エチオピア(公開日:2022.06.23)
【エチオピア東部】史上最悪の干ばつにより、子どもの栄養不良が深刻な状況に
エチオピア東部と南東部では、史上最悪の干ばつや、避難民、紛争の影響を受け、栄養不良の子どもが現在約18万5,000人に急増しています。
エチオピアのソマリ州で7人の子どもを育てるアハメドさん(40歳)
長期化する干ばつに加え、新型コロナウイルス感染症の流行、資金不足による保健医療サービスの中断などにより、エチオピア東部のソマリ州、南部のオロミア州、南部諸民族州(SNNP)、南西州の各地で100万人以上が、迅速な栄養支援を必要としています。
エチオピア・ブル(通貨)の切り下げとウクライナで起こっている紛争により食料価格が高騰しています。また、アフリカの角地域における史上最悪の干ばつにより、家畜も深刻な影響を受けたため、子どもたちの栄養不良の状況は、今後数ヶ月でさらに悪化すると予想されています。
干ばつの影響が最も大きいエチオピア東部のソマリ州では、過去12ヶ月の間に、栄養不良に陥る子どもの割合が64%上昇し、2022年1月から4月の間だけでも43%増加しました[i]。さらに、子どもの栄養不良の中で最も重症である急性栄養不良と診断された件数は、同期間で5万件近くにのぼりました。
重度急性栄養不良は、緊急に治療が必要な致命的な状態です。また、子どもたちの免疫力が著しく低下するため、合併症や感染症を誘発すると死にいたることも少なくありません。
ソマリ州のダワ地区では、遊牧民のコミュニティの多くが飢餓の瀬戸際にあります。
セーブ・ザ・チルドレンの保健・栄養センターにおける栄養不良治療のための入院率は、2021年9月から2022年1月にかけて320%以上増加しました[ii]。家族からは、多くの子どもたちが1日1食しか食べられていないことが報告されています。
同じく干ばつと極度の食料不足で深刻な影響を受けたソマリ州のシャベル地区では、食料を求めてサルが子どもや家畜を襲うなど、動物のこれまでにない行動も報告されています。
エチオピアのソマリ州で7人の子どもを育てるアハメドさん(40歳)は、干ばつで家畜を失ったため、食料と水を求めて子どもたちと一緒に村を出ました。アハメッドさんは次のように話します。
「子どもたちをどう養っていけばいいのかわかりません。雨が降らないので草は枯れ、私の羊やヤギも、村の動物は数百、数千匹と死んでしまいました。やむを得ず私たちはわずかな所持品をロバに乗せ、真夜中に家を出ました。」
南部と東部では、干ばつが長期化し、エチオピアでは現在約810万人が深刻な影響を受けています。エチオピア全土で、人口の4人の1人にあたる約3,000万人が人道支援を必要としており、そのうち1,200万人が子どもであると推計されています。
エチオピアに加え、同じくアフリカの角地域(アフリカ東端の半島)に位置するソマリアやケニアでも、気候危機による深刻な干ばつに見舞われています。 この3ヶ国で2,300万人以上が極度の食料不足にあり、580万人の子どもたちが深刻な栄養不良に陥っています。
セーブ・ザ・チルドレンは、エチオピア北部で起こった紛争支援に最初に取り組んだ団体のひとつです。エチオピアの子どもたちとその家族に必要な新たな資金を緊急に拠出するよう国際社会などに呼びかけるとともに、全土を対象とした支援計画を立案しています。
ソマリ州とオロミア州のセーブ・ザ・チルドレンのチームは、干ばつの影響を受けた数千世帯の家族を支援していますが、人道支援拡大のための追加資金が早急に必要です。
セーブ・ザ・チルドレンは、エチオピアのティグレ州やアムハラ州、アファール州の紛争にいち早く対応し、オロミア州とソマリ州の長期化する人道危機への支援を60年以上継続するとともに、最も脆弱な立場に置かれた子どもたちとその家族へ保健・栄養、水・衛生、子どもの保護、教育の分野で支援をしています。
[i] Emergency Nutrition Coordination Unit (ENCU) – April 2022 analysis - Update from May 19 2022
[ii] Save the Children admissions for Q4 2021 of Severe Acute Malnutrition in four Woredas of Dawa Zone in the Somali region of Ethiopia.