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イラク
(公開日:2014.12.17)

コミュニティの参加による、よりよい学校運営の改善のために(vol.2)(2014.12.17)

 
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、SCJ)は、2010年から今年の5月まで、イラク南部バスラ県で小学校の改善事業を実施しました。3回のシリーズで、この事業の背景を振り返るとともに、4年間の事業の活動の内容と成果をお伝えしています。(1回目の記事「コミュニティの参加による、よりよい学校運営の改善のために(vol.1)」はこちらです

シリーズ2回目の今回は、イラクにおいて実施したコミュニティの参加による学校運営改善事業の中の「学習環境の整備」に関する活動についてご報告します。

イラクでは、多くの小学校の建物の老朽化が進み、教室やトイレなどは壊れて使用が出来なかったり、使用できるとしてもその状態が劣悪なままになっていたりします。また、たとえ支援が入って設備が新しくなったとしても、質が悪く、大切に使わなければすぐに壊れてしまいます。そのため、単なる修復や備品を支援するだけでなく、関係者が責任を持って管理できる仕組みが必要でした。

まずは学校運営委員会を立ち上げ、委員会が学校の施設の修復や備品の購入を学校改善計画の中で計画するとともに、責任を持って管理を行うことを目指しました。

学校の修復については、各学校運営委員会が優先付けしたニーズに合わせ、学校施設の壁、屋根、天井、窓、ドア、床、校庭、電気配線、一部の水周りの修築、トイレ施設、天井扇風機、校庭の花壇類の建設を、SCJと各学校運営委員会が協力して行いました。更に、各学校との話し合いと実地調査によって備品のニーズを確認し、子ども用机・椅子の新品購入と修理、黒板、教員用椅子と書類棚、給水機、水タンク、プラスチックパイプや修理ツールキットなどを供与しました。


左:修復前の学校の様子 右:修復後の学校の様子




校庭が整備され、スポーツもできるようになった




窓ガラスが新しくはめ込まれた




校庭をならし、水たまりがなくなった

また、各学校では清掃用具が不足しており、特にゴミ箱がないことで学校中にゴミが散乱する一因になっていました。そのため、基本的な清掃用具を各学校施設へ配布するとともに、清掃用具の使い方や清掃の仕方について、学校や学校運営委員会と協議を行いました。各学校に清掃用具が常備され、また、ゴミ処理などに関する仕組みが整備されたことで、学校の清掃状況が著しく改善されるとともに、多くの子どもや大人が参加する清掃活動を行うこともできるようになりました。


トイレ掃除をする子どもたち


ゴミはゴミ箱に入れるようになった

この新しい清掃の習慣について一人の生徒に話を聴いてみました。
「これまでは学校や教室をきれいにしようなんて一度も思わなかったし、地面にゴミを捨てるのもなんとも思いませんでした。学校はゴミであふれていて、遊んだり座ったりすることもできませんでした。でも、清掃キャンペーンや啓発キャンペーンがあってから、私たちはみんな、衛生的な学校のほうがいいと思っているし、ゴミを地面に投げ捨てることもなくなりました。私はゴミをゴミ箱に捨てる活動リーダーになりました。地域の学校での競争では、一番きれいな学校に選ばれました。学校がきれいになってとてもうれしいです。」ヌールさん(11歳)


ゴミをゴミ箱に捨てる活動のリーダーになったヌールさん

次回は、事業の3つ目の活動である「 学校における「子どもの参加」の促進」についてご報告いたします。

この事業はみなさまのご寄付と外務省日本NGO連携無償資金協力による助成により実施しました。ありがとうございました。

*2014年12月現在、イラク北部では戦闘によって多くの子どもを含む避難民が発生しています。セーブ・ザ・チルドレンは、2014年6月に戦闘が始まって以来、避難民への支援活動を実施しています。
(リンク)【イラク北部での戦闘開始から2ヶ月、120万人を超える避難民に援助団体が懸命の対応(2014.08.14)】

(イラク担当:利川)








 

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