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モンゴル
(公開日:2025.12.01)

【国際障害者デー】モンゴルのすべての子どもたちに、学びの機会を

 

12月3日 は、「国際障害者デー」です。この日は、障害のある人々の課題に関する理解と障害のある人々の社会参加を促進するため、国連総会が制定した記念日です[1] 。 

子どもの権利保障を推進するセーブ・ザ・チルドレンでは、組織全体で多様性、公正性、包摂性(Diversity, Equity and Inclusion)の推進を行うとともに、障害のある子どもを含むあらゆる子どもたちの権利を守るための活動を国内外で行っています。

セーブ・ザ・チルドレンが行っている取り組みを国際障害者デーに合わせて3回にわたって紹介します。 

この記事では第2弾として、GPE(Global Partnership for Education、教育のためのグローバルパートナーシップ)の支援を受けてモンゴルで行っている、「インクルーシブ・アプローチを用いた教育の質およびアクセス改善事業[2]」についてご紹介します。

「国際障害者デー」に関する第1弾、第3弾のブログ記事は下記をご参照ください。

  第1弾:インクルーシブな社会を目指した事業・組織運営を進める

  第3弾:自分らしく話し、未来を描く ろう・難聴児のまなびや育ち支援


モンゴルにおけるインクルーシブ・アプローチを用いた教育の質およびアクセス改善事業は、モンゴル教育省を私たちがサポートするかたちで実施しています。すべての子どもが質の高い教育を受けられるよう、障害のある子どもたちへの支援にも力を入れています[3]


例えば、インクルーシブ教育の活動では、対象の公立一般教育学校において、教員研修や保護者向けの啓発ワークショップを実施してきました。また、発達支援教室を設置し、一般教育学校の教員が経験豊富な特別支援教育の教員からサポートを受けられる体制も整えました。 




教員が特別支援学級から普通学級への移行について児童と話し合う様子
(ウブス県、2023年10月)


さらに、この事業の学校給食やブレンド型学習の推進においては、「障害の主流化」というアプローチを意識的に採用しています。これは、一定数の児童生徒に障害があることを前提に、事業を設計・実施するという取り組みです。


具体的には、学校給食の活動では、食物アレルギーなどの特別な食事ニーズへの対応を推進しました。その一環として、障害に関連する食事制限や栄養面への配慮にも取り組みました。例えば、咀嚼や嚥下に困難がある子どもには、食事の形態を調整(軟食や刻み食)し、代謝障害のある子どもには量の調整を個別に行うといった対応を対象校ができるよう支援しました。



対象校に設置された学校給食用の資機材や調理器具(ウランバートル市、2025年10月)


ブレンド型学習の活動では、特に聴覚障害のある子どもの学習を支援するため、タブレット端末の活用方法について、教員・児童生徒・保護者向けの実践的なハンドブックを作成しました。ハンドブックには、アクセシビリティ機能の使い方や、コミュニケーションや学習のためのアプリケーションの活用方法といった内容を含めました。



対象校の教員代表に対する、ブレンド型学習の教授法に関する研修の様子。
ブレンド型学習における個別指導計画の作成・実施についても指導した。
(ウランバートル市、2024年5月)


ただ、すべてが完全に順調に進んでいるというわけではありません。例えばブレンド型学習は、過密な教室における教員の負担軽減につなげることが1つの重要な目的ですが、導入当初は、新たな実践を学び取り入れる必要があるため、教員に追加の負担を与えてしまっている部分があります。このような状況下で、障害のある子どもに対して十分にインクルーシブな学習体験を提供することの難しさは、私たちも認識しており、引き続き状況をフォローし、継続的な支援を行っています。


私たちの活動において「インクルーシブ教育」について語るとき、正直なところ、議論の中心はしばしば「障害のある子どもや学習から排除されるリスクのある子どもが、“従来的な教科学習”にいかに有意義に参加できるようにするか」という点に置かれます。このGPE事業に関わる中で、教育が真にインクルーシブであるということの意味の広さと深さを、私たちは改めて実感するようになりました。



特別支援学校の教員が一般教育学校で指導している様子(セレンゲ県、2023年10月)


こうした支援の積み重ねを通じて、現場では少しずつ、しかし確かな変化が生まれています。


7年生のオチルさん※は、聴覚障害があります。以前は教室の後ろで静かに座り、手話を通じて授業についていこうと一生懸命でしたが、しばしば取り残されてしまっていました。クラスメートとの会話に加わりたいと思っていましたが、それは簡単ではなく、しょっちゅう、自分が見えない存在かのように感じていました。


この事業を通じて、オチルさんはタブレット端末の使用法を学びました。初めて、先生が話している内容の文字起こしをリアルタイムで読むことができ、メッセージを通じて自分の考えを表明できるようになりました。少しずつ、彼は“手を挙げる”機能をタブレット端末で使うようになり、グループワークに参加して、自分の力を発揮する機会が増えました。今では、彼は自分の教室でよそ者のように感じることはありません。


オチルさんの家庭でも変化が起きました。チャットを使って、手話を使わずに両親とコミュニケーションを取れるようになりました。宿題や学校の連絡事項を巡って生じていた混乱やフラストレーションは、徐々に消えていきました。彼は、学校でも家庭でも自信を持って使えるコミュニケーション手段を得ました。


こうした変化は、子どもたち自身の可能性を広げるだけでなく、周囲の大人や地域社会の意識にも影響を与えています。

「障害があるからできない」という考え方は、徐々に「どうすれば可能になるか?」に置き換わりつつあります。


※プライバシー保護のため名前は変更されています。


海外事業部 モンゴル事業担当

[1] Persons withDisabilities, International Day of Disabled Persons, 3 December 1992 |Independent Living Institute
[2] 事業の正式名称は「Enabling Equity to Advance LearningEQUAL)」
[3] GPE事業の全体像については、こちら:モンゴルで子どもたちの学びを支援するGPEグラント事業が開始


 

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