ある家族の朝食。タイムとオリーブオイル、オリーブ、お茶

サルマさん（16歳）は、少ない回数の食事で1日を乗り切るため、食事と食事の間はできるだけ長く時間を置くようになったと言います。 

「1年前は朝、昼、晩の3食を食べていたのに、今は遅い朝食と早い夕食になっています。朝食には必ず卵と牛乳、チーズ、ラブネ（ヨーグルト）が入っていました。肉は毎日食べていたわけではありませんが、毎週のように食べていましたし、母は時々、冷凍庫に保存もできていました。果物や野菜も常にありましたが、今はほとんどありません。」

3児の母であるファリダさんは、セーブ・ザ・チルドレンに対し、家族にとってほとんどすべての食料が手の届かないものになっていると語りました。

「パンは高い、もしくは店頭にないため、何日も食べていません。果物や野菜はめったに購入できませんし、ラム肉や鶏肉などは、この1年食べていません。乳製品はどれも高価で、我が家には牛乳もチーズもありません。朝食にはタイムが欠かせません。電気がないので、冷蔵庫はほとんど使っていません。

私が一番恐れていることは、栄養価の高い食事ができないために、子どもたちが病気になることです。カルシウムやたんぱく質など、必要な栄養素が摂れていないことが、子どもの心身の成長に影響していることは十分承知しています。」

レバノン政府の最新データによると、必須食料品の価格はわずか1年で390％も上昇しています[ii]。パンや穀物、野菜、肉などを購入する際に、1年前の少なくとも3倍の金額を支払わなくてはなりません。

2019年後半以降、レバノンは19世紀半ば以来最悪の経済危機に陥っており[iii]、年間のインフレ率は世界で最も高いものとなっています[iv] 。電力不足によって停電が20時間以上続くことも多く、乳製品や肉類などの生鮮食品を保存することができないため食料危機はさらに悪化しています。

レバノン政府は、燃料や医薬品、小麦への補助金をほぼ全面的に撤廃しましたが、セーブ・ザ・チルドレンは、代替手段が提供されなければ、国内の最も周縁化された人たちが、さらに厳しい状況に置かれてしまうと考えています。

セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが心身ともに健全に成長できるよう、ファリダさんの家庭のような脆弱な立場に置かれた人たちに現金とカウンセリングサービスを提供しています。この「キャッシュプラス」の支援により、レバノンで増加する貧困の影響から子どもたちが守られています。

また、私たちは、レバノンの新政府に対し、最も弱い立場に置かれた子どもやその家族を支援するため、計画的な現金給付プログラムを実施するよう求めているほか、国際社会をはじめとするドナーに、この現金給付プログラムへの資金拠出を求めています。