地中海「捜索救助船」(公開日:2017.06.05)
大規模な地中海捜索救助を実施−生後1週間の赤ちゃんを救出
セーブ・ザ・チルドレンは、地中海で、これまでで最大規模の救助活動を実施し、550人の難民・移民を救助してきました。今回の救出活動は、5月初旬に実施され、4日間の救助活動中に、75人が溺死したとみられ、地中海での死者数は増え続けています。2017年だけでも、1,150人が地中海で命を落としています。4月末にイタリアに到着した6,000人と合わせると、今年だけですでに4万3,000人以上がイタリアに到着しています。
セーブ・ザ・チルドレンの捜索救助船「ボス・ヘスティア」に助けられた人々は、遭難しかかった4隻のゴムボートに乗っていました。救助された人々のうち40人近くは、大人の付き添いがなくたった一人で旅をしてきた子どもたちとみられ、妊娠中の女性14人や、生後1週間の赤ちゃんを含む5歳未満の子どもたち4人もおり、溺れる寸前で、助け出された人もいました。
捜索救助船「ボス・ヘスティア」号のチームリーダー ジリアン・モイーズは、「今まで経験したことのない一日でした。救命ボートが複数の航路をとり、遭難している船まで近づくと、地平線にはさらに多くの船が見ました。死者数がそれほど多くならずに済んだのは、我々のチームや、この海域で活動する他の援助団体やイタリアの沿岸警備隊の救助船の並々ならぬ努力の証です。救助活動が終了する頃には、救助した人の人数は、船の定員に達する寸前で、デッキは、子どもや妊娠中の女性などを含む大勢の人たちで埋め尽くされていました。
救助された人々の多くは、暴力や搾取から逃れるためリビアから避難してきたと話していました。ある男性は、状況が地獄よりもひどくなったあと、リビアから故郷に戻ろうとしたときに銃で撃たれ、そのときの傷跡を私たちに見せてくれました。大勢の人々が、海が唯一の移動ルートだと話していました。
救助活動を開始する直前に、1週間あるいはそれ以上の間、海に漂流していた遺体を発見し、収容しました。この出来事は、暴力や迫害、極度の貧困状態から逃れてきた人々が必要としていることは何なのかを、強く思い起こさせる出来事でした。私たちは、絶望にある人々と彼らがたどるであろう運命の間でただ立ちすくんでいるべきではありません。
ヨーロッパ各国は、イタリアが実施する捜索救助活動を支援すべきで、国境の管理を強化するのではなく、人命を救うことを最優先にすべきです。そして、EUが安全で合法的なヨーロッパへの移動ルートを提供できるまで、国際的な保護を必要としている人々や移民たちの両方にとって、ヨーロッパに辿り着くまで命を危険に晒し続けることになるでしょう」と訴えます。
他の援助団体とともに活動している中で、セーブ・ザ・チルドレンの子どもの保護の専門家チームは、リビアから避難する途中、混乱の中、母親と離ればなれになってしまった2人の幼い子どもたちを、それぞれの母親と再び引き合わせることができました。