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ナイジェリア
(公開日:2016.11.17)

ナイジェリア北東部での深刻な栄養危機 〜日に200人の子どもが亡くなる恐れ〜

 
子ども支援の国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレンが6月から10月に実施した最新の調査で、ナイジェリア北東部では、深刻な栄養危機で5歳未満の子どもの半数が急性栄養不良に陥っている地域があり、日に200人の子どもが亡くなる恐れがあることがわかりました。治安が悪い地域では、状況はさらに深刻な可能性があり、人道支援のための資金は間もなく底をつくだろうと、セーブ・ザ・チルドレンは警告しています。


セーブ・ザ・チルドレンが9月に開設した、重度の急性栄養不良に陥った子どもたちの救急ケアを行う施設で治療を受ける1歳の女児。付き添いの母親は暴動で夫を、その後はしかでもう一人の子どもを亡くし、「今は娘がよくなることだけが願い」と語る。



ボルノ州の州都マイドゥグリ近郊の栄養不良集中治療施設の状況について、セーブ・ザ・チルドレン ナイジェリア事務所代表ベン・フットは「子どもたちは生死の境をさまよっている状態で運ばれてきます。しかし、施設は既に収容限度を越えており、重度の栄養不良の子どもたちを床の上に敷かれたマットレスに寝かせなければなりません。セーブ・ザ・チルドレンの医療スタッフは夜昼なく働いていますが、新たな資金が調達できなければ、遠からず、治療が必要な子どもたちを受け入れられないという、痛ましい状況になるでしょう」と話します。

ナイジェリア北東部における7年に及ぶ武力闘争で、住む場所を追われた子どもの数は100万人にも達し、国連は、「世界で最も忘れ去られた子どもたち」であると形容しています。

施設で治療を受けた1歳の女児の母親は、コンドゥガで発生した暴動で夫が殺され、子どもを連れて逃れましたが、その後、2歳になったもう一人の子どもをはしかで亡くしました。母親は、「コンドゥガには絶対に帰りたくない。今は娘が良くなることだけが願いです」と言います。

また、施設に運ばれた時に重度の栄養不良と発育不全、肺炎を患っていたある2歳の女児の母親は、夫と叔父、そして3人の子どもを目の前で殺されました。女児の治療にあたったセーブ・ザ・チルドレンの医師は、子どもの命は助かったものの、何も持たないこの母親が、残された3人の子どもを一人で健康に育てることは困難だろうと危惧します。

セーブ・ザ・チルドレンの栄養不良集中治療施設では、多くの子どもたちが重度の栄養不良と同時に、肺炎・マラリア・下痢などの命の危機につながる病気にかかっています。栄養不良に陥るのが今回で2度目、3度目の事例もあり、そうした子どもたちは、体の免疫力が既に著しく低下しているため、効果的な処置を施すことが困難です。



ナイジェリア北東部におけるこうした人道危機に対する資金は、国連の要請のわずか38%しか調達できていません。このまま緊急人道支援がすぐに行われない限り、この一年で、7万5,000 人の子どもたちが重度の栄養不良で亡くなるだろうと、国連も予測しています。

セーブ・ザ・チルドレンのベン・フットは、「国際社会は、ナイジェリア北東部で起きている人道危機の規模に目を向けるべきです。2016年から2017年にかけて、少なくとも10億ドルの人道支援が必要ですが、これは今年要請された額の2倍です。問題は、今年の要請分に対しても、まだ3分の1の資金しか調達できていないことです。12月初めにジュネーブで開催される予定の難民に関する国連ハイレベル支援会合が、栄養危機がこのまま制御不能なほどに拡大するのを防ぐために必要な資金の提供を促すことになるでしょう。現状は、英国、米国及びEUからの支援で資金の3分の2をまかなっているため、その他の国の資金拠出が必要です。資金が調達できなければ、何千人もの子どもたちの命が失われることになります」と警告します。

【ナイジェリア北東部の栄養危機におけるセーブ・ザ・チルドレンの支援活動】
セーブ・ザ・チルドレンは、これまでに重度の急性栄養不良の子ども1万2,000 人の治療を行いました。9 月には、マラリアなどを併発した重度の急性栄養不良に陥った子どもたちの救急ケアを行う施設を新たに開設しました。セーブ・ザ・チルドレンはまた、7,500 世帯に電子バウチャーを使った緊急食料支援を提供しており、11月中には、更に 5,000世帯にも支援対象を広げる計画です。その他、仮設トイレや井戸の設置、3〜5歳の子どものケア、父母と離れ離れになった子どもたちを引き取る里親のためのトレーニングなどを実施しています。



 

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