マダガスカル(公開日:2023.09.21)
【マダガスカル】食料危機支援事業完了報告
アフリカ大陸南東部沖に位置する島国のマダガスカルは、アフリカで最もサイクロンの被害を受けやすく、紛争ではなく気候変動の影響によって、食料危機に陥っている国です。
特に、南部においては、40年以上前から干ばつが続いており、慢性的な食料不足に陥っています。また、砂嵐や害虫が発生し、農作物が砂で覆われるなど、発育や収穫量に大きく影響しています。セーブ・ザ・チルドレンは、2022年10月から2023年5月まで、食料危機に陥っている1,000世帯を対象に食料支援と栄養改善事業を実施しました。
事業地の、マダガスカル南部アンドロイ県アンブブンベ郡で160人の子ども(9歳から17歳)を対象とした調査では、すべての子どもが1日1食のみで、食事を十分にとることができていないことがわかりました。
また、食料や金銭を得るために子どもが労働に従事している世帯も多くあり、食料危機は子どもの生活に大きな影響をおよぼしていました。
マダガスカルの食料危機に関する詳細はこちらのブログをご覧ください。
特に、南部においては、40年以上前から干ばつが続いており、慢性的な食料不足に陥っています。また、砂嵐や害虫が発生し、農作物が砂で覆われるなど、発育や収穫量に大きく影響しています。セーブ・ザ・チルドレンは、2022年10月から2023年5月まで、食料危機に陥っている1,000世帯を対象に食料支援と栄養改善事業を実施しました。
食料配布を受けた女性(2023年3月、マダガスカル南部アンブブンベ郡)
事業地の、マダガスカル南部アンドロイ県アンブブンベ郡で160人の子ども(9歳から17歳)を対象とした調査では、すべての子どもが1日1食のみで、食事を十分にとることができていないことがわかりました。
また、食料や金銭を得るために子どもが労働に従事している世帯も多くあり、食料危機は子どもの生活に大きな影響をおよぼしていました。
マダガスカルの食料危機に関する詳細はこちらのブログをご覧ください。
<食料支援>
アンブブンベ郡に居住する1,000世帯を対象に、大人2人と子ども3人の半月分に相当する米30kg、豆4.5kg、油1.5リットルと、それを補完する現金120,000マダガスカルアリアリ(約3,600円)を5ヶ月間支援しました。
食料と同時に現金も支援することで、対象世帯は野菜や肉、魚、乳製品などを市場で購入することができ、栄養バランスに配慮した食事をとることができ、加えて、地域の市場の活性化にもつながりました。
また、支援する食料や地域の市場で手に入る食材を活用した調理実演も行いました。調理実演では、乳幼児の月齢に合った調理方法や、食事が子どもの成長に与える影響などについても伝えました。
食料支援により、対象世帯の状況は以下のように改善しました。
◆ 食料消費スコア(Food Consumption Score:FCS)が向上。一日に食べる食事の多様性、頻度、栄養バランスが改善したことを示します。
◆ 危機への対処方法指数(Reduced Coping Strategies Index:rCSI)が改善。例えば、一日の食事量や回数を減らしたりする世帯が減少したことを示します。
◆ 世帯における飢餓スケール(Household Hunger Scale:HHS)の改善。過去30日間の食生活について、食事をとれなかった日や、満足な量を摂取できなかった日が少なくなったことを示します。
◆ 世帯栄養多様性スコア(Household Dietary Diversity Score:HDDS)の改善。より多くの食品群から栄養を摂取できるようになったことを示します。
さらに、食料支援を行うことにより、今までは食料を購入するためのお金を確保するために、病院に行ったり、子どもを学校に行かせたりすることを諦めていた世帯が、医療費や教育費を捻出できるようになったことも確認されました。
食料配布の様子(2023年3月マダガスカル南部アンブブンベ郡)
食料配布の様子(2023年3月マダガスカル南部アンブブンベ郡)
30kgの米を頭に載せて持ち帰る女性(2023年3月マダガスカル南部アンブブンベ郡)
調理実演(2023年1月、アンブブンベ郡)
対象の村は、病院などの保健医療施設から遠く、定期的に健康診断などを受けるのが難しい状況にあります。こうした状況下で、このボランティアが、とても重要な役割を果たしました。
また、このボランティアの支援拠点となる「セーフ・スペース」を、村に2ケ所設置し、栄養支援に必要な物品や母乳育児に関するカウンセリングを受けられるスペース、子どもたちが安心して遊べるスペースなどを設けて、病院と村の住民をつなぐ役割を果たしています。
事業期間中に、ボランティアによって確認された226人の栄養不良の状態にあった子どもたちは、地域保健センターなどの栄養支援施設に紹介され、適切な治療を受けることができました。
セーブ・ザ・チルドレンでは、干ばつやサイクロンなどの影響を受けているマダガスカルの人たちが、地域や自身のもつ力を活かして危機に対応できるようになることに焦点を当てて、引き続き活動を行っていきます。
この事業は2023年5月をもって完了しましたが、より長期的な食料危機への対応として、地域の人たちが食料を入手するための生計活動や貯蓄計画を実践できるような「レジリエンス向上」に着目した支援を2023年3月より開始しています。
