緊急支援事業の開始
アフリカ大陸の東部には「アフリカの角」とよばれる、サイの角に似た形をした地域があります。この地域ではラ・ニーニャの影響などをうけ少雨となり干ばつがしばしば起こります。また近年の穀物価格の高騰、ソマリア内戦による影響など、多くの要因が絡み合って現在非常に深刻な人道危機が起こっています。ソマリア、ケニア、エチオピアなどで影響を受けている人々の数は1,330万人(9月3日付け国連人道問題調整事務所)とも推計されています。
SCJは、ケニアの中でも最も干ばつの影響を受けている北東州で緊急救援活動を始めました。ソマリ系ケニア人をはじめとして多くのケニア国内に住む人たちも、干ばつによって牧畜が難しくなり、少しでも草が生えている場所を求めて住む場所を移動したり、家畜が死んでしまったため何らかの収入手段を求めて町に移動したりしています。
北東州のワジール南県にはそのようなケニア国内で移動してきた人々によって11の新しい定住地ができています。このような新しい定住地は、もともと空き地であったところに人が移動してきたもので、水・衛生、医療、教育などの基本的施設が備わっていません。このような緊急時では、体が小さく、免疫力がまだ十分に発達していない子どもたちが、安全な水にアクセスできることは、生きていく上で必要不可欠です。子どもたちの命を守る最低条件である水を確保できるよう、SCJは活動を進めています。
<事業内容>
学校・診療所向け貯水設備の設置および地域住民向け水・衛生関連物資配布事業
【支援地】
ケニア北東州ハバスウェイン県およびワジール南県
【子どもへの効果】
家庭、学校および診療所における水・衛生環境が整備され、清潔で安全な水へのアクセスが確保できます。
【活動】
今夏、東アフリカ地域を襲った大干ばつから一転、10月からは降雨が始まり、例年通りの降水量が見込まれています。しかし、人々は地面の水たまりから泥水を汲んで利用することもあり、恵みの雨を清潔に貯水する仕組みがなければ、安全な水へのアクセスを確保することができません。このような状況の中、支援対象地域が雨水の有効利用を通して安全な水を確保することを目的とした事業を展開しています。支援対象となる診療所2か所および小学校14校において貯水設備を設置するほか、3,700世帯の家庭に対し家庭用貯水容器、浄化剤、および石鹸を配布します。また、放置されている動物の死骸が水を汚染しないよう、地域に対して清掃道具一式を配布します。