エチオピア（公開日：2019.12.09）
エチオピア 気候変動が子どもたちの生活に及ぼす影響
アフリカ大陸東部のエチオピアでは、干ばつのために、大勢の子どもたちと若者たちが牧畜生活をあきらめざるを得ない状況にあります。この地域は、2011年と2017年に大規模な干ばつに襲われましたが、それから回復していないなか、新たな干ばつと食料危機に瀕しています。
ハビバさん(14歳)は、2年前、干ばつと紛争の影響により避難を余儀なくされました。ハビバさんのような子どもたちはエチオピア100万人以上います。家族は牧畜で生計を立てていましたが長引く干ばつによりラクダを失いました。現在は、両親ときょうだい6人と一緒に小さな小屋に暮らしながら、最年長として家事や、幼いきょうだいの世話をしています。
牧畜で生計を立てている人たちはエチオピア国内に約120万人おり、通常都市部から遠く離れ、訪れることが容易にできないような遠隔地で生活しています[i]。
季節とともに、緑豊かな牧草地とより良い放牧地を求めて、家族は広大な土地を、家畜の群れとともに移動します。アフリカの最も困難な気候の中で、牧畜民は何世紀にもわたってこのように暮らしてきました [ii]。
しかし、気候変動の影響で、先祖代々続いてきた生活様式を困難にしています。ハビバさんとその家族が避難生活をしているキャンプには、985家族が暮らしており、ほぼ全員がかつては牧畜で生計を立てていました。しかし、2016年から2017年の深刻な干ばつで家畜を失い、唯一の収入減をなくしました。
ハビバさんは次の通り話します。
「私たちは、地方に暮らし、ラクダと羊を放牧していましたが、干ばつの後に、すべて死にました。 私たちは家畜を失い、不安になりました。避難民と家畜を失った人々がここに住んでいることを知り、家族で避難して来て、ここで暮らすようになりました。」
アフリカ東部の「アフリカの角」と呼ばれる地域は、かつては、約10年に1回の割合で1年間干ばつに襲われてきました[iii]。しかし、過去10年だけで3回も深刻な干ばつと、大規模な洪水に襲われています。
農業で生計を立てている家族は、干ばつが起こっても季節が1回か2回過ぎると農業を復興することができますが、牧畜で生計を立てている家族は、再び家畜が育つまでに4年から5年かかります。
また、紛争の勃発も、飢餓を起こしたり、生活様式を続けることを困難にしたりする一因です。限られた牧草地や水源をめぐる競争の激化は、ときに、気候変動による影響とも考えられます。
干ばつやによる影響は、深刻かつ、広範囲に及んでいます。エチオピアで活動するセーブ・ザ・チルドレンのチームは、牧草地の再生や水源、失った家畜の群れを取り戻すために苦心しているコミュニティを目の当たりにしています。約700万人が飢餓と食料不足に直面しています。最新の降雨の状況が明らかになると、飢餓や食料不足に直面する人々が増えるのではないかという恐れが高まります[iv]。
セーブ・ザ・チルドレンは、仮設の学習スペースを開設し、1,200人の子どもたちが通っています。ハビバさんの家族は家畜を失い、避難を余儀なくされましたが、彼女は教育を受ける機会を得ました。移動を続ける生活様式の牧畜一家の子どもたちは、学校に通う機会がありません。
ハビバさんも一度も学校に通ったことが無かったため、初めは緊張していました。「少し不安で、何を勉強するのか考えていました。将来は先生になりたいです。学んだことを活かしたいです。勉強が大好きです。」
セーブ・ザ・チルドレンは、900万人近くが、雨量不足が続いた後、900万人近くが深刻な飢餓に直面する重大な緊急事態に陥ると警鐘をならしています。「アフリカの角」地域の一部では、1981年 [v]以降、累積降雨量の合計が最も低く、また、2016年以降に迎えた収穫時期7回のうち豊作だったのは1回のみでした。
エチオピア国内で避難を余儀なくされた国内避難民のうち92%が安全な飲料水を手に入れることができず、62%はトイレなどの衛生施設を利用することができません。こうした状況は、感染症流行のリスクを高めます。
セーブ・ザ・チルドレンは、安全な水の支援や水源がない地域にトラックによる給水支援、給水所の復旧、トイレの建設を進めています。また、コミュニティの人たちによる水道インフラのメンテナンスを行うWASH（Water, Sanitation and Hygiene：水衛生）委員会をつくり研修を実施しているほか、水浄化タブレットなどが入った衛生キットの配布もしています。
[i] World Bank - https://www.worldbank.org/en/news/feature/2016/10/11/empowering-ethiopias-pastoral-and-agro-pastoral-communities
[ii] FAO - http://www.fao.org/3/CA1312EN/ca1312en.pdf
[iii] Drought and climate change in Somalia briefing note, SC Somalia CO
[iv] 2019 Ethiopia Humanitarian Needs Overview, OCHA Situation Report for Ethiopia June 2019
[v] United Nations [June 2019] Horn of Africa: A joint call for action before a major regional humanitarian crisis
