モザンビーク(公開日:2024.05.13)
【事業完了報告】紛争下の子どもへ教育を:モザンビーク北部の国内避難民とホストコミュニティの子どもたちへの教育支援
モザンビークの北部に位置するカーボ・デルガド州では、2017年に武力紛争が激しくなり、現在まで断続的に武力衝突が起きています。2024年2月にも同州の3ヶ所で攻撃が起き、約9万9,000人が避難を余儀なくされました1。このような紛争下、多くの子どもたちが十分な教育を受けることができていません。
セーブ・ザ・チルドレンは、2022年10月から2023年11月末まで、カーボ・デルガド州モンテプエス郡とチウレ郡の2ヶ所で、学校に通えていない子どもたちに復学支援を行ってきました(詳細はこちら)。その活動成果を報告します。
子どもたちの復学支援
長期にわたって学校に通えない6歳から15歳の子ども5,999人に対し、基本的な読み書き・計算スキルを学ぶことができる授業代替授業と学用品キットを提供してきました。
代替授業のカリキュラムには、ゲームなどのレクリエーションを通し「社会情動的スキル」(感情のコントロールや他者との協働といった非認知スキル)を学べるセッションを取り入れ、紛争の影響を受ける子どもたちの精神保健の向上を目指しました。
代替授業の実施にあたり、ファシリテーターを対象地から20人選定し、能力強化研修と専門的な知識を持った職員によるコーチングセッションを継続的に行いました。
これらの取り組みにより、コミュニティ主導型のインクルーシブでジェンダー平等に配慮された質の高い授業を提供することができました。また、障害のある子どもたちが同級生と一緒に学ぶことができるように、医師と連携して、補聴器などのひとり一人のニーズに合わせた適切な福祉用具を5人の子どもたちに届けました。
このようなインクルーシブで質の高い授業のアプローチは、保護者や子どもから前向きな評価がありました。
結果的に、武力衝突が落ち着き、以前住んでいた地域に帰還した子どもたちを除いて、3,969人の子どもが対象地の公立学校に復学することができました。
学校の先生からは、子どもたちが以前よりも積極的に授業を受けている様子や、同級生とコミュニケーションをとるようになったなどの行動の変化が報告されています。
安心・安全で衛生的な質の高い学習環境へのアクセス向上
活動地では、紛争によって学校が破壊され、安心・安全に学ぶ場所が不足しています。このような状況を受けて、2教室とトイレを修繕し、また、新たに一時学習所を 1ヶ所建設しました。
修繕活動では、障害のある子どもが同級生と同じように学校に通うことができるようスロープを設置するなどのインクルーシブな環境づくりに配慮しました。加えて、トイレの壁などを修繕することで、子どもたちがジェンダー別に安心して利用できるようになりました。
一時学習所の設置では、当初簡易的なテントの設置を計画していましたが、モザンビークは気候変動の影響を受けやすい国であり、例年サイクロンの被害を受ける傾向にあるため、教育省やコミュニティメンバーとも協議し、災害の耐久性が高い設計に変更しました。
また、1教室あたり40人から50人が快適に学べる広さを確保し、スロープを設置するなど、安全でインクルーシブな環境になるように設計しました。
これにより、これまで外で勉強していた子どもたちは、天候に左右されず安心して室内で勉強できるようになりました。
これらの修繕された教室や、新たに建設された一時学習所は、各コミュニティに引き渡され、現在924人の子どもたちが利用しています。
この事業を通じ、カーボ・デルガド州モンテプエス郡とチウレ郡の国内避難民とホストコミュニティの子どもたちが、学習の遅れを取り戻し復学することができました。
そして、心理社会的支援を取り入れた学習アプローチにより、紛争の影響を受ける子どもたちのこころの負担を軽減し、子どもたちの行動に変化もみられました。
今後もカーボ・デルガド州における質の高い安心・安全な教育機会へのアクセス向上を目指し、支援を実施します。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しました。
(海外事業部 柳井 麻里)
セーブ・ザ・チルドレンは、2022年10月から2023年11月末まで、カーボ・デルガド州モンテプエス郡とチウレ郡の2ヶ所で、学校に通えていない子どもたちに復学支援を行ってきました(詳細はこちら)。その活動成果を報告します。
子どもたちの復学支援
長期にわたって学校に通えない6歳から15歳の子ども5,999人に対し、基本的な読み書き・計算スキルを学ぶことができる授業代替授業と学用品キットを提供してきました。
代替授業のカリキュラムには、ゲームなどのレクリエーションを通し「社会情動的スキル」(感情のコントロールや他者との協働といった非認知スキル)を学べるセッションを取り入れ、紛争の影響を受ける子どもたちの精神保健の向上を目指しました。
代替授業の実施にあたり、ファシリテーターを対象地から20人選定し、能力強化研修と専門的な知識を持った職員によるコーチングセッションを継続的に行いました。
これらの取り組みにより、コミュニティ主導型のインクルーシブでジェンダー平等に配慮された質の高い授業を提供することができました。また、障害のある子どもたちが同級生と一緒に学ぶことができるように、医師と連携して、補聴器などのひとり一人のニーズに合わせた適切な福祉用具を5人の子どもたちに届けました。
このようなインクルーシブで質の高い授業のアプローチは、保護者や子どもから前向きな評価がありました。
結果的に、武力衝突が落ち着き、以前住んでいた地域に帰還した子どもたちを除いて、3,969人の子どもが対象地の公立学校に復学することができました。
学校の先生からは、子どもたちが以前よりも積極的に授業を受けている様子や、同級生とコミュニケーションをとるようになったなどの行動の変化が報告されています。
学用品キットを受け取る子どもたちの様子
安心・安全で衛生的な質の高い学習環境へのアクセス向上
活動地では、紛争によって学校が破壊され、安心・安全に学ぶ場所が不足しています。このような状況を受けて、2教室とトイレを修繕し、また、新たに一時学習所を 1ヶ所建設しました。
修繕活動では、障害のある子どもが同級生と同じように学校に通うことができるようスロープを設置するなどのインクルーシブな環境づくりに配慮しました。加えて、トイレの壁などを修繕することで、子どもたちがジェンダー別に安心して利用できるようになりました。
一時学習所の設置では、当初簡易的なテントの設置を計画していましたが、モザンビークは気候変動の影響を受けやすい国であり、例年サイクロンの被害を受ける傾向にあるため、教育省やコミュニティメンバーとも協議し、災害の耐久性が高い設計に変更しました。
また、1教室あたり40人から50人が快適に学べる広さを確保し、スロープを設置するなど、安全でインクルーシブな環境になるように設計しました。
これにより、これまで外で勉強していた子どもたちは、天候に左右されず安心して室内で勉強できるようになりました。
これらの修繕された教室や、新たに建設された一時学習所は、各コミュニティに引き渡され、現在924人の子どもたちが利用しています。
この事業を通じ、カーボ・デルガド州モンテプエス郡とチウレ郡の国内避難民とホストコミュニティの子どもたちが、学習の遅れを取り戻し復学することができました。
そして、心理社会的支援を取り入れた学習アプローチにより、紛争の影響を受ける子どもたちのこころの負担を軽減し、子どもたちの行動に変化もみられました。
今後もカーボ・デルガド州における質の高い安心・安全な教育機会へのアクセス向上を目指し、支援を実施します。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しました。
(海外事業部 柳井 麻里)
1 IOM. EmergencyTracking Tool; Movement Alert 103. March 2024