これにより、長期的には、食料確保のために金銭などと引き換えに子どもを結婚させたり、子どもを児童労働に従事させたりするなど、子どもの保護に関連する問題をなくしていくことも目指しています。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しました。
(海外事業部 マダガスカル事業担当 加藤笙子)
アンブブンベ郡に居住する1,000世帯を対象に、大人2人と子ども3人の半月分に相当する米30kg、豆4.5kg、油1.5リットルと、それを補完する現金120,000マダガスカルアリアリ(約3,600円)を5ヶ月間支援しました。
食料と同時に現金も支援することで、対象世帯は野菜や肉、魚、乳製品などを市場で購入することができ、栄養バランスに配慮した食事をとることができ、加えて、地域の市場の活性化にもつながりました。
また、支援する食料や地域の市場で手に入る食材を活用した調理実演も行いました。調理実演では、乳幼児の月齢に合った調理方法や、食事が子どもの成長に与える影響などについても伝えました。
食料支援により、対象世帯の状況は以下のように改善しました。
◆ 食料消費スコア(Food Consumption Score:FCS)が向上。一日に食べる食事の多様性、頻度、栄養バランスが改善したことを示します。
◆ 危機への対処方法指数(Reduced Coping Strategies Index:rCSI)が改善。例えば、一日の食事量や回数を減らしたりする世帯が減少したことを示します。
◆ 世帯における飢餓スケール(Household Hunger Scale:HHS)の改善。過去30日間の食生活について、食事をとれなかった日や、満足な量を摂取できなかった日が少なくなったことを示します。
◆ 世帯栄養多様性スコア(Household Dietary Diversity Score:HDDS)の改善。より多くの食品群から栄養を摂取できるようになったことを示します。
さらに、食料支援を行うことにより、今までは食料を購入するためのお金を確保するために、病院に行ったり、子どもを学校に行かせたりすることを諦めていた世帯が、医療費や教育費を捻出できるようになったことも確認されました。
食料配布の様子(2023年3月マダガスカル南部アンブブンベ郡)
食料配布の様子(2023年3月マダガスカル南部アンブブンベ郡)
30kgの米を頭に載せて持ち帰る女性(2023年3月マダガスカル南部アンブブンベ郡)
調理実演(2023年1月、アンブブンベ郡)
<栄養支援>
アンブブンベ郡において、地域の栄養不良の子どもを特定し、支援提供先に繋ぐ役割を担っているボランティアに対して、乳幼児の栄養摂取(Infant and Young Child Feeding:IYCF)や栄養不良の確認方法(体重・身長計測、上腕周囲径によるアセスメント)、栄養支援施設への紹介方法などについての研修を行いました。
アンブブンベ郡において、地域の栄養不良の子どもを特定し、支援提供先に繋ぐ役割を担っているボランティアに対して、乳幼児の栄養摂取(Infant and Young Child Feeding:IYCF)や栄養不良の確認方法(体重・身長計測、上腕周囲径によるアセスメント)、栄養支援施設への紹介方法などについての研修を行いました。
対象の村は、病院などの保健医療施設から遠く、定期的に健康診断などを受けるのが難しい状況にあります。こうした状況下で、このボランティアが、とても重要な役割を果たしました。
また、このボランティアの支援拠点となる「セーフ・スペース」を、村に2ケ所設置し、栄養支援に必要な物品や母乳育児に関するカウンセリングを受けられるスペース、子どもたちが安心して遊べるスペースなどを設けて、病院と村の住民をつなぐ役割を果たしています。
事業期間中に、ボランティアによって確認された226人の栄養不良の状態にあった子どもたちは、地域保健センターなどの栄養支援施設に紹介され、適切な治療を受けることができました。
ボランティアの活動を通して、村の子どもの栄養状況がより正確にわかるようになり、アンブブンベ郡全体の栄養支援体制を整備するにあたって重要な情報を、行政の栄養支援関係者に提供することができました。
ボランティアによる子どもの栄養アセスメントの様子(2023年2月マダガスカル南部アンブブンベ郡)
セーブ・ザ・チルドレンでは、干ばつやサイクロンなどの影響を受けているマダガスカルの人たちが、地域や自身のもつ力を活かして危機に対応できるようになることに焦点を当てて、引き続き活動を行っていきます。
この事業は2023年5月をもって完了しましたが、より長期的な食料危機への対応として、地域の人たちが食料を入手するための生計活動や貯蓄計画を実践できるような「レジリエンス向上」に着目した支援を2023年3月より開始しています。
これにより、長期的には、食料確保のために金銭などと引き換えに子どもを結婚させたり、子どもを児童労働に従事させたりするなど、子どもの保護に関連する問題をなくしていくことも目指しています。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しました。
(海外事業部 マダガスカル事業担当 加藤笙子)