https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/HoA%20Joint%20Position%20Paper%20FAO%20UNICEF%20WFP%20Final.pdf
ハビバさん(14歳)は、2年前、干ばつと紛争の影響により避難を余儀なくされました。ハビバさんのような子どもたちはエチオピア100万人以上います。家族は牧畜で生計を立てていましたが長引く干ばつによりラクダを失いました。現在は、両親ときょうだい6人と一緒に小さな小屋に暮らしながら、最年長として家事や、幼いきょうだいの世話をしています。
牧畜で生計を立てている人たちはエチオピア国内に約120万人おり、通常都市部から遠く離れ、訪れることが容易にできないような遠隔地で生活しています[i]。
季節とともに、緑豊かな牧草地とより良い放牧地を求めて、家族は広大な土地を、家畜の群れとともに移動します。アフリカの最も困難な気候の中で、牧畜民は何世紀にもわたってこのように暮らしてきました [ii]。
しかし、気候変動の影響で、先祖代々続いてきた生活様式を困難にしています。ハビバさんとその家族が避難生活をしているキャンプには、985家族が暮らしており、ほぼ全員がかつては牧畜で生計を立てていました。しかし、2016年から2017年の深刻な干ばつで家畜を失い、唯一の収入減をなくしました。
ハビバさんは次の通り話します。
「私たちは、地方に暮らし、ラクダと羊を放牧していましたが、干ばつの後に、すべて死にました。 私たちは家畜を失い、不安になりました。避難民と家畜を失った人々がここに住んでいることを知り、家族で避難して来て、ここで暮らすようになりました。」
アフリカ東部の「アフリカの角」と呼ばれる地域は、かつては、約10年に1回の割合で1年間干ばつに襲われてきました[iii]。しかし、過去10年だけで3回も深刻な干ばつと、大規模な洪水に襲われています。
農業で生計を立てている家族は、干ばつが起こっても季節が1回か2回過ぎると農業を復興することができますが、牧畜で生計を立てている家族は、再び家畜が育つまでに4年から5年かかります。
また、紛争の勃発も、飢餓を起こしたり、生活様式を続けることを困難にしたりする一因です。限られた牧草地や水源をめぐる競争の激化は、ときに、気候変動による影響とも考えられます。
干ばつやによる影響は、深刻かつ、広範囲に及んでいます。エチオピアで活動するセーブ・ザ・チルドレンのチームは、牧草地の再生や水源、失った家畜の群れを取り戻すために苦心しているコミュニティを目の当たりにしています。約700万人が飢餓と食料不足に直面しています。最新の降雨の状況が明らかになると、飢餓や食料不足に直面する人々が増えるのではないかという恐れが高まります[iv]。
セーブ・ザ・チルドレンは、仮設の学習スペースを開設し、1,200人の子どもたちが通っています。ハビバさんの家族は家畜を失い、避難を余儀なくされましたが、彼女は教育を受ける機会を得ました。移動を続ける生活様式の牧畜一家の子どもたちは、学校に通う機会がありません。
ハビバさんも一度も学校に通ったことが無かったため、初めは緊張していました。「少し不安で、何を勉強するのか考えていました。将来は先生になりたいです。学んだことを活かしたいです。勉強が大好きです。」
セーブ・ザ・チルドレンは、900万人近くが、雨量不足が続いた後、900万人近くが深刻な飢餓に直面する重大な緊急事態に陥ると警鐘をならしています。「アフリカの角」地域の一部では、1981年 [v]以降、累積降雨量の合計が最も低く、また、2016年以降に迎えた収穫時期7回のうち豊作だったのは1回のみでした。
エチオピア国内で避難を余儀なくされた国内避難民のうち92%が安全な飲料水を手に入れることができず、62%はトイレなどの衛生施設を利用することができません。こうした状況は、感染症流行のリスクを高めます。
セーブ・ザ・チルドレンは、安全な水の支援や水源がない地域にトラックによる給水支援、給水所の復旧、トイレの建設を進めています。また、コミュニティの人たちによる水道インフラのメンテナンスを行うWASH（Water, Sanitation and Hygiene：水衛生）委員会をつくり研修を実施しているほか、水浄化タブレットなどが入った衛生キットの配布もしています。
[i] World Bank - https://www.worldbank.org/en/news/feature/2016/10/11/empowering-ethiopias-pastoral-and-agro-pastoral-communities
[ii] FAO - http://www.fao.org/3/CA1312EN/ca1312en.pdf
[iii] Drought and climate change in Somalia briefing note, SC Somalia CO
[iv] 2019 Ethiopia Humanitarian Needs Overview, OCHA Situation Report for Ethiopia June 2019
[v] United Nations [June 2019] Horn of Africa: A joint call for action before a major regional humanitarian crisis
https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/HoA%20Joint%20Position%20Paper%20FAO%20UNICEF%20WFP%20Final.pdf
