日本/国内災害(公開日:2025.11.04)
【報告】災害後の子どもの日常を守るために_助成プログラム「能登子どもスポーツ・文化ファンド」助成先訪問
能登半島地震発災から2年近くが経過しました。震災関連の報道は少なくなりましたが、能登地域は今も復興の途上にあります。子どもたちが日常的に楽しんできたスポーツ、音楽、祭りなどの活動の継続には、さまざまな困難があり、保護者や指導者の大きな負担が課題となっています。
昨年の発災後、子どもたちのためのスポーツ少年団や文化活動の団体などは、活動場所の確保などに苦労しながら少しずつ活動を再開しました。現在も、現地では道路や建物に災害の爪痕が残り、重機による解体・復旧作業が至る所で続いている状態です。そうした中でも、今年からは各団体が本格的に活動を再開しています。
セーブ・ザ・チルドレンでは、2024年能登半島地震および同年9月の奥能登豪雨の影響を受けた子どもたちを対象に、スポーツや文化活動の継続を応援する助成プログラム「能登子どもスポーツ・文化ファンド」を行っています。非営利で子どもたちのスポーツ・文化活動を行う51団体へ助成金を提供し、取り組みの継続を後押ししています。助成先団体の中から3団体の活動の様子を紹介します。
■輪島高洲太鼓(輪島市)
輪島高洲太鼓は、小学生から高校生が中心となり、輪島の伝統芸能である和太鼓の演奏を行っている団体です。
通常練習に加え、石川県内外で行われるさまざまなイベントにも出演し、日ごろの成果を披露しています。しかし仮設住宅に住みながら自宅の再建をしている世帯もある中、イベント出演のためのガソリン代や宿泊費を保護者や指導者が捻出することが負担になっています。そこで団体では、県外イベント出演のための移動費用や宿泊費用にこのファンドの助成金を活用しました。
練習は小学校の体育館で行われており、大人の指導者ではなく上級生たちが中心となって練習を進めています。「太鼓が楽しい!」と笑顔で話しながら、子どもたちは力強い掛け声と演奏を体育館に響かせていました。


珠洲ロイヤルスターズ(珠洲市)・内浦ミニバスケットボール教室(能登町)
珠洲ロイヤルスターズと内浦ミニバスケットボール教室は、小学生のミニバスケットボールチームです。
震災後、能登地域では人口減少が続いています。子どものいる世帯の流出も増えたため、両チームとも単独では1チームを編成できなくなりました。そこで市町をまたいで合同で1チームを結成し、お互いの地域を行き来して練習を続けています。練習のたびに長距離の移動が必要になり、保護者が車で送迎しています。そのため、移動にかかるガソリン代がかさみ、各世帯の大きな負担となっています。
このガソリン代のように、活動の継続にあたって表に出にくい費用も多くかかっています。このファンドでは、ガソリン代や大会参加費など活動の継続にかかる幅広い経費を助成対象としました。
練習では、子どもたちは集中力を切らすことなく真剣に取り組んでいます。震災後に能登を離れたものの、このミニバスケットボールの練習に参加するために夏休みの間だけ戻ってきている子もいました。


飯田町燈籠山祭り保存会(珠洲市)
能登の人々にとって、祭りは重要な行事です。珠洲市飯田町の祭りは高さ16メートルの燈籠山と呼ばれる大きな山車で、町を練り歩くもので、400年の歴史があります。子どもたちも祭りの担い手として、燈籠山の一部を製作しています。
祭りの費用は地域の各世帯が資金を出し合っていますが、震災後は、住宅の再建などで経済的に厳しい状況が続いています。このような地域の祭りは伝統の継承の意味を持ち、また子どもたちにとって貴重な体験の機会となります。そこでこのファンドでは、子どもたちが作る燈籠山の資材費などを支援しました。
7月下旬に行われた祭りは、例年以上の人出で賑わいました。当日は子どもたちによる踊りも披露されましたが、震災で珠洲を離れた後もオンラインで練習に参加し、本番に参加した子どももいたそうです。



