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緊急支援
(公開日:2024.01.26)

【活動紹介】子どもの保護:子どもたち一人ひとりが持つさまざまな事情や課題を理解〜ケースマネジメントの事例

 
セーブ・ザ・チルドレンは、虐待やネグレクト、児童労働、児童婚などの問題を抱える子どもたち一人ひとりが、適切な支援につながることができるよう、「ケースマネジメント」を通した支援を行っています。

「ケースマネジメント」とは、支援を必要とする子どもたちを特定し、支援を提供したり、適切な支援が受けられるよう専門機関へつないだりして、その後、定期的に状況の確認を行う、一連のプロセスを指します。

子どもが置かれている状況が改善され、定期的な確認が必要とないと認められると、その子どもに対する支援は終了となります。一時的な状況改善では、問題が解決されず、再び困難な状態に陥ってしまう可能性もあるため、定期的に状況を確認することは重要です。

今回は、ケースマネジメントに関連した事例を紹介します。

ウガンダでは出産後に夫が南スーダンに戻ってしまった子ども(17歳)に対して基本的な物資を支援し、母親と一緒に暮らせるように調整したり、職業訓練を実施している団体につないだりした結果、さらなる支援が必要でないことが確認できたため、支援終了となりました(詳しくはこちら)。

また、両親が南スーダン国内の武力衝突で犠牲になり、祖母と弟の3人で暮らす子ども(15歳)は、住環境の衛生状態が極めて悪く、それが原因で皮膚の感染症にかかってしまいました。まずは、病院に紹介して治療を受けられるようにし、清潔な寝具や衛生用品などを提供しました。さらに、住環境改善のための支援を行う他の機関につなぎ、子どもたちが衛生的な環境で暮らせることを確認できるまで支援しました。

 
物資支援を受けた子どもたち

ケースマネジメントを担うケースワーカーは複数の子どもを同時に担当するため、関係する機関や団体との調整、家庭訪問などを通した状況の把握などで多忙な毎日です。

しかし、あるケースワーカーの女性に、この仕事をしていてうれしいことを聞くと、「子どもたちの人生に良い影響を与えていることが何よりもうれしい」という答えが返ってきました。

彼女自身が南スーダンからの難民で、ウガンダで避難生活を送りながらも自分のコミュニティのために仕事をしているということが、誇りになっているようです。
 

ケースワーカーとの個別支援についての打ち合わせの様子

一口にケースマネジメントと言っても、子どもの個々の状況に応じて支援を行うため、そのプロセスは多岐にわたります。下記はレバノンにおける児童労働の事例をもとに、ケースマネジメントの一連の流れを示した図です。
 


この事業では地域住民による子ども保護グループを形成し、ケースマネジメントが行えるように能力強化の支援をしました。子ども保護グループのメンバーが、子どもや家庭の状況を聞き取り、支援計画を策定していきます。支援計画を策定するまでの間に世帯訪問や面談を通して、子どもとその家族との信頼関係を構築し、支援計画に互いに合意します。

支援においては学校関係者と調整し、子どもが通学できるように取り計らう一方で、通学のための交通費の補助を家族へ提供し、児童労働が子どもに与える影響について、保護者に対する啓発活動を行いました。

これらの支援を通して、保護者は子どもを学校に通わせる経済的余裕が出始め、教育の重要性も徐々に理解していきます。子どもの保護グループのメンバーは子どもが通学を継続できているか、世帯訪問を通して確認し、最終的に学習環境に定着したことが確認できれば支援を終了します。

一連の流れにおいて、セーブ・ザ・チルドレンのケースワーカーが監督・指導を行い、子どもの保護グループメンバーが対応に悩んだ際は適切な助言やサポートを実施します。

それぞれの子どもの抱える困難やニーズは異なり、複数の分野での支援を必要とするような複雑なケースや、長期間にわたり定期的な状況の把握が必要なケースも少なくありません。

紛争が長期化しているミャンマーやイエメンでは、体罰を含む身体的・精神的虐待、性的虐待、ネグレクト、アルコール・薬物、児童婚、児童労働、人身取引などさまざまなケースが確認され、一人の子どもが複数のリスクに直面している場合もあります。

 
イエメン:地雷が爆発し、片足を失ったタマラさん(13歳)に対し、医療支援を行い、学校に再び通うことができるように支援しています。タマラさんとタマラさんの母親のインタビュー動画はこちら (英語字幕) 

ケースマネジメントは、子どもたち一人ひとりが持つさまざまな事情や課題を理解した上で行う支援です。

普段報道や現地のレポートを見ていると、支援を必要としている子どもたちの人数や支援を届けることのできた人たちの人数といった数字に目が行きがちですが、その背景には一人ひとりのストーリーがあることを認識し、向き合った上で支援を続けていきたいと思います。


(海外事業部 小山 光晶)

 

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