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中東
(公開日:2021.01.21)

【レバノン】「私は食事無してでも大丈夫ですが、子どもたちには必要です」−外出禁止令により子どもたちやその家族が深刻な事態に直面

 
レバノン政府は、新型コロナウイルス感染症の感染者数がこの1週間で急増し、3万人にのぼったことを受け、1月14日から1ヶ月のロックダウン、また特に25日までの10日間は全国に緊急事態宣言を発出しました。これは、24時間外出禁止令を意味し、10日間はスーパーマーケットでさえも完全に閉鎖すると考えられています。


スーパーマーケットの閉鎖は、11日に発表されたパンの価格引き上げという発表とともに食料危機に拍車をかけることになるでしょう。

特に、パンへの政府補助金の減少と食料価格の上昇により、すでに深刻な食料不足に苦しむ貧困層の家庭は、外出禁止令によりスーパーマーケットが閉鎖する前に食料を備蓄する経済的な余裕がありません。推定220万人[1]の子どもたちは、すでに飢餓に陥る危険に晒されています。

サムリさんは2人の子どもがおり市内で理髪店を経営しておりました。しかし、理髪店はロックダウンのため閉鎖せざるを得ず、現在収入がなく次の通り話します。
「スーパーに行っても、明日食べる分しか買えず、来週や来月の分を買って備蓄することはできません。

以前は仕事をしてお金を貯めて、苦しい日々のために備えてきました。しかし、月単位で起こるとは思ってもいませんでした。毎日の収入で生活が成り立っているため10日間分のお金はありません。今後1ヶ月全く働かない可能性もあるし、次の月も働かない可能性もあります。」

レバノンに暮らす家族は、過去1年間、通貨の切り下げと経済危機により、食事の量が減り、栄養価の低い食事を余儀なくされていると話します。私たちは、現在のロックダウンは、家族の食事量がさらに減り、特に脆弱な状況に置かれた子どもたちの身体的、精神的な健康をさらに危険に晒していると警鐘を鳴らします。

さらに、子どもたちは、教育の長期的な中断にも直面しています。学校は新型コロナウイルス感染症の感染率を抑制するために、少なくとも2月まで閉鎖され、数十万人もの就学年齢の子どもたちが1ヶ月間、教育を受けることができません。そして、学校に通っていない子どもたちは虐待を受けるリスクが高くなる恐れがあります。

また、多くの貧困層の子どもたちは、学校がオンライン授業を提供していなかったり、インターネットや電気、パソコンなどの機器の利用が限られているため、遠隔学習を全く受けられない状況に置かれがちです。貧困層の子どもたちはすでに学習の継続に困難を抱えていますが、今回のロックダウンは家計を支えるために働くという選択をせざるを得ない状況に子どもたちを追い込み、二度と復学できない恐れもあります。

さらに、減少していく収入と比較して、私立学校の授業料が手の届かないものになっていると話す親もいます。さまざまな技術や機器の利用ができないことや、公立校での学習継続に難しさを感じていることにより、親は子どもたちを学校に通わせないという選択をすることも考えられます。

学校に通う2人の子どもがいるアダムさんは次の通り話します。
「妻のスマートフォンが唯一利用できる機器で、それを使って子どもたちはオンライン学習をしています。子ども2人がオンライン学習をしているので、インターネット接続のデータ消費量が経済的負担になっています。また、授業料を全額支払えていないため、娘の学校のアカウントは停止されてしまいました。」

セーブ・ザ・チルドレン レバノン事務所代表ジェニファー・ムーアヘッドは次の通り訴えます。
「この緊急事態宣言の影響は、レバノン社会全体に及んでいます。閉鎖されたスーパーマーケットや、パン屋の外に続く長い行列の背後には、数百万人の子どもたちとその家族にとって、毎日命をつないでいくことが日常的な使命となっている非常に厳しい現実があります。

また、1ヶ月間の緊急事態宣言期間中、子どもたちの教育へ深刻な影響が及ぶリスクも高まっています。安全なメッセージアプリなど無理なく入手可能な解決策は、外出禁止令やロックダウン中も子どもたちが自宅学習を続けられるように、紙の教科書やワークシートと並んで引き続き推進されるべきです。

子どもたちの健やかな成長(well-being)が脅かされています。私たちが今すぐに行動を起こせば、大惨事は回避することができます。だからこそ、私たちは、政府に対し、セーブ・ザ・チルドレンのような人道支援組織が制限を受けることなく、支援を必要とする家族に、現金や食料支援などの命を守る緊急支援が提供できるよう求めています。そして、政府は、外出禁止令や長期化するロックダウン期間中に誰一人取り残されないよう脆弱な状況に置かれた子どもたちへの透明性のある社会保障を実施する必要があります。」

[1]レバノンの総人口の55%にあたる400万人の子どもを含む680万人が貧困の中で生活しているという国連のデータに基づく推計値です。
https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/WFP-0000121982.pdf

 

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