助成先団体の子どもたちの様子から、スポーツや文化活動が、子どもにとって安心して過ごせる時間や人とのつながりを得られる大切な機会となっていることを、改めて実感しました。
セーブ・ザ・チルドレンは、どんな状況においても子どもたちのまなび・育ちの環境を守れるよう、地域の状況を細やかに聴き、子ども・保護者・支援者にとって本当に必要な支援を届けていきます。
(国内事業部 門川)
昨年の発災後、子どもたちのためのスポーツ少年団や文化活動の団体などは、活動場所の確保などに苦労しながら少しずつ活動を再開しました。現在も、現地では道路や建物に災害の爪痕が残り、重機による解体・復旧作業が至る所で続いている状態です。そうした中でも、今年からは各団体が本格的に活動を再開しています。
セーブ・ザ・チルドレンでは、2024年能登半島地震および同年9月の奥能登豪雨の影響を受けた子どもたちを対象に、スポーツや文化活動の継続を応援する助成プログラム「能登子どもスポーツ・文化ファンド」を行っています。非営利で子どもたちのスポーツ・文化活動を行う51団体へ助成金を提供し、取り組みの継続を後押ししています。助成先団体の中から3団体の活動の様子を紹介します。
■輪島高洲太鼓(輪島市)
輪島高洲太鼓は、小学生から高校生が中心となり、輪島の伝統芸能である和太鼓の演奏を行っている団体です。
通常練習に加え、石川県内外で行われるさまざまなイベントにも出演し、日ごろの成果を披露しています。しかし仮設住宅に住みながら自宅の再建をしている世帯もある中、イベント出演のためのガソリン代や宿泊費を保護者や指導者が捻出することが負担になっています。そこで団体では、県外イベント出演のための移動費用や宿泊費用にこのファンドの助成金を活用しました。
練習は小学校の体育館で行われており、大人の指導者ではなく上級生たちが中心となって練習を進めています。「太鼓が楽しい!」と笑顔で話しながら、子どもたちは力強い掛け声と演奏を体育館に響かせていました。


珠洲ロイヤルスターズ(珠洲市)・内浦ミニバスケットボール教室(能登町)
珠洲ロイヤルスターズと内浦ミニバスケットボール教室は、小学生のミニバスケットボールチームです。
震災後、能登地域では人口減少が続いています。子どものいる世帯の流出も増えたため、両チームとも単独では1チームを編成できなくなりました。そこで市町をまたいで合同で1チームを結成し、お互いの地域を行き来して練習を続けています。練習のたびに長距離の移動が必要になり、保護者が車で送迎しています。そのため、移動にかかるガソリン代がかさみ、各世帯の大きな負担となっています。
このガソリン代のように、活動の継続にあたって表に出にくい費用も多くかかっています。このファンドでは、ガソリン代や大会参加費など活動の継続にかかる幅広い経費を助成対象としました。
練習では、子どもたちは集中力を切らすことなく真剣に取り組んでいます。震災後に能登を離れたものの、このミニバスケットボールの練習に参加するために夏休みの間だけ戻ってきている子もいました。


飯田町燈籠山祭り保存会(珠洲市)
能登の人々にとって、祭りは重要な行事です。珠洲市飯田町の祭りは高さ16メートルの燈籠山と呼ばれる大きな山車で、町を練り歩くもので、400年の歴史があります。子どもたちも祭りの担い手として、燈籠山の一部を製作しています。
祭りの費用は地域の各世帯が資金を出し合っていますが、震災後は、住宅の再建などで経済的に厳しい状況が続いています。このような地域の祭りは伝統の継承の意味を持ち、また子どもたちにとって貴重な体験の機会となります。そこでこのファンドでは、子どもたちが作る燈籠山の資材費などを支援しました。
7月下旬に行われた祭りは、例年以上の人出で賑わいました。当日は子どもたちによる踊りも披露されましたが、震災で珠洲を離れた後もオンラインで練習に参加し、本番に参加した子どももいたそうです。



助成先団体の子どもたちの様子から、スポーツや文化活動が、子どもにとって安心して過ごせる時間や人とのつながりを得られる大切な機会となっていることを、改めて実感しました。
セーブ・ザ・チルドレンは、どんな状況においても子どもたちのまなび・育ちの環境を守れるよう、地域の状況を細やかに聴き、子ども・保護者・支援者にとって本当に必要な支援を届けていきます。
(国内事業部 門川)



