チリ地震 支援活動の最終報告 〜皆様の温かいご支援がチリの子どもたちへ〜 (2011.01.14)
セーブ・ザ・チルドレンは、2010年2月27日に発生したチリ地震の発生直後より、チリの子どもたちの支援を行ってきましたが、2010年9月30日をもって支援活動を終了しました。
地震直後の状況:家々が崩壊
南米チリを襲ったマグニチュード8.8の大地震。被災者は200万人(うち、120万人が子ども)、死者521人、そして81万戸が損壊し(うち、20万戸が全壊状態)、甚大な被害がもたらされました。セーブ・ザ・チルドレンは地震後すぐに被災地に入り、もともとチリの中でも貧しい地域であるマウレ州カウケネス県のカウケネス、チャンコ、ペジュウエで支援を行いました。この支援活動は、チリで長年子どもの権利を守る活動をしているチリ国際連合協会(ACHNU-PRODENI)と共同で実施しました。
地震の際に最も弱い立場におかれるのは子どもたちです。家がなくなったり、生活の再建に忙しい親に十分に面倒を見てもらえない子どもたちが、安心できる遊び場があること。子どもたちを支える大人が子どものことを理解すること。家を失った大変な環境の中でも衛生的な暮らしができること・・。これらの実現を目指し、セーブ・ザ・チルドレンは子どもたちの心のケア、水・衛生環境整備、シェルター補強、そして子どもの保護についての啓発活動を行いました。
<セーブ・ザ・チルドレンの主な支援実績>
【子どもの保護】
子どもたちを地震によるストレスから解放する手助けを行うと同時に、大人が復興で多忙なことにより子どもたちが十分なケアを受けられない状況を防ぐため、チャイルド・フレンドリー・スペースを設置しました。また、セーブ・ザ・チルドレンの活動終了後も地域住民自らが子どもたちを守ることができるよう、緊急時にはどのような問題が生じるか、心理的サポートの必要性、子どもへの接し方、地域で子どもを守ることなどについて研修を行いました。
・チャイルド・フレンドリー・スペース(安全な遊び場)20施設の設置
・上記施設、およびマイクロ・センター(地方にある小さな学校)38施設に必要備品(文房具、教育用ゲーム、スポーツ用品、本・絵本)の配布
・子どもたちの心のケアについて教師300人に研修を実施
・緊急時の子どもの保護、子どもへの接し方について地域団体に研修を実施
・教員、保健員、警察などが参加し、子どもの保護について話し合う機会の提供
チャイルド・フレンドリー・スペースで遊ぶ子どもたち 研修をうけるボランティア
子どもが描いた絵「2年後の私のコミュニティ」
【水・衛生】
地震後は不衛生な環境が原因で病気にかかりやすくなるため、子どもたちが衛生的な環境で生活ができるよう、支援を実施しました。
配布前のポリタンク
・水貯蔵用のポリタンクを1,000世帯に配布
・衛生キットを2,418世帯に配布
(シャンプー、歯磨き粉、大人用・子ども用歯ブラシ、手洗いせっけん、洋服洗剤、生理用品、トイレットペーパー、漂白剤、食器洗い洗剤)
・9か所できれいで安全な水を提供
・2か所で井戸の建設・清掃
・コンポスト・トイレ80個の設置
・汚水処理槽208個の清掃・修復
・手洗い啓発キャンペーンやラジオを通した適切な衛生習慣の励行メッセージの放送
【シェルター】
地震が起こった時は夏でしたが、復興が長期化し、家を失った人々はチリ政府から提供されたシェルターで冬を迎えました。しかし、住居は冬に備えた作りではなかったため、寒さから子どもたちを守るために住宅を補強。また、調理場がない住居には、れんがストーブを設置しました。
・318家屋(1,590人が居住)に断熱材を提供
・れんがストーブ(中米で伝統的なストーブ)40個の設置
【啓発活動】
災害が子どもたちに与える影響、トラウマや心の傷、そして災害時に子どもたちが最も弱い立場におかれることについて、チリではまだ広く理解されていません。緊急支援に関わるすべての関係者が子どもの保護の大切さを理解することが重要なため、セーブ・ザ・チルドレンは啓発活動にも力を入れました。
・子ども保護に関するレポートの発表 (政府・国連期間や他のNGOに配布)
・活動のドキュメンタリー・フィルム「カウケネスを襲った地震:子どもたちの希望と提案」の作成
?Patricio Luna/Save the Children
セーブ・ザ・チルドレンのチリ地震被災者緊急支援は終了しましたが、今後はACHNU-PRODENI主導のもと、再び訪れるかもしれない新たな災害に現地の人々・コミュニティが自ら対応できるよう、彼らの災害対応能力を強化する新たな事業を始める計画です。
日本の皆様からの温かいご支援は大切にチリ支援のために活用させていただきました。ご支援、本当にありがとうございました!セーブ・ザ・チルドレンはこれからも、地震などの災害によって弱い立場におかれる子どもたちのために、世界中で活動を続けます。引き続きのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
?Save the Children