【政策概要】感染症の世界的大流行に備えて:『パンデミックはコミュニティで始まり、コミュニティで終わる―パンデミック条約のガバナンスへの市民社会の参加が重要な理由』を発表

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)を経て、現在、今後のパンデミックなどの健康危機への予防・備え・対応のあり方を世界的に包括的に定める「パンデミック条約」策定のための交渉が、世界保健機関(WHO)のもとで進んでいます。

 

この度、このパンデミック条約策定の交渉のあり方に関して、セーブ・ザ・チルドレンとSTOPAIDS(イギリスに拠点を置き、HIV/AIDSを中心に保健課題に取り組むNGOネットワーク)は、政策概要『パンデミックはコミュニティ始まり、コミュニティ終わる―パンデミック条約のガバナンスへの市民社会の参加とが重要な理由』を発表しました。


 

この概要の中で、セーブ・ザ・チルドレンとSTOPAIDSは、パンデミック条約の交渉を進めるWHOとその加盟国に対し、パンデミックをはじめとする健康危機への予防・備え・対応のための規則や条約の策定において、以下の各段階で、市民社会の参加の確保は不可欠であると主張します。

 

1: 起草および交渉のプロセス

2: 最終的な法的文書のあらゆる意思決定におけるプロセス

3: 最終的な法的文書のモニタリングと遵守の確認プロセス

 

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、国際社会全体として、健康危機の予防・備え・対応のための仕組みを強化する必要性を浮き彫りにしました。WHOと加盟国は、その達成のために、国際保健規則(IHR)の改正と、パンデミック条約に関する交渉を進めることが喫緊の課題であることに合意しました。

 

パンデミックは、コミュニティで発生し、コミュニティで終息します。IHRの改正や、パンデミック条約に関する交渉の成功は、その文面のみならず、平時であれ危機下であれ、各国政府が市民といかに連携して義務を履行できるかに依拠しています。

 

したがって、市民社会が起草、交渉、決定、モニタリング、そして遵守の確認プロセスに参加することは不可欠であり、そうすることで市民社会の声や視点が反映され、効果的、衡平、かつ人権原則に基づいた健康危機における予防・備え・対応のための法的文書を作成することが可能になります。

 

それは、最も貧しく、最も脆弱な立場に置かれたコミュニティやグループのニーズを法的文書の中心に据えることを確実にする唯一の方法と言えます。さらに、改正された枠組みや条約の施行にあたって信頼を構築し、支援を動員する上でも唯一の方法となります。

                                                                              

新型コロナウイルス感染症に関する誤った情報などによる混乱が見られる今日、世界的な健康危機における予防・備え・対応策の改善において、信頼と正当性を確立することが必須と言えます。

 

作成プロセスに市民社会組織が参加することで、多様なステークホルダーの権利と多様なコミュニティのニーズを反映し、その代表性を確保した政策決定につながると言えます。

 

こうして政策決定プロセスにおける信頼と正当性が構築されることで、より政策が受け入れられ、批准され、効果的に施行される可能性が高まります。これまでにも、WHOや国連の他機関において、市民社会のガバナンスへの参加事例は複数見られ、本政策概要でも紹介しています。

 

多国間交渉における参加型のプロセスは、まだ始まったばかりです。セーブ・ザ・チルドレンとSTOPAIDSは、WHOと各国政府が市民社会の参加を拡大する機会を検討し、行動すべきであると訴えます。

 

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