中東(公開日:2020.08.12)
レバノン 大規模爆発により子どもたちは不安や心配に苦しむ恐れ
現地時間8月4日18時過ぎに、レバノンの首都ベイルートで大規模爆発が発生しました。セーブ・ザ・チルドレンは、この爆発に遭った多くの子どもたちは、不安や不眠、夜驚症などに悩まされるなど、メンタルヘルスが深刻な脅威にさらされるだろうと警鐘をならします。
この大規模爆発により135人以上が死亡し、6,000人が負傷する事態になっています。この壊滅的な大惨事の被害に遭った人たちへの緊急支援において、子どもたちの精神保健・心理社会的支援が重要であり、また、適切な支援が受けられなければ、子どもたちへの影響は長期にわたる恐れがあります。
2004年に、デンマークの花火倉庫で起きた大規模爆発事故の16ヶ月後、子どもたちが依然として心理的な影響を受けていたという研究結果もあります。年齢の高い子どもたち(11%)と比較して低年齢の子どもたち(23%)の方が、些細なことで驚いたり、事故を連想させる人を避けたりすることが明らかになっています。
セーブ・ザ・チルドレン・デンマークの子どもの保護シニアアドバイザーであるアンソフィー・ディブダルは、次のように述べます。
「不安や睡眠障害、夜驚症の発作など、子どもたちへの影響は非常に深刻なものとなる可能性があります。子どもは何が起こったのかを理解し、心を落ち着かせようとします。子どもたちの中には、自分が当時やっていたことが、爆発の引き金になったのではないかと考え、罪悪感を抱くようになる子どももいるかもしれません。
このように考えるのは、大抵ほとんどが、まだ想像力が豊かな一面があり、魔術的思考(マジカルシンキング)で考える幼い子どもたちで、年齢の高い子どもたちは、親の悲しみや怒り、混乱を目の当たりにして罪悪感を抱いているかもしれません。
ベイルートで起こった大規模爆発は、デンマークで起こった事故と似た事象で、子どもたちは誰かに怒りを向けることができません。今回の爆発は、たくさんの人に同じように影響を与えているということを子どもが理解したうえで、例えば、『医師が人々を助けているから大丈夫』と話して、安心させる必要があります。」
大規模事故や災害の後、子どもたちは親や信頼できる人たちと一緒にいると、より安全だと感じるようになることはこれまでの研究結果から明らかになっています。そのため、今回の大規模爆発により親や家族と離ればなれになった子どもたちは、早急に親や家族、養育者と再会することが不可欠であり、また、今回のような危機的な出来事を乗り越えるためには、親や養育者が安心・安全、そして適切な情報を与えることが必要です。
(今回の大規模爆発以前から)レバノンは、国内の政情不安と経済破綻に直面しており、特に首都圏の50万人の子どもたちは、日常生活を送るだけでも困難を強いられ、また、場合によっては飢餓に陥っており、子どもたちの多くはすでにストレスを抱えて生活を送っています。
新型コロナウイルス感染拡大により社会インフラが脆弱化してきた中、今回の大規模爆発はすでに危機的な状況にあったレバノンの社会経済にさらに大きな打撃を与える出来事でした。今後、さらなる食料不足、子どもが暴力や搾取などに直面するリスクの増加、保健医療制度への負担の増大が心配されています。
大規模爆発があったレバノンの首都ベイルート市内の様子(2020年8月5日撮影)
セーブ・ザ・チルドレン レバノン事務所の精神保健専門家ジョイ・アビ・ハビブは、次の通り訴えます。
「新型コロナウイルス感染症の感染拡大と、それに伴うロックダウンのために、子どもたちはすでに深刻なストレスを抱えていました。そして、大規模爆発は、家族に壊滅的な影響を与えています。
子どもたちにとっては、大人と同じように、映像や記憶が思いがけず蘇ってきます。その余波で、子どもたちは情緒や、行動、身体的な症状を発症する可能性があります。これらの症状は、今後数ヶ月で落ち着く子どももいれば、長期にわたり専門的な支援を必要とする子どもも少なくはないでしょう。」
