ボスニア・ヘルツェゴビナ(公開日:2019.12.27)
越冬支援 凍てつくような冬の到来 避難を強いられたおよそ700万人の子どもたち
中東やアジア、ヨーロッパの一部の国々から避難を強いられた690万人の子どもたちは、零度を下回る厳冬の中厳しい避難生活を余儀なくされています。子どもたちは、暖を取れるほど十分な避難場所もなく、中には厳冬の野外で寝泊まりせざるを得ない子どもたちもいます。子どもたちに今すぐ緊急人道支援を届けなければ、最悪の場合死に至る恐れもあります。
ボスニア・ヘルツェゴビナには、今年だけで2万8,000人以上の難民・移民の子どもたちが到着しており、そのうち、8,000人の子どもたちは、雪が降る同国の厳しい気候の中、廃墟や使われなくなったコンテナに身を寄せています[i]。
シリア国内では、9年近く続く紛争により260万人の子どもたちが避難を余儀なくされています。最近シリア北部では戦闘が激化していますが、それより前の時点ですでに、14%の家族は、すでに大勢の避難者が身を寄せておりこれ以上人を受け入れることもできないようなキャンプで避難生活を送っていました。その国内避難民キャンプの多くは電力もなく、子どもたちを安全に、そして、暖かく保つことが困難な中で過ごしています[ii][iii]。
また、シリア紛争により、250万人近くの子どもたちが周辺国へ避難していますが、避難先の国々も、これから厳しい寒さの季節を迎えます。レバノンの一部地域は、ここ数日で一気に寒さが増しました。レバノン・ベカー渓谷では、今年1月にレバノンを襲った嵐と同様の状態が起きており、この冬もキャンプで暮らす子どもたちは、嵐による洪水や浸水被害にあったり、低体温症になる危険に直面しています[iv]。
ウクライナでは、東部で起こった紛争により33万人以上の子どもたちが自宅から避難を余儀なくされています。避難している家族の収入は、同国の平均収入の半分しかなく、必要なものをそろえることができません。氷点下を記録する気温となっても、十分な暖房を準備できないと報告されています [v]。
アフガニスタンでは、18年におよぶ紛争により、避難している家族は、電力もない土壁の家で暮らしています。そして、子どもたちへ防寒着や靴を買うことに苦慮しています。すでに気温がマイナス5度を記録する中、多くの家族は、一部屋に集まってキルトにくるまりながら、プラスチックや薪を燃やして暖を取っています。
厳冬の中、不十分なシェルターしかない状況は死活問題となります。難民や移民の子どもたちが野外や、暖が取れない場所で寝起きをしている場合、彼らは、低体温症や凍傷、肺炎になるなどの健康上のリスクが増します[vi][viii][viiii]。
加えて、新生児や乳幼児などの幼い子どもたちは、大人と異なり、自ら体温を調整することが困難なために低体温症になるリスクがさらに増します[ix]。
暖を取るための行為が命を危険にさらすこともあります。難民の家族は、薪ストーブや灯油暖房器をテントなどの中で利用するために火事を起こす可能性があります[x]。また、常に湿気があると皮膚炎になったり湿疹が出る恐れがある一方、たき火などからの煙が呼吸器系の疾患を引き起こす可能性もあります。
セーブ・ザ・チルドレンは、避難を余儀なくされた子どもたちとその家族が、この冬を越せるように各地で支援を続けています。
・ボスニア・ヘルツェゴビナ:毛布の配布と、脆弱な状態にある子どもたちに安全で暖かい住まいを提供しています。
・アフガニスタン:子ども用の防寒着の配布と、冬を越すために必要な食料や衣類などを購入するための現金給付
・シリア:衛生用品、食料がセットになったフード・バスケットなど最低限必要なものの配布と並行して、最近の戦闘で避難を余儀なくされた子どもたちの生活環境を向上するための支援
[i] https://reliefweb.int/map/bosnia-and-herzegovina/bosnia-and-herzegovina-increased-arrivals-and-presence-refugees-and; https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/72857.pdf p. 3
[ii] https://www.unicef.org/mena/press-releases/lack-access-medical-care-syria-putting-childrens-lives-risk
[iii] https://hno-syria.org/data/downloads/en/full_hno_2019.pdf
[iv] https://www.unhcr.org/belowzero/
[v] http://iom.org.ua/sites/default/files/nms_round_13_eng.pdf p. 7
[vi] http://www.euro.who.int/en/health-topics/health-determinants/migration-and-health/news/news/2017/01/cold-weather-increases-health-risks-for-refugees-and-migrants-in-serbia-and-other-countries-in-the-region
[vii] Numminen, E. et al. Climate induces seasonality in pneumococcal transmission. Sci Rep 5, 11344, doi:10.1038/srep11344 (2015); Checchi, F., Gayer, M., Grais, R. & Mills, E. Public health in crisis-affected populations: A practical guide for decision-makers. Humanitarian Practice Network, 64 (2007); Pica, N. & Bouvier, N. M. Environmental factors affecting the transmission of respiratory viruses. Curr Opin Virol 2, 90-95, doi:10.1016/j.coviro.2011.12.003 (2012)
[viii] https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/20181009_joint_summary_winterization_strategy_2018_final_english.pdf
[ix] https://www.aap.org/en-us/advocacy-and-policy/aap-health-initiatives/Children-and-Disasters/Pages/Extreme-Temperatures-Heat-and-Cold.aspx ;
