マダガスカル(公開日:2024.04.05)
【マダガスカル】栄養改善事業開始
アフリカ大陸南東部沖に位置する島国のマダガスカルは、気候変動の影響を最も受けている国の一つです。
頻発する干ばつやサイクロンの影響を受け、特に南東部マナンジャリー郡とヌシヴァリカ郡では、主な産業である農業が大きな被害を受けました。
国全体としては、子どもたちの栄養不良が大きな課題となっており、セーブ・ザ・チルドレンは子どもの栄養改善支援を2024年3月31日から開始しました。
2021年時点のマダガスカル国内の0ヶ月から23ヶ月の子どもの慢性栄養不良は39.8%、6ヶ月から59ヶ月の子どもの急性栄養不良は7.5%であり1、2020年のアフリカ南東部諸国の平均(それぞれ32.3%、5.3%)を上回っています2。
この根本的原因としては、家庭の食料不安や基本的な栄養サービスを利用できないことがあげられます。
まず、食料・生計に関する課題として、農業に関する知識・技術が不足していることで農作物の収穫量が少なく、栄養価の高い多様な作物を育てることができていません。
さらに、多くの青少年はビジネススキルを学ぶための研修機会もなく、農業以外の職業に就くことも困難です。加えて、農村部では銀行を利用する機会が限られているため、貯蓄や融資に関する金融サービスの利用が難しく、多くの世帯が安全な貯蓄をすることができていません。農業やビジネススキルの習得による生計向上と同時に、各世帯が持続的な方法で資金を管理できる仕組みが栄養価の高い食料の確保のために必要です。
また、栄養不良の予防に関する課題として、子どもの栄養に関する養育者の知識が不足していることや、育児に関してパートナーの協力を得られず、出産直後から子どもを抱えながら農作業をしている母親たちが多いことがあげられます。
母親同士が地域で協力しながら子育てや子どもの栄養改善に取り組める環境を整えることや、男性の子どもの栄養に関する理解を促進するなど、地域全体の社会的行動様式へのアプローチも必要です。
また、栄養不良にある子どもを取り巻く課題として、地域保健センターの医療従事者たちが研修を受ける機会が少なく、知識や経験不足により栄養不良の子どもたちへの対応が迅速かつ適切にできていないことがあげられます。そのため、地域で栄養不良の子どもたちを支援する体制を整える必要があります。
こうした状況を受けて、セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちの栄養状態の改善を目指した生計向上および栄養改善事業をマナンジャリー郡およびヌシヴァリカ郡にて、開始しました。
この事業では、生計向上支援として、農家への技術向上支援を行います。地域で中心となって村人たちに技術を伝達する農家リーダーを選定し、彼らに研修や農業に必要な資機材・種子などを提供します。
また、農家が得られた収入を管理し、地域全体で運用できるようにするため、村貯蓄貸付組合の設立と運営管理を支援します。
村貯蓄貸付組合に参加している農家から一定額を集めて貯蓄することで、他の農家が追加の農作物を生産したい場合、肥料や種子の初期投資として貸付をしてもらい、農業を実施することができるようになります。
気候変動の影響を大きく受けるマダガスカルでは、自然災害に強い農作物・村作りが重要です。そこで、女性や農家グループとの対話セッションを通し、地域の課題を話し合い、各村における行動計画を策定・実施します。
さらに、青少年に対するライフスキル研修や将来の計画にあった技術研修を実施し、一人ひとりにあった生計手段の確立を目指します。
子どもたちの栄養改善に向けた取組として、母親・父親リーダーを選出し、地域に根差した栄養改善活動の主体となるよう、能力強化を行います。
これらのリーダーは、地域の養育者へ子どもの栄養や水・衛生に関する知識の普及、地域で入手可能な栄養価の高い食材を用いた調理実演、地域住民に対する啓発活動を担い、地域全体で子どもの栄養不良を予防する体制を構築することを目指します。
また、母親リーダーに対して上腕周径テープを配布し、地域の人びと自身が子どもの栄養不良を早期に発見できるようにします。医療従事者には栄養不良の子どもたちへの対応研修を実施するとともに、身長計や体重計等を地域保健センターに提供することで栄養不良の子どもたちを地域全体で早期に発見・治療できる仕組みを強化します。
さらに、この活動における活動や成果を発表し、国の栄養政策に関する議論を行うとともに、国と地域の政策が連動するよう、政策提言も行います。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの栄養不良の予防・対応に関する地域の能力を強化し、子どもの栄養状態が改善されるよう支援していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力からのご支援により実施しています。
(海外事業部 マダガスカル事業担当 野元恵理)
頻発する干ばつやサイクロンの影響を受け、特に南東部マナンジャリー郡とヌシヴァリカ郡では、主な産業である農業が大きな被害を受けました。
国全体としては、子どもたちの栄養不良が大きな課題となっており、セーブ・ザ・チルドレンは子どもの栄養改善支援を2024年3月31日から開始しました。
