ネパール
状況
ネパールは1996年以来のマオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)による武装闘争の結果、1万人以上が死亡し多くの人が避難生活を余儀なくされています。ネパール政府とマオイストは、2006年5月から停戦を実施し和平交渉を進めていますが、兵士の武装解除や社会復帰をどうするかなどをめぐって双方の 意見が対立しており、今後の展開は予断を許しません。停戦実施後3ヶ月以上が経った2006年8月現在でも、政府軍が学校を占拠したり、マオイストが民兵徴集のために子どもを連れ去るといった事件が引き続き起こっています。このように、紛争或いは政治的理由により生徒や教師が搾取されることを防ぎ、学校を 安全な場所とするために、私たちは活動しています。
利用できる教育の場の不足
1,000以上の私立学校がマオイストにより閉鎖され、子どもたちは過密状態にある政府の学校に行くことを余儀なくされています。無料で、適切な教育を受けることは、ほとんどの子どもたちにとって不可能です。その中には「下層」カーストであるダリットの子どもや、女子のような差別の対象となっている集団も含まれます。小学校に通っているダリットの子どもたちの割合は21%を下回ります。学校に入学するには出生証明が必要ですが、地域の出生登録官は、治安が 悪いため農村部に出向くことをしません。
数字で見るネパールの教育
- 小学校就学年齢の子どもたちの20%が学校に行っていません。
- 女子の46%しか小学校に就学していません。
- 小学校教員で訓練を受けた者の割合は30%です。
- 1年生の61%が進級できません。
- 生徒の30%が同じ学年を繰り返さなければなりません。
目標
自国の教育目標を達成しなければならないし、達成することができるということをネパール政府が認める状況を国際社会が創り出す必要があります。以下の目標を達成するために、パートナーとともにネパール政府を支援していきます。
- 識字率を57%から70%にする。
- 純就学率を90%にする。
- 40%の子どもたちが、乳幼児期からのケアを受けられるようにする。
- 初等教育の修了率を上げる。
全ての子どものために教育の場を確保すること
セーブ・ザ・チルドレンの目標は、適切で確かな教育を受けられる機会を増やすことです。そのためには安全でかつ戦争に巻き込まれないような環境が必要です。私たちは現場での実績を活かし、財政、政策立案、トレーニングにおいて、政府との関係を強化するとともに政府に対する影響力を増していくつもりです。
- より多くの教室を建てる支援をします。
- カーストやジェンダー、障がいや貧富に関わらず、子どもたちが平等に初等教育を受けられるべきであることを主張します。
- 女子やダリットの子どもの入学・出生登録キャンペーンを展開し、制服や教科書を支給します。
- 学校に行っていない子どもたちに関する状況を把握するようにコミュニティの人々をサポートし、状況改善のためにその情報をどのように役立てるかを示します。
私たちは、地域や政府のパートナーとともに、2010年までに898,000人以上の子どもたちが学校に行けるようにし、さらに、735,000人以上の子どもたちにより適切な教育を提供します。
あなたにできること
私たちは、何百万人もの子どもたちに教育の場をつくるために、500億円の資金が必要です。紛争によって、教育を受けられない800万人の子どもたちのために、一緒に活動しましょう。