大規模爆発の影響を受けた子どもたちとその家族を支援するために、セーブ・ザ・チルドレンは、心理的ウェルビーイングに焦点を当てて、最も弱い立場にある子どもたちの支援ニーズを調べる緊急調査を実施しています。あわせて、食料、衛生用品や一時的な住居(シェルター)の提供に加え、家族と離ればなれになった子どもたちとその家族の再会に向けた活動を準備しています。
この大規模爆発により135人以上が死亡し、6,000人が負傷する事態になっています。この壊滅的な大惨事の被害に遭った人たちへの緊急支援において、子どもたちの精神保健・心理社会的支援が重要であり、また、適切な支援が受けられなければ、子どもたちへの影響は長期にわたる恐れがあります。
2004年に、デンマークの花火倉庫で起きた大規模爆発事故の16ヶ月後、子どもたちが依然として心理的な影響を受けていたという研究結果もあります。年齢の高い子どもたち(11%)と比較して低年齢の子どもたち(23%)の方が、些細なことで驚いたり、事故を連想させる人を避けたりすることが明らかになっています。
セーブ・ザ・チルドレン・デンマークの子どもの保護シニアアドバイザーであるアンソフィー・ディブダルは、次のように述べます。
「不安や睡眠障害、夜驚症の発作など、子どもたちへの影響は非常に深刻なものとなる可能性があります。子どもは何が起こったのかを理解し、心を落ち着かせようとします。子どもたちの中には、自分が当時やっていたことが、爆発の引き金になったのではないかと考え、罪悪感を抱くようになる子どももいるかもしれません。
このように考えるのは、大抵ほとんどが、まだ想像力が豊かな一面があり、魔術的思考(マジカルシンキング)で考える幼い子どもたちで、年齢の高い子どもたちは、親の悲しみや怒り、混乱を目の当たりにして罪悪感を抱いているかもしれません。
ベイルートで起こった大規模爆発は、デンマークで起こった事故と似た事象で、子どもたちは誰かに怒りを向けることができません。今回の爆発は、たくさんの人に同じように影響を与えているということを子どもが理解したうえで、例えば、『医師が人々を助けているから大丈夫』と話して、安心させる必要があります。」
大規模事故や災害の後、子どもたちは親や信頼できる人たちと一緒にいると、より安全だと感じるようになることはこれまでの研究結果から明らかになっています。そのため、今回の大規模爆発により親や家族と離ればなれになった子どもたちは、早急に親や家族、養育者と再会することが不可欠であり、また、今回のような危機的な出来事を乗り越えるためには、親や養育者が安心・安全、そして適切な情報を与えることが必要です。
(今回の大規模爆発以前から)レバノンは、国内の政情不安と経済破綻に直面しており、特に首都圏の50万人の子どもたちは、日常生活を送るだけでも困難を強いられ、また、場合によっては飢餓に陥っており、子どもたちの多くはすでにストレスを抱えて生活を送っています。
新型コロナウイルス感染拡大により社会インフラが脆弱化してきた中、今回の大規模爆発はすでに危機的な状況にあったレバノンの社会経済にさらに大きな打撃を与える出来事でした。今後、さらなる食料不足、子どもが暴力や搾取などに直面するリスクの増加、保健医療制度への負担の増大が心配されています。
大規模爆発があったレバノンの首都ベイルート市内の様子(2020年8月5日撮影)
セーブ・ザ・チルドレン レバノン事務所の精神保健専門家ジョイ・アビ・ハビブは、次の通り訴えます。
「新型コロナウイルス感染症の感染拡大と、それに伴うロックダウンのために、子どもたちはすでに深刻なストレスを抱えていました。そして、大規模爆発は、家族に壊滅的な影響を与えています。
子どもたちにとっては、大人と同じように、映像や記憶が思いがけず蘇ってきます。その余波で、子どもたちは情緒や、行動、身体的な症状を発症する可能性があります。これらの症状は、今後数ヶ月で落ち着く子どももいれば、長期にわたり専門的な支援を必要とする子どもも少なくはないでしょう。」
大規模爆発の影響を受けた子どもたちとその家族を支援するために、セーブ・ザ・チルドレンは、心理的ウェルビーイングに焦点を当てて、最も弱い立場にある子どもたちの支援ニーズを調べる緊急調査を実施しています。あわせて、食料、衛生用品や一時的な住居(シェルター)の提供に加え、家族と離ればなれになった子どもたちとその家族の再会に向けた活動を準備しています。