セーブ・ザ・チルドレンとは

子どもの権利条約 / 民間訳:第1部

第1部

第31条
(休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加)

  1. 締約国は、子どもが、休息しかつ余暇をもつ権利、その年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション的活動を行う権利、ならびに文化的生活および芸術に自由に参加する権利を認める。
  2. 締約国は、子どもが文化的および芸術的生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進し、ならびに、文化的、芸術的、レクリエーション的および余暇的活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。

第32条
(経済的搾取・有害労働からの保護)

  1. 締約国は、子どもが、経済的搾取から保護される権利、および、危険があり、その教育を妨げ、あるいはその健康または身体的、心理的、精神的、道徳的もしくは社会的発達にとって有害なるおそれのあるいかなる労働に就くことからも保護される権利を認める。
  2. 締約国は、この条の実施を確保するための立法上、行政上、社会上および教育上の措置をとる。締約国は、この目的のため、他の国際文書の関連条項を留意しつつ、とくに次のことをする。

    • 最低就業年齢を規定すること。
    • 雇用時間および雇用条件について適当な規則を定めること。
    • この条の効果的実施を確保するための適当な罰則または他の制裁措置を規定すること。

第33条
(麻薬・向精神薬からの保護)

締約国は、関連する国際条約に明示された麻薬および向精神薬の不法な使用から子どもを保護し、かつこのような物資の不法な生産および取引に子どもを利用させないために、立法上、行政上、社会上および教育上の措置を含むあらゆる適当な措置をとる。

第34条
(性的搾取・虐待からの保護)

締約国は、あらゆる形態の性的搾取および性的虐待から子どもを保護することを約束する。これらの目的のため、締約国は、とくに次のことを防止するためのあらゆる適当な国内、二国間、および多数国間の措置をとる。

  • 何らかの不法な性的行為に従事するよう子どもを勧誘または強制すること。
  • 売春または他の不法な性的業務に子どもを搾取的に使用すること。
  • ポルノ的な実演または題材に子どもを搾取的に使用すること。

第35条
(誘拐・売買・取引の防止)

締約国は、いかなる目的またはいかなる形態を問わず、子どもの誘拐、売買または取引を防止するためにあらゆる適当な国内、二国間および多数国間の措置をとる。

第36条
(他のあらゆる形態の搾取からの保護)

締約国は、子どもの福祉のいずれかの側面にとって有害となる他のあらゆる形態の搾取から子どもを保護する。

第37条
(死刑・拷問等の禁止、自由を奪われた子どもの適正な取扱い)

締約国は、次のことを確保する。

  • いかなる子どもも、拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは刑罰を受けない。18才未満の犯した犯罪に対して、死刑および釈放の可能性のない終身刑を科してはならない。
  • いかなる子どももその自由を不法にまたは恣意的に奪われない。子どもの逮捕、抑留または拘禁は、法律に従うものとし、最後の手段として、かつ最も短い適当な期間でのみ用いられる。
  • 自由を奪われたすべての子どもは、人道的におよび人間の固有の尊厳を尊重して取扱われ、かつその年齢に基づくニーズを考慮した方法で取扱われる。とくに、自由を奪われたすべての子どもは、子どもの最善の利益に従えば成人から分離すべきでないと判断される場合を除き、成人から分離されるものとし、かつ、特別の事情のある場合を除き、通信および面会によって家族との接触を保つ権利を有する。
  • 自由を奪われたすべての子どもは、法的および他の適当な援助に速やかにアクセスする権利、ならびに、その自由の剥奪の合法性を裁判所または他の権限ある独立のかつ公平な機関において争い、かつ当該訴えに対する迅速な決定を求める権利を有する。

