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ブルキナファソ
(公開日:2012.12.19)

食糧危機を乗り越えるために(2012.12.19)

 
7月末にお伝えしたアフリカ・サヘル地域の食糧危機への対応の続報です。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)では、今年度アフリカのサヘル地域で発生した食糧危機に対し、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成を受け、ブルキナファソにて緊急の食糧支援事業を12月初めまで実施致しました。

ブルキナファソの中でも干ばつによる食糧不足と食糧価格の高騰による影響を大きく受け、更にマリ難民の流入を受け特に深刻な食糧危機に陥っていると言われていたサヘル州ウダラン県の5村及びガンダファブ難民キャンプにおいて、以下の活動を行いました。
1. 3〜12歳の子どもを対象に給食を配給する。
2. 母親に対して栄養・衛生教育を実施し子どもが栄養のある食事を取れるように促す。
3. 3〜5歳の子どもを対象に保育所を設置し、栄養のある食事を提供する場を確保すると共に収穫期の重要な時期に住民が農作業及び放牧に専念できる時間を確保する。

給食の配給については、小学校が夏休みの間、マリ難民キャンプで開かれていた補習授業に来る生徒に対して行いました。また、下記にも述べる保育所においても通ってくる子どもたちに朝と昼、給食を提供しました。これにより、合計で1,492人が1日2回栄養のある食事を摂取することができました。通常でも食糧や栄養の不足により、栄養失調に陥りがちなこの地域の子どもたちですが、今年度は食糧不足のため特にその恐れが高く、またマリ難民の流入もあり、なかなか子どもたちがきちんとした食事をとれない状況でした。
そのような中、収穫が出来るまでの間、給食を提供することにより、子どもたちの保護者や地域住民からも「子どもたちが毎日2回栄養のある食事を食べられるようになり、とてもうれしい」といった声をもらったり、子どもたちも「もうおなか減ってないよ」と言ってくれています。
 


保育所でお昼に給食を食べる子どもたち

子どもたちが保育所で毎日きちんと栄養のある食糧を取れることを
母親たちも喜んでいました。




2つ目の活動については、SCJのコミュニティ調整員が中心となって地域の保健局と協同して、対象地域の母親に対して栄養・衛生に関する研修を実施しました。また、その研修を受けた母親を対象に、食糧配布を2回に分けて実施し、合計1,176人の母親(世帯)が食糧を受け取りました。食糧は米、キビ、モロコシ、インゲン、食糧油、ヨウ素添加塩、砂糖、粉ミルクなど、日常の食生活に必要なものばかりで、母親たちからは「今年は特に食糧が不足していた中、食糧を受け取ることが出来てとてもうれしい」といった声や、地域住民からは「母親が子どもの栄養・健康や衛生に関する知識を身につけたことで、家庭でもきちんと子どものケアができるようになり、また、村全体が清潔になった」との声が聞かれました。




食糧の配給の順番を待つ母親たち




3つ目の活動として、一つ目の給食の配給とも重なりますが、対象5村において、6か所の保育所を設置しました。また、村の中から保育士さんとなる女性に対して子どもの保育について研修し、各村において村の人々と一緒に保育所を運営できるよう支援しました。最終的には3歳から5歳までの子ども1,226人が利用しています。住民からはこれまでこのような場所がなかったために農作業にも支障が出ていたこと、子どもたちがのびのびと遊ぶことができていることに対して非常に有意義な活動であったとの感想が聞かれました。また、保育所を通じて、コミュニティ全体の連帯感を生み、幼い子どもを村全体でケアしようという意識の向上も生まれたとの声が聞こえています。行政の責任者も「この事業は当初の目的である子どもに栄養のある食事を食べさせるという目的を大きく超えて、子どもがのびのびと遊べる環境を作り、コミュニティの連帯感を生み出した」との言葉を届けてくれました。



保育士の下、保育所で遊ぶ子どもたち




本事業により、特に今年度の収穫が見込める11月から12月まで、子どもたちへ食糧を提供することが出来ました。幸いなことに、今年度の収穫は、雨がたくさん降ったこともあり、特に事業を展開しているブルキナファソでも昨年を超える収穫が出来たところが多かったとの報告が入ってきています。
一方で、食糧危機の影響は収穫が順調で新しく食糧が手に入ったからと言ってすぐに解決するものではありません。収穫前に食糧がなかった人々の多くは自分の財産である家畜やわずかに残っている家財道具等を売り払っても自分や家族、特に子どもたちのために食糧を購入しなければなりませんでした。しかも、食糧がないために市場での穀物の販売価格は跳ね上がっており、ただでさえ食糧がない状況に拍車をかける結果となっていました。現在でも市場での食糧価格は、収穫不足だった昨年よりも、既に今の段階で大きく上回っており、今後も価格は高止まりすると推測されています。本当の意味での食糧危機による影響を受けた人々の生活の再建はこれからです。
気候の変動に左右されない強靭な生活力を身につけ、次回食糧危機が起こった時も生活レベルを落とすことなく、危機を乗り越えられる力をつけられるよう支援が必要とされています。SCJは今後も、ブルキナファソにおいて子どもたちの未来を拓くための支援を行ってまいります。
皆様の引き続きのご支援を宜しくお願い致します。

(報告:海外事業部 利川豊)

当事業は、2012年11月をもちまして終了いたしました。セーブ・ザ・チルドレンでは、ブルキナファソでの子ども支援活動を継続して実施しています。詳しくは、グローバルサイトをご覧ください。


 

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