緊急支援(公開日:2025.03.14)
極度の食料危機に直面していた子どもたちが
対外援助資金の削減に伴う診療所の閉鎖によって、さらなる危機に
2025年3月11日 – アフガニスタン北部の遠隔地域では、海外からの援助資金の削減によって30日以内に医療支援を停止せざるを得ない可能性があり、医療従事者は栄養不良の子どもたちを助けるために時間と戦っています。
アフガニスタン北部にあるセーブ・ザ・チルドレンが支援する診療所のハニフ医師と彼のチームは、3年半にわたり毎月2,500人の患者に不可欠な医療を提供する、コミュニティの唯一のライフラインとなってきました。現在、診療所はセーブ・ザ・チルドレンからの限られた緊急資金だけによって運営されています。数週間のうちに、診療所の運営は立ち行かなくなる可能性があり、何百人もの栄養不良の子どもたちが、切実に必要としている医療を受けられなくなってしまう恐れがあります。
「私たちの診療所は、このコミュニティにとって唯一の選択肢です。ここには地域の医者や看護師はいません」と ハニフ医師は言います。「コミュニティは(援助資金の削減に)深く落胆しています。 現在、当院では135人の栄養不良の子どもたちが治療を受けています。 診療所が閉鎖された場合、交通費を支払うことができないため、家族は彼らを最寄りの公立または私立の診療所に連れて行くことができません。ここで働く医師や看護師は、自分たちの国が切実なニーズを抱えており、これらの必要不可欠な医療サービスなしではコミュニティが生き残れないことを分かっているため、4〜5ヶ月間無給で働くことを誓っています。」
世界中で1億3,100万人(*)の子どもたちが深刻な食料危機に直面している地域で生活している中、最近の対外援助資金の削減により、セーブ・ザ・チルドレンは栄養不良の子どもたちの命を守るための支援を中断せざるを得なくなっています。
アフガニスタンでは、援助資金の削減により、セーブ・ザ・チルドレンとそのパートナーが支援する18の医療施設がすでに閉鎖されています。セーブ・ザ・チルドレンが支援する診療所の中で、あと1ヶ月間運営するのに十分な資金があるのはわずか14ヶ所で、新たな資金がなければ、閉鎖を余儀なくされます。これら32の医療施設は、今年の1月だけで13万4,000人以上の子どもたちを支援しました。
世界中の政府が対外援助資金を削減しており、特に米国政府の対外援助の突然の停止により、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、中東の約40ヶ国国が影響を受けています。これらの削減によって、セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちの命を守る何百もの医療施設や栄養センターの閉鎖を余儀なくされ、何百万人もの子どもたちのために実施されている保健栄養や教育支援の継続が脅かされています。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルの最高執行責任者であるガブリエラ・ウェイジマンは、次のように述べています。
「私たちは100年以上にわたり、子どもたちを守ってきました。それが私たちの存在理由であり、私たちの団体名にも『子ども』が入っている理由です。かつてないほど多くの子どもたちが支援を必要としている今、命を守るための援助資金を打ち切ることは、水が通っていないホースで山火事を消そうとしているようなものです。」
パレスチナ・ガザ地区での紛争のさなかに生まれた生後11ヶ月のサハルさんのような子どもたちは、食料価格の高騰と、もともと十分ではなかった命を守るための支援へのアクセスが無いために、飢餓と栄養不良の危険性が極めて高くなっています。
サハルさんの母、ザイナブさん(24歳)は、紛争が始まったときに妊娠していました。彼女は出産時に十分な医療を受けられず、娘のために食べ物を買うのにも苦労しました。
「紛争にすべてを奪われました。結局、彼女の服を手に入れるためだけに路上で物乞いをしなければいけませんでした。どうやって生き延びたのかわかりません。食べ物はありませんでした」とザイナブさんは話します。
「娘は栄養不良でしたが、私は彼女のためにミルクを買うことができませんでした。でも、セーブ・ザ・チルドレンの支援に、助けてもらったんです」
毎分、約 35人の子どもたちが飢えの中で生まれています。不安定な経済、紛争、気候危機が世界的な飢餓を引き起こし、子どもたちの成長を妨げ、発達を阻害し、免疫力を低下させています。 栄養不良に苦しむ子どもは、子どもがよくかかる一般的な病気で死亡する確率が11倍も高くなります。
セーブ・ザ・チルドレンは、世界のリーダー、パートナー、そして世界中のすべての人に、子どもたちとその未来に財政的に投資するよう求めます。長期的には、今回の唐突な対外援助資金の削減という決定によって、援助のあり方が不可逆的に変わっていくと想定されますが、引き続き緊急のニーズに対応していくとともに、子どもたちに効果的に支援を届けることができるように、一丸となって対外援助の仕組みを改革することが重要です。
今日、子どもたちに投資することは、私たち全員にとって、より安全で、明るく安定した世界をつくっていくことを意味します。 これは単に資金拠出だけの問題ではありません。対外援助の仕組み自体の再構築や改革のプロセスは、対外援助の根本にある価値を守りながら行われなければならないのです。
*https://www.reuters.com/world/middle-east/millions-children-food-crises-heightened-risk-lifelong-damage-2025-01-31/?