第38条

  1. 締約国は、武力闘争において自国に適用可能な国際人道法の規則で子どもに関連するものを尊重し、かつその尊重を確保することを約束する。
  2. 締約国は、15歳に満たない者が敵対行為に直接参加しないことを確保するためにあらゆる可能な措置をとる。
  3. 締約国は、15歳に満たないいかなる者も軍隊に徴募することを差控える。締約国は、15歳に達しているが18歳に満たない者の中から徴募を行うにあたっては、最長年の者を優先するよう努める。
  4. 締約国は、武力紛争下における文民の保護のための国際人道法に基づく義務に従い、武力紛争の影響を受ける子どもの保護およびケアを確保するためにあらゆる可能な措置をとる。

第39条
(犠牲になった子どもの心身の回復と社会復帰)

締約国は、あらゆる形態の放任、搾取または虐待の犠牲になった子ども、拷問または他のあらゆる形態の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは刑罰の犠牲になった子ども、あるいは、武力紛争の犠牲になった子どもが身体的および心理的回復ならびに社会復帰することを促進するためにあらゆる適当な処置をとる。当該回復および復帰は、子どもの健康、自尊心および尊厳育くむ環境の中で行われる。

第40条
(少年司法)

  1. 締約国は、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われ、または認定された子どもが、尊厳および価値についての意識を促進するのにふさわしい方法で取扱われる権利を認める。当該方法は、他の者の人権および基本的自由の尊重を強化するものであり、ならびに、子どもの年齢、および子どもが社会復帰しかつ社会において建設的な役割を果たすことの促進が望ましいことを考慮するものである。
  2. 締約国は、この目的のため、国際文書の関連する条項に留意しつつ、とくに次のことを確保する。

    • いかなる子どもも、実行の時に国内法または国際法によって禁止されていなかった作為または不作為を理由として、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われ、または認定されてはならない。
    • 法的に違反したとして申し立てられ、または罪を問われた子どもは、少なくとも次の保障を受ける。

      • 法律に基づき有罪が立証されるまで無罪と推定されること。
      • 自己に対する被疑事実を、迅速かつ直接的に、および適当な場合には親または法定保護者を通じて告知されること。自己の防御の準備およびその提出にあたって法的または他の適当な援助を受けること。
      • 権限ある独立のかつ公平な機関または司法機関により、法律に基づく公正な審理において、法的または他の適当な援助者の立会いの下で、および、とくに子どもの年齢または状況を考慮し、子どもの最善の利益にならないと判断される場合を除き、親または法定保護者の立会いの下で遅滞なく決定を受けること。
      • 証言を強制され、または自白を強制されないこと。自己に不利な証人を尋問し、または当該証人に尋問を受けさせること。平等な条件の下で自己のための証人の出席および尋問を求めること。
      • 刑法に違反したと見なされた場合には、この決定および決定の結果科される措置が、法律に基づき、上級の権限ある独立のかつ公平な機関または司法機関によって再審理されること。
      • 子どもが使用される言語を理解することまたは話すことができない場合は、無料で通訳の援助を受けること。
      • 手続のすべての段階において、プライバシィが十分に尊重されること。
  3. 締約国は、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われ、また認定された子どもに対して特別に適用される法律、手続、機関および施設の確立を促進するよう努める。とくに次のことに努める。

    • 刑法に違反する能力を有しないと推定される最低年齢を確立すること。
    • 適当かつ望ましい時はつねに、人権および法的保障を十分に尊重することを条件として、このような子どもを司法的手続によらずに取扱う措置を確立すること。
  4. ケア、指導および監督の命令、カウンセリング、保護観察、里親養護、教育および職業訓練のプログラムならびに施設内処遇に替わる他の代替的措置などの多様な処分は、子どもの福祉に適当で、かつ子どもの状況および罪のいずれにも見合う方法によって子どもが取扱われることを確保するために利用可能なものとする。

第41条

この条約のいかなる規定も、次のものに含まれる規定であって、子どもの権利の実現にいっそう貢献する規定に影響を及ぼすものではない。

  • 締約国の法律
  • 締約国について効力を有する国際法


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