アフガニスタンは世界で最も貧しい国のひとつです。子どもの死亡率は世界で2番目に高く、4人に1人が5歳の誕生日を迎えることができず亡くなっています。人口の70%が貧困下にあり、5歳未満の子どものうち半数以上が栄養不足による発育不全に悩まされています。
家族を支えるため、多くの子どもたちは働き、十分に食べるものもなく、病気になっても治療を受けることができないでいます。子どもたちの主な死亡原因は治療や予防が可能な病気です。しかしながら、医療施設の不足、もしくは、治療のために払えるお金がないため、守ることのできる命が失われているのです。
【栄養不良に苦しむ子どもたち】
3歳の息子を栄養失調で亡くしたシャーザダ・35歳
アフガニスタン北部で暮らすシャーザダは、息子を3歳で亡くしました。1年前、彼女の息子は下痢を発症し、おう吐により食事もとれない状態になっていました。
「日々弱っていく子どもを連れて夫と地元のクリニックに行きましたが、そこでは栄養失調と診断され、医師からはそのクリニックでは治療することができないと言われました。都市にある病院に連れていきましたが、病院はとても混雑していて、3時間待っても順番はまわってきませんでした。私たちは医師にみせることなく子どもを連れ帰るしかなく、息子は家で死にました。」
「息子はこのゆりかごをとても気に入っていました。これを見るとあの子が死んだときのことを思い出してしまいますが、今お腹にいる子どものために残してあります。」(シャーザダは現在妊娠中)
アフガニスタン政府は、状況の改善に向け、地域に根ざした医療従事者(コミュニティ・ヘルス・ワーカー:CHW)を育成し、必要な地域に派遣するための取り組みを強化しています。その努力により、今日までに育成されたCHW(男女含む)は合計5,000人にのぼります。しかしながら、アフガニスタンでは、22,000から84,000人*のCHWが必要であるとされています。
*一人のCHWが40世帯を担当するか150世帯を担当するかによって必要とされる人数が異なります。
セーブ・ザ・チルドレンでは、栄養失調の子どもたち(特に、地方で暮らす子どもたちやストリートチルドレン)を支援するため、ジャウズジャン州にて、コミュニティで実施できる治療法を伝授するプロジェクト*を立ち上げました。これにより、深刻な栄養失調に陥っている359人の子どもたちの命を守ることができました。今後はさらにプロジェクトの対象地域を拡大していく予定です。
また、病院やクリニックにおいて、子どもの健康や栄養状態の診断を適切に行えるよう、医療スタッフ244人を対象とした育成研修を行っているほか、地方で暮らす女性15,000人に対して、子どもへの適切な食事の与え方についてアドバイスをするなど、栄養不良に苦しむ子どもたちの命を守るために様々な取り組みを行っています。
*同プロジェクトはユニセフからの資金援助により実施しました。
セーブ・ザ・チルドレンが支援する医療施設で働く女性ワーカー
アフガニスタンでは:
4,200円あれば、CHWを育成するための育成研修(5日間)が実施できます。
21,000円あれば、村の栄養不良の子どもを1ヶ月間調査するためにCHWに支払う費用がまかなえます。
【アフガニスタンの子どもたち 基礎情報】
【知っていますか?アフガニスタンってこんな国】
(参考)外務省HP、駐日アフガニスタン大使館HP
写真撮影:Mats Lignell/Save the Children
次回も、引き続きアフガニスタンを特集します。