「保健ボランティアが私たちのすぐ近くで、地域に根差して活動してくれています。私が必要なときに、彼女はそこにいてくれるのです。妊娠している間、よく私のところまでやって来てくれます。だから私は遠く保健所まで歩かなくてもすんでいるのです。」(初めての赤ちゃんを身ごもったイェムナ、23歳、ネパール)
写真はネパールのバルディヤ村で暮らす母親アシャと8ヶ月になる娘のアルパナ。
ピンクのサリーを着ているのが保健ボランティア(FCHV)。
アルパナは、村で袋とマスクを使った心肺蘇生により命が助かった初めての子ども。
ネパールは母親になるには困難が多い国です。特に地方では、10代のうちに結婚し、体が完全に成熟する前に出産する少女が多く、また、80%以上の出産が専門家の介添え無しに自宅で行われています。さらに、31人に1人の女性が妊娠・出産時のトラブルで命を落としています。
課題が多いネパールですが、確実に前進もしています。ネパール政府は20年近くにわたり、母子に対するサービスに投資し、国の保健システムを体系的に強化しています。2008年の妊産婦死亡率は1990年に比べ半分近くまで削減されました。また、5歳未満の子どもの死亡率も同時期に64%削減されるなど、非常に速い速度で改善が進んでおり、「5歳未満児の乳幼児死亡率を1990年のレベルから2015年までに3分の2削減する」という国連ミレニアム開発目標の4番目のゴールは、達成が見込まれています。
この成功の背景には、50,000人におよぶ地域に根差した女性の保健ボランティア(FCHV)を募集し、育成・登用したことがあります。FCHVは、家族計画や妊産婦ケア、子どもの健康、ビタミンAの補給、虫下し、予防接種など、地方における様々な公的保健プログラムの中で重要な役割を果たします。FCHVは地域の女性に対して、出産準備について教育と情報を提供するほか、出産後の訪問や肺炎や下痢にかかった子どもの治療や照会を行うなど、現地において活躍を見せています。
FCHVトレーニングの様子
熱心にメモをとる参加者
体重測定の方法など子どもにかかわる様々な保健知識を学ぶ
セーブ・ザ・チルドレンはユニセフと共に、2008年よりネパールの乳幼児死亡の半数以上を占める生後一カ月以内の新生児の死亡率削減を目的とした、ネパール政府の「地域新生児ケアプログラム」(CB-NCP)を支援しています。まずネパール内の10省でパイロット・プログラムを実施し着実な成果を上げていることから、今後他省にも拡大される予定です。
※写真:(c)Sanjana Shrestha/Save the Children
【ネパールの子どもたち 基礎情報(2008年現在)】
【知っていますか?ネパールってこんな国】
(出典:セーブ・ザ・チルドレン発行「State of the World’s Mothers 2010」、外務省HP)