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マダガスカル
(公開日:2022.09.06)

【マダガスカル】サイクロン緊急支援

 
アフリカ大陸南東部沖に位置する島国のマダガスカルは、アフリカでもっともサイクロンの被害を受けやすく、現在世界で唯一、紛争ではなく気候の影響によって、飢饉に近い状況が起っている国です。

2022年1月から4月にかけて5つのサイクロンが上陸し、特に南東部のヴァトヴァヴィ地域のマナンジャリー県と、ヌシヴァリカ県が大きな被害を受けました。セーブ・ザ・チルドレンは、サイクロンにより影響を受けた人たちの支援を、2022年4月11日に開始しました。


被災したマナンジャリー県の学校


被害の大きかったヴァトヴァヴィ地域

サイクロンが上陸する以前にも、マダガスカルは深刻な食料不足の状態にありましたが、サイクロンがもたらした被害により、その状況は悪化しました。

世界の食料安全保障のレベルは、総合的食料安全保障レベル(The Integrated Food Security Phase Classification:IPC)により分類されます。

国や地域ごとに、「フェーズ1:食料が十分にある状態」、「フェーズ2:食料不安」、「フェーズ3:急性食料不安」、「フェーズ4:人道的危機」、「フェーズ5:飢饉」に分類され、定期的に測定が行われています¹。

これまで、ヴァトヴァヴィ地域では、フェーズ2以上に分類されたことはありませんでしたが、サイクロンにより農地などの資源を失い、食料の確保が難しくなったことから、2022年6月末の時点で、約22万人(マナンジャリー県の人口の30%、ヌシヴァリカ県の人口の45%)がIPCフェーズ3、約5万人(マナンジャリー県の人口の15%)が、フェーズ4(人道的危機)に分類されました²。

また、現地の報道によると、さらに状況が悪化し、現在ではヴァトヴァヴィ地域の1万3,000人がフェーズ5に該当するとされています。このように、サイクロンにより、飢饉に陥るリスクが高くなっており、子どもの栄養不良率も悪化しています。

加えて、マダガスカルの面積は日本のおよそ1.5倍の大きさですが、人口が2,000万人と人口密度は低く、公共交通機関が少なく、徒歩でしかアクセスできない遠隔地の村がたくさんあります。このため、保健医療施設に行くためには、通常、徒歩1時間以上かかる村がほとんどであり、体調の悪い人が医療機関を受診するのは困難です。

こうした状況を受けて、セーブ・ザ・チルドレンは、マナンジャリー県に新たに事務所を設置し、母子の栄養状態を改善するための緊急支援を開始しました。

この支援では、サイクロンの被害を受けたマナンジャリー県とヌシヴァリカ県の遠隔地にある6つの村に、「母子にやさしいスペース」(スペース)を設置し、母子への栄養支援を提供できる体制を整えました。


母子にやさしいスペースのテント(ヌシヴァリカ県アンタナンデヒベ村)

また、このスペースで実際に栄養支援を提供する、看護師や医師、地域保健員への研修も実施し、地域が主体となった栄養改善の活動を推進しています。

加えて、このスペースで看護師や医師などが、子どもの身長と体重、上腕周囲径を測ることによって栄養状態を測定し、栄養不良の子どもに栄養治療食を提供し、定期的なフォローアップを行っています。

そして、母親には、母乳育児に関する正しい知識や母乳を与える際の留意点、離乳食の導入などについての指導を行い、子どもの栄養不良を予防的観点からも支援しています。


研修を受けた看護師と医師


子どもの栄養状態の測定の実地研修をする地域保健員

マダガスカルのマナンジャリー事務所では、母子にやさしいスペースでの支援が円滑に行われるように、また、支援の質を担保するために、13人の現地スタッフが支援にあたっています。

同時に、事業対象地近くの町にスタッフ4人が住み込みで支援にあたることで、地域の人たちの声を取り入れながら、変化する状況に迅速に対応することを可能にしています。

スタッフのほとんどがサイクロンの影響を受けた人たちの支援のために、新たにセーブ・ザ・チルドレンに加わりましたが、それぞれの担当分野で経験を持って、専門性を発揮し活動しています。

日本人のスタッフに加えて、現地スタッフや、地域の医療従事者、地域保健員、地域の保健局、村長など、多くの関係者の協力を得て支援を実施しています。2022年10月末に活動の完了を予定していますが、支援完了後には、地域の人たちが中心となって栄養改善の活動が継続されるように調整を進めています。


マダガスカル・マナンジャリー事務所スタッフの一部とマダガスカル事業担当の加藤

本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。

(海外事業部 マダガスカル事業担当 加藤笙子)

¹参考:World Food Programme 食料が十分にある状態から飢きんに至るまでの5段階
²参考:IPC Madagascar Grand Sud & Grand Sud-Est(フランス語)

 

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