[x] https://www.npr.org/2019/02/06/691925739/7-year-old-dies-in-tent-fire-in-syrian-refugee-camp?t=1576682292852; https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5946753/
ボスニア・ヘルツェゴビナには、今年だけで2万8,000人以上の難民・移民の子どもたちが到着しており、そのうち、8,000人の子どもたちは、雪が降る同国の厳しい気候の中、廃墟や使われなくなったコンテナに身を寄せています[i]。
シリア国内では、9年近く続く紛争により260万人の子どもたちが避難を余儀なくされています。最近シリア北部では戦闘が激化していますが、それより前の時点ですでに、14%の家族は、すでに大勢の避難者が身を寄せておりこれ以上人を受け入れることもできないようなキャンプで避難生活を送っていました。その国内避難民キャンプの多くは電力もなく、子どもたちを安全に、そして、暖かく保つことが困難な中で過ごしています[ii][iii]。
また、シリア紛争により、250万人近くの子どもたちが周辺国へ避難していますが、避難先の国々も、これから厳しい寒さの季節を迎えます。レバノンの一部地域は、ここ数日で一気に寒さが増しました。レバノン・ベカー渓谷では、今年1月にレバノンを襲った嵐と同様の状態が起きており、この冬もキャンプで暮らす子どもたちは、嵐による洪水や浸水被害にあったり、低体温症になる危険に直面しています[iv]。
ウクライナでは、東部で起こった紛争により33万人以上の子どもたちが自宅から避難を余儀なくされています。避難している家族の収入は、同国の平均収入の半分しかなく、必要なものをそろえることができません。氷点下を記録する気温となっても、十分な暖房を準備できないと報告されています [v]。
アフガニスタンでは、18年におよぶ紛争により、避難している家族は、電力もない土壁の家で暮らしています。そして、子どもたちへ防寒着や靴を買うことに苦慮しています。すでに気温がマイナス5度を記録する中、多くの家族は、一部屋に集まってキルトにくるまりながら、プラスチックや薪を燃やして暖を取っています。
厳冬の中、不十分なシェルターしかない状況は死活問題となります。難民や移民の子どもたちが野外や、暖が取れない場所で寝起きをしている場合、彼らは、低体温症や凍傷、肺炎になるなどの健康上のリスクが増します[vi][viii][viiii]。
加えて、新生児や乳幼児などの幼い子どもたちは、大人と異なり、自ら体温を調整することが困難なために低体温症になるリスクがさらに増します[ix]。
暖を取るための行為が命を危険にさらすこともあります。難民の家族は、薪ストーブや灯油暖房器をテントなどの中で利用するために火事を起こす可能性があります[x]。また、常に湿気があると皮膚炎になったり湿疹が出る恐れがある一方、たき火などからの煙が呼吸器系の疾患を引き起こす可能性もあります。
セーブ・ザ・チルドレンは、避難を余儀なくされた子どもたちとその家族が、この冬を越せるように各地で支援を続けています。
・ボスニア・ヘルツェゴビナ:毛布の配布と、脆弱な状態にある子どもたちに安全で暖かい住まいを提供しています。
・アフガニスタン:子ども用の防寒着の配布と、冬を越すために必要な食料や衣類などを購入するための現金給付
・シリア:衛生用品、食料がセットになったフード・バスケットなど最低限必要なものの配布と並行して、最近の戦闘で避難を余儀なくされた子どもたちの生活環境を向上するための支援
[i] https://reliefweb.int/map/bosnia-and-herzegovina/bosnia-and-herzegovina-increased-arrivals-and-presence-refugees-and; https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/72857.pdf p. 3
[ii] https://www.unicef.org/mena/press-releases/lack-access-medical-care-syria-putting-childrens-lives-risk
[iii] https://hno-syria.org/data/downloads/en/full_hno_2019.pdf
[iv] https://www.unhcr.org/belowzero/
[v] http://iom.org.ua/sites/default/files/nms_round_13_eng.pdf p. 7
[vi] http://www.euro.who.int/en/health-topics/health-determinants/migration-and-health/news/news/2017/01/cold-weather-increases-health-risks-for-refugees-and-migrants-in-serbia-and-other-countries-in-the-region
[vii] Numminen, E. et al. Climate induces seasonality in pneumococcal transmission. Sci Rep 5, 11344, doi:10.1038/srep11344 (2015); Checchi, F., Gayer, M., Grais, R. & Mills, E. Public health in crisis-affected populations: A practical guide for decision-makers. Humanitarian Practice Network, 64 (2007); Pica, N. & Bouvier, N. M. Environmental factors affecting the transmission of respiratory viruses. Curr Opin Virol 2, 90-95, doi:10.1016/j.coviro.2011.12.003 (2012)
[viii] https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/20181009_joint_summary_winterization_strategy_2018_final_english.pdf
[ix] https://www.aap.org/en-us/advocacy-and-policy/aap-health-initiatives/Children-and-Disasters/Pages/Extreme-Temperatures-Heat-and-Cold.aspx ;
[x] https://www.npr.org/2019/02/06/691925739/7-year-old-dies-in-tent-fire-in-syrian-refugee-camp?t=1576682292852; https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5946753/