ソマリア(公開日:2021.04.26)
【ソマリア】干ばつの影響で畜産に関わる家族の収入が半減の恐れ―子どもたちが栄養不良の危機に
セーブ・ザ・チルドレンは、ソマリアで、大量発生したバッタや異常気象が家計に与える影響と、今後の降水量について調査しました[1]。 その結果、2021年4月からの3ヶ月間に、降水量は例年の平均以下になり農作物の収穫量は75%から80%減少すると予想されています[2]。 また、多くの世帯にとって生活の ベースとなる家畜の販売による収入も最大で55%減少すると考えられています。
加えて、2021年4月から9月の間に、ソマリア南部の州では、穀物や野菜の収穫量は貧困家庭が必要とする食料の15%にとどまり、作物を売って得られる収入では、家族が生きていくために必要な食料の10%相当しか購入できないと推計されています。2017年と2018年の飢饉では、貧困家庭において日々の食事の少なくとも50%は自らの収穫からまかない、穀物や野菜の販売を通して世帯収入の40%を得ることができていたことから、事態の深刻さが浮き彫りになっています。
ソマリア中部・北部では、大量に発生したバッタが穀物や飼料を食べつくしたり、雨不足により家畜が死んだり販売に適さない成育状態となり、家畜販売による収入は2017年、2018年と比較して40%から55% 落ち込むと推計されています。また、牛乳の生産量も2018年、2019年と比較して50%から65%落ち込むとみられており、子どもたちは栄養不良に陥るリスクに晒されています。
畜産業を営み、11人の子どもの母であるイクランさん(40歳)は次の通り話します。
「私たちの主な収入源は、地元の市場での家畜販売です。しかし、干ばつと水不足で、家畜の価格は下がっており、ヤギを売ったお金では十分な食料を買えないことがあります。また、物価も高騰しています。以前は、20キロの米は、10米ドルから11米ドル(約1,200円)でしたが、今や17米ドルから18米ドル(約1,900円)に値上がりしました。」
ザイナブさん(28歳)と子どもは2017年の干ばつにより避難を余儀なくされ、収入がないと話します。
「干ばつが起こり、私の商売は立ち行かなくなりました。仕事もなく、息子のモハメドに十分なミルクや水を与えられませんでした。モハメドはとても体が弱く動くこともできません。熱を出し、嘔吐や下痢にも苦しんでいました。食べることもできず、母乳を飲むこともできませんでした。」
セーブ・ザ・チルドレン ソマリア事務所代表のモハムド・モハメド・ハッサンは、収入が減ることで親が子どもの学費や必要な治療費を払えなくなるとも指摘します。また、ソマリアでは、多くの自然災害が発生し、近年その頻度と深刻さが増しているため 、コミュニティが災害から復興する前に次の災害が起こっていると話します。
セーブ・ザ・チルドレンは、190万人の子どもと大人たちの命を守り、今後6ヶ月間にわたって食料や保健医療、教育、そして水・衛生分野の支援を実施するために1億5,000万米ドル(約160億円)の資金が必要だと国際社会に対して訴えます。 そして、ソマリア政府に対しては、人道支援を最優先とし、政治的対立が人道支援を妨げないよう求めます。
[1] In February and March 2021, Save the Children carried out a household economic analysis (HEA) to model the most likely scenario of below average 2021 Gu rains and other shocks in 46 districts across seven livelihood zones. The scenario period covers January-September 2021.
The analysis covers the first six months of the pastoral consumption year, which is April-September 2021 in the northern zones. In the south and central zones, the analysis covers the second six months of the cropping consumption year which is January-June 2021. The analysis covers the actual outcome of the 2020 Deyr season and a prediction for the upcoming Gu season.
An HEA is a livelihoods-based framework for analysing the way people access the things they need to survive and prosper. The HEA consists of a baseline profile of household economies by wealth group and by livelihood zone. The baseline is complemented by Outcome Analyses that measure the impacts of different shocks on the household economy.
[2] Crop and vegetable production in Somalia is predicted to drop by a shocking 75-80 percent this season compared to 2018/19 levels
加えて、2021年4月から9月の間に、ソマリア南部の州では、穀物や野菜の収穫量は貧困家庭が必要とする食料の15%にとどまり、作物を売って得られる収入では、家族が生きていくために必要な食料の10%相当しか購入できないと推計されています。2017年と2018年の飢饉では、貧困家庭において日々の食事の少なくとも50%は自らの収穫からまかない、穀物や野菜の販売を通して世帯収入の40%を得ることができていたことから、事態の深刻さが浮き彫りになっています。
ソマリア中部・北部では、大量に発生したバッタが穀物や飼料を食べつくしたり、雨不足により家畜が死んだり販売に適さない成育状態となり、家畜販売による収入は2017年、2018年と比較して40%から55% 落ち込むと推計されています。また、牛乳の生産量も2018年、2019年と比較して50%から65%落ち込むとみられており、子どもたちは栄養不良に陥るリスクに晒されています。
畜産業を営み、11人の子どもの母であるイクランさん(40歳)は次の通り話します。
「私たちの主な収入源は、地元の市場での家畜販売です。しかし、干ばつと水不足で、家畜の価格は下がっており、ヤギを売ったお金では十分な食料を買えないことがあります。また、物価も高騰しています。以前は、20キロの米は、10米ドルから11米ドル(約1,200円)でしたが、今や17米ドルから18米ドル(約1,900円)に値上がりしました。」
ザイナブさん(28歳)と子どもは2017年の干ばつにより避難を余儀なくされ、収入がないと話します。
「干ばつが起こり、私の商売は立ち行かなくなりました。仕事もなく、息子のモハメドに十分なミルクや水を与えられませんでした。モハメドはとても体が弱く動くこともできません。熱を出し、嘔吐や下痢にも苦しんでいました。食べることもできず、母乳を飲むこともできませんでした。」
セーブ・ザ・チルドレン ソマリア事務所代表のモハムド・モハメド・ハッサンは、収入が減ることで親が子どもの学費や必要な治療費を払えなくなるとも指摘します。また、ソマリアでは、多くの自然災害が発生し、近年その頻度と深刻さが増しているため 、コミュニティが災害から復興する前に次の災害が起こっていると話します。
セーブ・ザ・チルドレンは、190万人の子どもと大人たちの命を守り、今後6ヶ月間にわたって食料や保健医療、教育、そして水・衛生分野の支援を実施するために1億5,000万米ドル(約160億円)の資金が必要だと国際社会に対して訴えます。 そして、ソマリア政府に対しては、人道支援を最優先とし、政治的対立が人道支援を妨げないよう求めます。
[1] In February and March 2021, Save the Children carried out a household economic analysis (HEA) to model the most likely scenario of below average 2021 Gu rains and other shocks in 46 districts across seven livelihood zones. The scenario period covers January-September 2021.
The analysis covers the first six months of the pastoral consumption year, which is April-September 2021 in the northern zones. In the south and central zones, the analysis covers the second six months of the cropping consumption year which is January-June 2021. The analysis covers the actual outcome of the 2020 Deyr season and a prediction for the upcoming Gu season.
An HEA is a livelihoods-based framework for analysing the way people access the things they need to survive and prosper. The HEA consists of a baseline profile of household economies by wealth group and by livelihood zone. The baseline is complemented by Outcome Analyses that measure the impacts of different shocks on the household economy.
[2] Crop and vegetable production in Somalia is predicted to drop by a shocking 75-80 percent this season compared to 2018/19 levels