サイクロンの被害があったヌシヴァリカ郡の家屋
サイクロン後のマナンジャリー郡で収穫された農作物
対象地:マナンジャリー郡、ヌシヴァリカ郡
2021年時点のマダガスカル国内の0ヶ月から23ヶ月の子どもの慢性栄養不良は39.8%、6ヶ月から59ヶ月の子どもの急性栄養不良は7.5%であり1、2020年のアフリカ南東部諸国の平均(それぞれ32.3%、5.3%)を上回っています2。
この根本的原因としては、家庭の食料不安や基本的な栄養サービスを利用できないことがあげられます。
まず、食料・生計に関する課題として、農業に関する知識・技術が不足していることで農作物の収穫量が少なく、栄養価の高い多様な作物を育てることができていません。
さらに、多くの青少年はビジネススキルを学ぶための研修機会もなく、農業以外の職業に就くことも困難です。加えて、農村部では銀行を利用する機会が限られているため、貯蓄や融資に関する金融サービスの利用が難しく、多くの世帯が安全な貯蓄をすることができていません。農業やビジネススキルの習得による生計向上と同時に、各世帯が持続的な方法で資金を管理できる仕組みが栄養価の高い食料の確保のために必要です。
また、栄養不良の予防に関する課題として、子どもの栄養に関する養育者の知識が不足していることや、育児に関してパートナーの協力を得られず、出産直後から子どもを抱えながら農作業をしている母親たちが多いことがあげられます。
母親同士が地域で協力しながら子育てや子どもの栄養改善に取り組める環境を整えることや、男性の子どもの栄養に関する理解を促進するなど、地域全体の社会的行動様式へのアプローチも必要です。
また、栄養不良にある子どもを取り巻く課題として、地域保健センターの医療従事者たちが研修を受ける機会が少なく、知識や経験不足により栄養不良の子どもたちへの対応が迅速かつ適切にできていないことがあげられます。そのため、地域で栄養不良の子どもたちを支援する体制を整える必要があります。
こうした状況を受けて、セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちの栄養状態の改善を目指した生計向上および栄養改善事業をマナンジャリー郡およびヌシヴァリカ郡にて、開始しました。
この事業では、生計向上支援として、農家への技術向上支援を行います。地域で中心となって村人たちに技術を伝達する農家リーダーを選定し、彼らに研修や農業に必要な資機材・種子などを提供します。
また、農家が得られた収入を管理し、地域全体で運用できるようにするため、村貯蓄貸付組合の設立と運営管理を支援します。
村貯蓄貸付組合に参加している農家から一定額を集めて貯蓄することで、他の農家が追加の農作物を生産したい場合、肥料や種子の初期投資として貸付をしてもらい、農業を実施することができるようになります。
気候変動の影響を大きく受けるマダガスカルでは、自然災害に強い農作物・村作りが重要です。そこで、女性や農家グループとの対話セッションを通し、地域の課題を話し合い、各村における行動計画を策定・実施します。
さらに、青少年に対するライフスキル研修や将来の計画にあった技術研修を実施し、一人ひとりにあった生計手段の確立を目指します。
起業計画を準備する村貯蓄貸付組合メンバー
子どもたちの栄養改善に向けた取組として、母親・父親リーダーを選出し、地域に根差した栄養改善活動の主体となるよう、能力強化を行います。
これらのリーダーは、地域の養育者へ子どもの栄養や水・衛生に関する知識の普及、地域で入手可能な栄養価の高い食材を用いた調理実演、地域住民に対する啓発活動を担い、地域全体で子どもの栄養不良を予防する体制を構築することを目指します。
また、母親リーダーに対して上腕周径テープを配布し、地域の人びと自身が子どもの栄養不良を早期に発見できるようにします。医療従事者には栄養不良の子どもたちへの対応研修を実施するとともに、身長計や体重計等を地域保健センターに提供することで栄養不良の子どもたちを地域全体で早期に発見・治療できる仕組みを強化します。
さらに、この活動における活動や成果を発表し、国の栄養政策に関する議論を行うとともに、国と地域の政策が連動するよう、政策提言も行います。
母親リーダーたちによる調理実演
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの栄養不良の予防・対応に関する地域の能力を強化し、子どもの栄養状態が改善されるよう支援していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力からのご支援により実施しています。
(海外事業部 マダガスカル事業担当 野元恵理)
1 ONN, Politique Natinale de Nutition àMadagascar 2022-2030. P.12
2 United Nations Children's Fund, World HealthOrganization, World Bank Group, Levels and trends in child malnutrition:UNICEF/WHO/The World Bank Group joint child malnutrition estimates: keyfindings of the 2021 edition.