com/japanese/52671894
*4 https://www.unicef.or.jp/news/2020/0121.html
*5 https://www.savethechildren.net/news/reports-first-confirmed-coronavirus-case-rohingya-refugee-camps-major-cause-concern
*6 https://www.unicef.or.jp/news/2019/0118.html
*7 https://www.japanforunhcr.org/archives/19996
*8 https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=3246
*9 https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=3238
*10 https://www.savethechildren.org/us/what-we-do/emergency-response/rohingya-crisis
*11 https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=2593
*12 https://www.unhcr.org/jp/refugee-film-festival