福島:ボールがむすぶ、家族のき・ず・な ~福島県郡山市で”親子ドッジすくうる”を開催~(2012.11.09)

「逃げて、逃げて~」「あー当たった」。子どもたちの元気な声が体育館に響く。力いっぱい、投げては走る子どもたちの様子を間近に見て、お父さん、お母さんも思わず笑み。「親子で遊ぶ機会って、あまりないから、こういうのはいいですね」。ドッジボールが大好きな、タケル君(5歳)のお母さん、尚美さんはそう言いながら、コートを走り回る息子の姿に目を細めた。楽しい運動は、みんなを元気にする。そんなスポーツの力を、あらためて実感する機会になりました。


9月29日、10月6日と13日の3回にわたり、福島県郡山市で、郡山市総合教育支援センター主催の「おやこドッジすくうる」が開催されました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、SCJ)はプログラムを提供しました。昨年3月の東日本大震災・福島第一原発事故の発生以降、放射能の影響を心配して、福島県内の線量が比較的高い地域では、子どもたちが外遊びをする機会が減りました。郡山市では、今年4月に屋外活動を制限する限いわゆる「3時間ルール」が解除され、徐々にかつての姿が戻りつつあるものの、まだまだ昔のように、無邪気に外を駆け回ったりすることに不安を感じる保護者や子どもたちも少なくありません。せっかくの休日に、お父さんやお母さんが家にいても、子どもたちは部屋の中に閉じこもってTVゲームをしてばかり、なんて話もよく聞きます。


 そこで郡山市が、子どもたちがのびのびと遊べる場を用意し、心置きなく体を動かしてもらおうと、考えたのがこの企画でした。「子どもたちはもちろん、お父さんやお母さんにも一緒に運動をしてもらいたい」という郡山市の思いを受け、子どもを支援する団体としてSCJも企画の趣旨に賛同、実現に一部協力をさせていただくことになりました。

年齢を問わず、みんなで運動するとして、どんなスポーツがいいだろうか?大人も子どもも知っていて、一緒に楽しめるもの。できれば、屋内でできるのがいい。「あれだ!」すぐに、頭に浮かんだのが、ドッジボールでした。

20数年前、僕が小学生だったころ、放課後一番の人気スポーツはドッジボールでした。毎日毎日、日が暮れるまでドッジボールに熱中した記憶が強く残っています。そして現代、やっぱり小学校で、子どもたちに一番の人気のスポーツは、ドッジボールだと言います。老若男女みんなで楽しむ屋内スポーツには、ドッジボールがふさわしい。私たちはそう考えました。


それに、日本ドッジボール協会によると、本格的な競技ドッジボールだけではなく、ボールを使った色んな遊びも、親子で楽しむのにピッタリなんだそうです。


プログラム最終回となる10月13日は、福島県郡山市のニコニコこども館が会場となりました。参加したのは幼児と小学生低学年の20人。そこにお父さんお母さん15人が加わりました。



 講師は福島県ドッジボール協会の野村和子副理事長。まずは体を温めるウォームアップから始めます。


ジョギングして、体操して、イチニ、イチニ。「こうやってスキンシップをすることで、親子のきずなは強くなります」と野村さん。みんなで仲良く前屈します。


そして、親子で引っ張りっこ!ほんと、みんないい顔していますね。



さあ、次はいよいよボールを使います。野村さんが言います。「お父さん、お母さんが滑り台になってください」。体を斜めに伸ばして、人間滑り台の出来上がり。そこに子どもたちがボールを転がします。エイっ。

ボールは見事に、コロコロコロ。大成功のアヤト君(3つ)は大喜び。お母さんのミホさんは、ちょっと疲れて苦笑い、かな?



今度はお馬さんになって、ボールを運んでみよう。みんな上手に運べるかな?


おっとっと、おっとっと、なかなか難しいみたい。




それじゃあ、今度は手をつないでボールを運んでみよう。

手をつなぐと、なんだかあったかい。



体が温まったところで次は、両側に並んだ大人が転がすボールに当たらないように、ゴールまで駆け抜ける「爆弾ゲーム」。ボールにあたったら失格です。みんな、うまくボールから逃げられるかな?位置についてよーいドン!


みんな華麗なステップ?で次々投げつけられるボールをうまくかわします。さすがすばしっこい子どもたち。


 


よし、今度は反対に大人が走るよ。「お母さんたちに当てちゃえ~」。子どもたちの元気さに、大人たちもタジタジです。

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いよいよ最後はお待ちかねのドッジボールです。今日の参加者は、小さな子どもたちばかりなので、ルールを変更。正方形のコートの中に子どもたちが入って、外にいる大人たちの転がすボールに当たらないように逃げ回ります。触ったらアウト。大きなゼッケンがかわいらしい。


それでは、試合開始~!

エイッ。当てちゃうぞ~。



「危ない!」上手にまたいでかわす子や、



華麗なジャンプを披露する子も。



投げて、走って、逃げて、当たって。たくさん汗をかきました。



こんな汗は気持ちいい。子どもたちも、大人たちも、みんなの笑顔が咲きました。



「普段、こうやって体を使って遊ぶことがあまりないので、いいですね。娘も楽しんでいました」と郡山市からやってきたヒカリちゃん(4つ)のお母さん、ヤヨイさん。

元気に走りまわった1時間半。みんなとっても楽しんでくれたようでした。

やっぱり子どもは、たくさん遊ばなきゃ。


 ボールと場所があれば、いつでもどこでも楽しめ、親子で遊べるドッジボール。この日の楽しい親子体験をぜひ、子どもたちとの日々の「遊び」のなかにも活かしてみてください。きっと、素敵な笑顔が、そこにも広がると思います。

(会津若松・中村雄弥)

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